HPVワクチンの現状

皆さん、予防できる癌があったら予防したいと思いませんか?
私たち公衆衛生委員会は今年度、HPVワクチン接種普及活動に力を入れています!
ということで
今回の記事では、HPVワクチンの現状について紹介していきます!

・HPVと子宮頸がんについて

日本では年間約1万人が子宮頸がんに罹患し、約2,800人が亡くなっています。
患者数・死亡者数ともに増加傾向にあり、
特に
20歳~40歳代の若い世代での罹患の増加が著しく、
その後の妊娠や出産にも大きく影響しています。

この子宮頸がんの95%以上は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスの感染が原因で起こります。
性交渉を経験する年頃になれば、男女問わず、HPVに感染する可能性があり、女性は誰でも子宮頸がんを発症する危険性があります。
しかし、
子宮頸がんは最も予防しやすいがんと言われていて
ワクチン接種でHPV感染を防ぐことに加えて、若いうちから定期的に子宮頸がん検診に行くことで防げる可能性が高いです。

 ・HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の現状

公費助成対象者のHPVワクチンの接種率
以前は70~80%にまで達していましたが、
現在では1%にも満たない状況です。
そこに至った経緯を話していこうと思います。

 日本ではHPVワクチンは2009年12月に承認され2013年4月に定期接種となりました。
しかし、記憶障害などの重篤な症状を含む副反応が多く報告され、
定期接種からわずか2か月で、厚生労働省は積極的勧奨を一時差し控えました。
副反応が多く報告された当時、新たな薬害か?と懸念されていましたが
世界各国における大規模な疫学調査においてもワクチンの非接種者と比べて有意に頻度の高い重篤な有害事象は見つからず、
HPVワクチンの安全性と有効性が確認されました。
しかし、今でも積極的勧奨の一時差し控えは続いています。

 副反応に関するマスコミでのセンセーショナルな報道のイメージが払拭出来ず、世間にはHPVワクチンは怖いものという考えが今でも残っています。
また、積極的勧奨がなされなくなったことで、そもそも
ワクチンの存在を知らない人公費助成があるタイミングでの接種を逃している人が増えています。
さらに、ワクチンは自費扱いのため公費対象外だと3回の接種で
合計5万円もかかってしまいます。値段が高額な上に公費対象は非常に限定されています。
(自治体によって公費対象期間や公費負担金額は異なりますが、小学校6年生から高校1年生の女性が無料で受けられるところが多いです。)

 このような経緯で接種率は1%未満にまで低下してしまいました。

 ちなみに
HPVワクチン接種と子宮頸がん検診が最も成功しているオーストラリアでは
2028年には
新規の子宮頸がん患者はほぼいなくなるとのシミュレーションがなされました。また、オーストラリアでは男児への定期接種も開始されています。

他にも海外のHPVワクチンの成功例があるので、気になった方は調べてみてください!


 日本は現在の状況を少しでも早く改善していく必要があります。

 

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