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ビジョン

「芸能」を作り出すことこそ実現したいことです。
「芸能」を作り出すとは、また意味のわからない表現で申し訳ないですが、私の関わってきた芸能は、常に観客に笑ってもらい涙を流す人情劇、さらには艶やかな舞踊で魅了する旅芝居。今では大衆演劇という言い方もします。魅力はそのシステムにもある。一般的な芸能界とは一線を引き、役者という仕事が成立し、死ぬまで役者。なおかつ観る人はコミュニケーションも含め生涯楽しむことのできる唯一無二の存在価値である。ところが時代とともに衰退の一途を辿っている。この価値の高い「芸能」を現代に合わせて作り出すということです。

私が大衆演劇という業界に入り、経験したことで感じているのは、価値の問題です。恐らく、私の師匠である沢竜二は人間国宝にふさわしい。でも、そうなることはない。なぜなら、旅役者だから。元々は河原芝居とまで揶揄される時代もあったのだとか。歌舞伎役者と並んで何かを受賞するということは過去ない。それが当たり前。旅芝居は小さな一座が独自で興業をうつ文化を続けている。次第には閉鎖的となり、他芸能と同等の価値とは扱われない。ジプシーのような特異な生活ぶりを稀に特集される程度。

しかし、沢の作り上げた大衆芸能のノウハウには相当な価値がある。この特殊な芸能の計り知れない底力は、人に夢中にさせる力があるが、観たことのあるニッチな層にしか届かないのが現実。また、業界も様変わりしてしまい、全て優れているとはいえない。ただその公演を観て難癖をつけられるならまだしも、それを観ずに所詮、旅芝居と鼻で笑われた日には殺意を持って迎え撃つ腹つもり。それほど素晴らしい芸能の文化を持っている。自分のできることは、この芸能の良きところのみを使って再構築したいということです。

天変地異でどうしようもない不幸もあるが、人を殺し、生き埋めにする残忍な事件もある。それは人ではなく鬼。情念の世界では全くあり得ない。そんなものは私からすれば芝居の題材にすらならない。少しでも情というものに触れれば人は立ち止まれるもの。社会でも職場でも学校でも家庭でもどこでも。ところが怖いのはそんな普通の生活でも、他人は自分とは別ものだと見てしまう。それは僕も同じで、冷たく冷えた鬼が心の中に巣を作っている。感情が薄くなり冷え切った社会を感じている人はSNS等を通じて皆さんの周知のとおり。

この人情に重きを置いた芝居が旅芝居。別に僕個人がいいと言っているわけではなく、先人たちの作り出したもの。旅芝居には台本など存在しないため観客が楽しんだものが残っていく。そういう仕組み。それがたまたま人情芝居だった。

まずその価値を見出してくれたのは友人でもあるグッドラックスリーの代表の井上和久です。彼は自分とは対照的に行動力と先見の目がある。この伝統芸能を新たな形でメディアミックスするという取り組みを仕掛けます。ならば僕は、その沢から教わったの芸を、メディアを使って、多くの皆様の目に触れるように取り組んでいます。取り掛かりとしては地上波とネットのドラマの制作。これで多くの人に私を知ってもらい、芝居を知ってもらえるきっかけをつくっている。

うちの師匠の沢竜二は85歳。今なお舞台に立ち芝居を続けメッセージを届けている。そうまでしても届けられないものもある。これは続ける他無理。沢の弟子としては、第代わりして何らかの形で担う他ない。このテーマだけは変えられない。

企業とドラマを作っていく中で、おもしろい共通点に気がつきます。それは何か社会に訴えたいという何か熱い想いを抱いている企業の皆様の考えと芸能で扱われるテーマが非常に似通ったものだということ。社会にどう貢献するか、人を幸せにしたいと真剣に考えている企業のリーダーは本当に存在する。これは正直驚きでした。職業の地位向上であったり、地域問題を真摯に迎え撃つようなテーマ。実は、人情劇そのもの。

これほど趣味嗜好が多様化しエンタメが成熟してしまった現代ではわざわざ芸能に力を貸そうという人や企業は少ないかもしれない。

理由は何であれ芸術家を支えられてきたように、大衆芸能というものも多くの皆様に支えてもらわなければ消えてしまうものだということを、悔しいが感じさせられる。現にたくさんの劇場がなくなり、たくさんの一座がなくなる昨今。メディア変革期では芸能界の縮図も変わるかもしれない。素人とプロの境も今ではよくわからない。

芸能に真摯に取り込むことは、不安や怖さのない社会では必要ない。芸能がどの時代においても必要不可欠なものだった。芸能は、古くから医療人類学の領域。心の通ったエンターテイメントに真剣に取り組むことこそ大きな社会への貢献へとつながる。

私自身長い人生をかけて、多くの先人たちが作り上げた大衆芸能というものの価値を生み出すことに取り組んでいきたいと考えています。

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