てごほ〜む の流れるプール

出雲市で中高生の学習支援と居場所づくりをしている「てごほ〜む」代表の島根大学医学科5年の足立元と申します。

 もともとてごほ〜む を始めたきっかけは、飲み会の席で無料塾をやってみたいという大学の後輩の方がいたからです。本当に何気ない会話だったと思います。自分も実はやってみたいと思っていて興味があったところ「他にもやりたいっていう人がいるんだ」と思い、それならやろうやろうと軽い気持ちで始めました。最悪メンバーは二人でもこじんまりやっていければいいか、くらいの気持ちでした。
 最初はどう動いたものかと手探りというか何をすればいいのかも分からない感じで、そこへとにもかくにも動きはじめるとすぐに同期の2人が一緒にやろうと言って合流してくれました。その2人が加わると急に加速度的に物事が動き始め、名前もロゴもSNSも作って団体のイメージができて、外にもどんどん出て地域の色んな人に積極的に会いに行きました。地域の中で動いていると応援しようとしてくれる人も出てきてくれて、同期もさらに参加してくれて、後輩も加わってきてくれました。さらに4月には新入生 もたくさん入ってきてくれました。新入生が入ってくれたのは本当に嬉しかったです。正直、こんなにたくさんの人が一緒にやろうと言ってくれたり、応援してくれるとは思っていなかったので、びっくりです。

 この感覚は、昔の小学校のプールの授業でやった「流れるプール」みたいな感じです。みなさんもやったことあるでしょうか?プールの淵をみんなで同じ方向に歩いていると、そのうち水の流れが出てくるやつです。最初は水をかいてザバザバと一人で進んでいる感じだったのが、どんどんと流れができて今では背中から水が押されて前に流されている感じです。一人じゃこの流れは絶対に作れなかったと思います。

 自分は人と関わることにすごく苦手意識があります。中高の時も学校に行って、一言も喋らずに帰ってくることも多かったし、前の大学の時も昼ごはんはなぜかいつも公園で一人で食べてました。始めた当初は、根底には自分はたとえ一人になってもやろう、という気持ちはあったと思います。それが、今はこうしてたくさんの人と一緒に一つのことに取り組めているなんで10年前の自分だったら信じられないです。
 こうして人と一緒に企画したり物事に取り組むのは初めてですし、これでいいのか自信はないし、どうやってまとめていけばいいのか分からないし、人を使うのも使われるのも嫌だし、自分は色々といい加減でみんなには迷惑をかけっぱなしです。

 ところがそんな風に、みんなでやるのにどうすれば良いんだろうと考えているうちに、気づけばすでに、みんなが居てこそのてごほ〜む になっています。

 そこで最近はみんなで作った流れは実は一方向に流れていなくてもいいんじゃないか、と思ってます。みんなが好きなことを好きなように取り組んで、それで結局てごほ〜む が回っていけばいいんではないのかなと。てごほ〜む の流れるプールはみんなが好きな方向にジャブジャブ動いて波を大きくするイメージなのかもしれません。誰でも受け入れるてごほ〜む だからこそ、メンバーも好きなことを企画したりやりたいことをやっていける場所だといいなと思います。それぞれが、やりたいことをやりたいようにやりたい時にやる。そのためにも、とりあえず自分はこの流れに乗ってぷかぷか浮いてるだけじゃなくて、率先してジャブジャブできたらなと思ってます。