指輪を外して

今年もinitiationという校内審査で作品を提出しました。

物語のあらすじは、仕事の帰り道、主人公の佳澄(かすみ)は3年前音信不通になってしまった同い年の彼氏・唯織(いおり)と再会します。それに喜ぶ佳澄でしたが、再会をきっかけにある事実と向き合うことになる__というお話です。

​この作品が思いついたきっかけとして、指輪を使った話を書きたいと思ったからです。恋人同士や夫婦が永遠に愛を願って薬指に指輪をはめるのは有名な話ですが、それを上手く使えないかな、と考えました。

そしてこの作品を書くにあたって「思い出」というテーマを設定しました。登場人物となる佳澄と唯織が恋人という設定なのでここでは恋人として話を進めますが、恋人同士が指輪を渡して「一緒に居ようね」というだけではあまり物語に起伏が生まれません。(物語のラストに持ってくるのは全然ありだと思います)
しかし指輪を貰い「一緒に居ようね」というのが二度と取り戻せない過去と思い出になったなら、そこに主人公がその指輪や思い出に縋り付く意味が必要となり、主人公が大切にしている思い(ポリシー)を描かなければなりません。そんなことを書くとせっかく秘密にしている唯織の正体がバレそうですが、分かったことに越したことはないので、それも含めて楽しんで読んで頂ければと思います。


3年間、12000字弱の短編を書いてきて、共通して出てくるのは「幽霊」という存在です。(1年次に書いたものは正直微妙ですが…)私はこの「幽霊」という存在を「自分にしか見えない大切な人」という立ち位置で登場させています。私自身そんな存在の人が居るかは分かりませんが、3年間何かしらの役割を与えて「幽霊」が登場するなら、私自身が気付かないうちにそういう「大切な人」が居るんじゃないかな、それを物語として残したいんじゃないかな、と今は思います。

この作品は改稿段階なのでポートフォリオ内で掲載したものと多少違う箇所があるかもしれませんが、ご了承ください。改稿が終わり次第、改めてここに掲載する予定です。少しの間、待って頂けると幸いです。

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