魂のバイブレーション

高校時代、魂を震わせながら、文化祭実行委員長として、男く祭に情熱を注いだ。22年経って、後輩が、その時の話を聞きに来てくれた。私のビジョン、マインドの原点に繋がることなので、以下に転載させて頂く。

「魂がバイブしているか」


山口:井上先輩は28回目の文化祭の実行委員長を務められまして、「井上論文」が今まで文化祭執行部の中で受け継がれているので、今回取材をさせて頂きました。

 

土橋:歴史を振り返るという作業は、40回(文化祭)のときにもやっていまして、40回のときは結局、印刷とかも間に合わなくて世の中に出なかったんですけど、やっぱりただ歴史を振り返っても面白くないといいますか、それだったら誰でも出来るし、今の附設を後継に残して行く意味でも、今僕らにしか出来ないことをするというか。歴史を考察していく中で、附設の文化祭が附設、あるいは卒業生にどういう影響を持っているのかな、というところを追求していきたいと思いまして、井上先輩に取材をさせて頂こうという経緯になりました。

 

井上氏:歴史を振り返る意味って多分2つあって、良いものを継承していこうって話が1つで、もう1つは、その上で今後の進化ってどんなところにあるのかなって考える材料かなって思っているんですよね。僕らの時代ってインターネット革命、つまり卒業生とインターネットで繋がれるようになったっていう、大きな革命が起こってた。僕らが'98年とかに(男く祭を)やってるから、丁度保健室とか生徒会室とかにインターネットが入って、インターネットで徳安先輩とも繋がったし、手紙に加えてネットでもやりとりしてるはずなんですよね。アナログからデジタルへの転換期だからこそ出来たこともある。僕が今日話したいことは、結論から言うと、文化祭に革新をもたらすのは、AIとかIoTとか、ロボットとか、ARとかVRとか、ブロックチェーンとかだと思うんです。要はテクノロジー。テクノロジーと掛け算になったときに歴史に名を刻むような圧倒的な文化祭が創れると思う。インターネットは僕らのときから始まったんですよ。ただ、あそこで僕らはあのイノベーション自体に気づいていなかった。22年経って自分と同じような皆さんが来たときに、僕が凄かったって話ではなく、インターネットっていう時代の中にたまたまハマったんだと思った。インターネットがあるから紙じゃなくてホームページとしてずっと残ってて、語り継がれる訳じゃないですか。インターネットじゃないと誰かが失くしたとかが起きたり。徳安論文だって、大津留先生って人がくれたんだけど、出てくるまで封印されてた(笑)。それが表に出てきて、かつインターネットでアーカイブ(『khaos』)として残った。でも今はあの時よりもっと大きなイノベーションが起きていて、イノベーションが加速している感じなんですね。孫正義っていう僕らの凄い先輩がいるけど、時代と常にマッチしてるんですよ。皆さん分かりやすいように歴史で例えると、坂本龍馬だけが明治維新を起こしたわけではないじゃないですか。あの時代の集合意識みたいなのがあって、薩長土肥のような「この幕藩体制どうよ?」って思っている一部の人たちと、あとは米英仏露蘭中心に日本を狙っているという外圧もあって明治維新って起きる訳だけど、現在でも、時代の大きな流れの中での「一人ひとりが何できるの?」ということが重要だと思っている。今はテクノロジーが安く手に入る時代にもなっているので…例えば僕らの時代だとインターネットって生徒会室と保健室の2回線だけだったけど今は全員持ってるでしょ?そんな風にテクノロジーは圧倒的に変わっているけど、僕の印象では文化祭って変化度が少ない。テクノロジーの変化は、僕のイメージだと最初は1くらいで、僕らの時代はそれに比べて10倍くらいの情報革命が起きていた。それで今は4、50まで行ってると思うんですよ。例えば、インターネットに繋がっている情報端末の数でいうと、'98年と'19年の20年間を比べると、確実に10倍にはなってる。もしかして100倍かもしれない。けど多分(文化祭は)1から始まって今は10から15くらいにはなってるけど、ただ気づいていないだけで本来はこのイノベーションを使った100くらいのことは出来る。僕がよく孫泰藏さんに今の事業の話をすると、『お前まだそんなしょぼいことやってんのか』みたいな感じで言われるというか。そりゃあ泰藏さんの方がいろんなこと体験してるから、泰藏さんから見たらしょぼいことなんだろうなぁとは思いつつも、自分なりに一生懸命はやってると思う。でもまあ、自分がやってることがすごく小っちゃいんだなという自覚があると、『じゃあでかい世界ってどういう世界だろう』という想像をし始めるから、その自覚自体は大事かなぁと思うんすよ。ただ、今自分達で出来る事とか等身大の自分っていうのもあるので、どっちも大事かなと思ってます。で、僕が伝えたいことはですね、「人生で情熱をかけられるのは恋と革命だけだ。」っていうのが太宰治が人間失格っていう本で言ってるんですけど、僕も社会人になって自立して食っていかないといけない、稼いでいかなきゃいけないっていう中で、稼ぐための仕事みたいなのもいっぱいしてきた。ただね、そういう時、社内で言うんだけど、「魂がバイブしてるか」っていうと、魂はバイブしないんですよ。だから、自分達がこの文化祭をやる上で大事な事って、魂がバイブするかどうかに尽きるんじゃないかなと思ってる。魂がバイブしないんだったら、それ時間の無駄だから勉強でもしといた方がいい、みたいな(笑)。魂がバイブをする経験をするのは、この高校時代にすごく意味があると思っていて。だから、バザーに皆流れてるとか、中庭とかグラウンドとかやって意味あんの、とか、バイブしない話をしてるんだったら、そうじゃないことに時間を使った方がいいっていうことですね。『文化「祭」と「文化」祭』、「文化」の部分と「祭」の部分のどちらを重視するかという問題について、自分自身はどっちかというと賑やかなのが好きなんで、祭志向だったんですけど、徳安さんの話を聞いて、『ああ、文化って熱いやん』って思ったんですよね。「文化」に真面目に向き合うって熱いし、真面目に向き合えるだけの才能が附設にはあると思ったから、結構自分達の代の時に、文化に力入れようぜ、って言って色々やったわけですね。今回YahooとLINEが合併しましたけど、あれも理屈上で合併した方がいいよね、って分かっていたとしても結局は人の意思がないと合併しないわけであって。だから、人の意思ってものすごく重要で、僕が徳安さんと連絡取ってよかったなって思うのは、僕だけの発想だったら、単に賑やかになっただけだったかもしれなかったのが、文化ってめっちゃ熱いし面白いっていうのを理解したから文化に力入れたわけですよ。でもそれも魂がバイブしないとやらないじゃないですか。だから、バイブさせる人が必要で、それが徳安先輩だった。実行委員長は皆をバイブさせるっていう重要な役目があるんですけど、自分自身がバイブしてて初めて、人に伝えられるじゃないですか。ただ、自分一人だけでってなかなか難しくて。元々熱いものは何となくはあったから、何かやりたいと思って、一年生から生徒会に入って、引き継いでからはすぐに動き始めたから一年間くらい準備期間があったんですけど、その間に徳安さんとやり取りしたことで、バイブ度合いが加速したんだと思うんすよね。でまあ、バイブできるものは、「バザーでホットドッグ作って売る」みたいなレベルじゃなくてこう…「革命」だよね。孫正義先輩がやってるわけやん。YahooとLINEを統合とか。俺らやってんのかって話よ(笑)。YahooとLINEの統合に比べたら、俺らのやってることとか本当…なんか、もうちょい「革命」しようぜ、みたいな。諸先輩方はさ、現実社会で革命してるわけやん。皆さんはノーリスクっすよ。時間のリスクくらいしかないっすよ。文化祭に入れ込みすぎて一浪しましたくらいのリスクしかないっすよね、正直。だから、ほぼノーリスク。でも、世の中に出たら、リスク有りまくりなわけっすよ。今僕がやってる革命は、一億とか十億とかくらいの規模の革命で、皆さんも、十年後、二十年後、革命を続けた暁には、多分そういうリスクを負うわけですよ。でも、孫泰藏先輩はその十倍、ホリエモンさんも、まあ十億、百億くらいの勝負をしてるわけですね。…で、孫正義先輩はその百倍、つまり一兆、十兆の勝負してるわけですよね。研究者として何かに打ち込むって新しい説とかを発見する…ってこれ革命じゃないですか。ビジネスマンでもいいと思うけど、まあ基本はイノベーションと革命じゃないですか。何の職業やったとしても情熱的に何かをやるって人類の進化に貢献することだから…まあ、「革命」なんすよ。進化をしたいからここらへんをチェックするっていう話で来たと思うんだけど。1、10、100で100行ってないといけないのに15なんで、後85何があるんやっていうのを皆さんは考えると思う。ホリエモンがホリエモン祭とかやってんすよ。ネットとかで中継しながらね。。ああいうの参考になると思うんだけど。

 

「踏み込んで初めて得られるものがある」

 

宮嶋:Pの調査は紙を配ってどこに参加したいかを書いてください、という感じで募集をしたんですけど、「このPに一緒に入ろう」みたいな感じで、友達同士で入ってくれるんですよ。友達関係を超越した関係ということが井上論文にもあったと思うんですが、どうやったらこういうことは上手くいくんですか。

 

井上氏:革命を起こし始めて気づくことがあるんですけど、失敗が連続するんですよ、当たり前だけど。ちょっと想像して貰えばいいんだけど、明治維新、ほんとうに大変だったんですよね、たくさん人が死んでるわけですよ。先ほど、「人生で情熱を懸けられるのは恋と革命だけだ。」という話をしましたが、恋もめちゃくちゃ面倒くさいじゃないですか。同じ感じで、革命はいろんな要素が多いからあれ以上に面倒くさいかもしれない。一つ問題意識があるとするじゃないですか。そうしたらまず、同じことを続けたところで、同じエラーが出続けるわけですね。じゃあ何か変えようぜ、ってまず思い始めるわけよ。分析も勿論した方がいいと思うんだけど、同時に沢山アイデアも出して。例えば、そのPを選ぶこと自体をエンタメ化して、ピコピコ装置みたいなのを作って、一人一人来て、「ピピピピピピピピー…」とかいって、「パン!」って押したところで決まり!みたいな(笑)1個は希望なんだけど、1個はこのピコピコ装置が決めます、みたいな(笑)その、ピコピコ装置を押しに行くこと自体も面白いやん?そんな風に、アイデアって、量が必要なんですね。これはもう本質で、僕らは企画をする会社で、どうやってるかっていうと、「1人10案出すまで帰れま10(てん)」ってするんですよ。お前帰んな、10案出して帰れ、みたいな。例えば5人いるでしょ、50案。被りもあるかもしれないけど、50案出るとその中から実現性、メリットデメリットとかを比較して、じゃあこの辺りからやってみますか、みたいなことをしていくと、大体解決していく。イノベーションは、基本、まず「ここを変えたい」という問題意識が大事。この問題意識があったときに、じゃあどういう状態がいいんだ、みたいな。自分で選ぶ分はあってもいいけど偶発性があったほうがいいよね、みたいなのがあったらそういう部分も相談していく。そういうことを、1年くらい前からめちゃくちゃやったから自分たちの時はああいうことになったんだと思う。全体として革命を起こしたい場合に、個々としても革命があるわけやん。で、そこに入っていく必要があって。多分、ここ20何年で、わりと組織化、仕組化、たこつぼ化はしてる気はしている。たこつぼ化って、日本の組織の陥りがちなことなんですけど。聞いたらいいよ、国語科の池ノ都先生(高校47回生、同級生)に。「丸山眞男の『日本の思想』にあるたこつぼ化って何ですか、僕らの男く祭がそうなってるって言われたんですけど。」って言ったら多分、丸山眞男の本出してくれるよ。

 

土橋:それは、良いことじゃないってことですか。

 

井上氏:うん、悪い意味で言ってる。たこつぼみたいに閉じちゃって。要は組織化が仕組化すると効率は良くなるんだけど、この範囲でしか考えなくなるやん、とかその範囲の仕事をしようとするんだけど、本来は横断的にしか解決しない問題とか、全体的な課題が解決しづらくなったりとかそれを誰がやるのかっていう問題とかが出始めるっていう。

 

吉村:今は太鼓とかパフォーマンスとか、見せるものが多くなって、映画もそうなんですけど、演目を先輩方は依頼しながらやったと思うんですけど、演目を依頼する状態から自分たちの中で行うっていう感じに変化していったんです。その中で特にパフォーマンスとか太鼓とかは自己満足に陥りがちで、そういったものをどうしたら?

 

井上氏:「螺旋状の進化」ってあってですね、レボリューションを起こそうとしたときの法則みたいなのがあるんですけど、僕らの時、結構外で講演やらコーラスの友情出演とかで呼んできたりしてたんですよね、こっから何か変えていこうぜってなったときに、「そういうの、もう中でやろうぜ」みたいな発想って出てくると思うんですよ。だからこう反対側に行ってるわけですよ。で、もう一回「外 使おうぜ」ってなったときに、ここに戻るかって話なんですよ。これは戻らないと思っていて、ら同じ螺旋だから同じ側にはいるんだけど、ここを経て、ここに戻ってくるってことは、進化してるわけですよね。だから僕は、皆さんが今の状況に直感的に感じていること、「内輪の盛り上がりになってね?」みたいなことって正しいと思ってて。理由はね、そこも「恋と革命」の話につながるかもしれないんすけど、僕ら男子校だったから、頭ん中妄想で一杯なわけですよ。例えば、「やっぱさ,ちゃんと広報してさ,学外の女子生徒に来てもらいたいよね」とか。あとは友情出演で、ねえ、ほら共学校に依頼することもあったし、女子高もあったし、でも共学に依頼しても音楽系ってほとんど女子だから…とか、講演はそういう気持ちがあったわけじゃないけど、もともとまあそこは伝統的にわりかし外向き、外から呼んでくるって感じだったので。今やったら面白そうだなって思うのは「コラボレーション」じゃないかなと思っていて。講演って予定調和は面白くなくて、インタラクティブな方が面白いはずで、場合によってはオンラインで1人入ってるとかも面白いよねえだとか、要は中と外のコラボレーションですよね。太鼓もじゃあ、うちの太鼓凄いんだったらどっかの太鼓とコラボレーションするとかやってみようとか、まあコーラスもそうだし、色んな他校とのコラボレーションだとか外部、学校だけに限らずコラボレーションみたいなのを考えるっていうか。それはうちの会社もそうだしね、社内だけでやれることは限界があるので、社外との連携を常にやってるような感じなんですけど。だから、ヒントはコラボレーション、外とのコラボレーションが2日目はあったら面白いよね。しかも昔はそういうの渉外って言って1個1個交渉してたんですけど、今は「求む」とかでも良いのかもしれない。YouTubeとかFacebookとかに「コラボレーション求む」みたいなのアップして、出てきた候補から話していくとか、決まらなかったら決まらなかったで…トライ&エラーだよね、要は。思春期に恋をしないと物足りないんですよ。なぜじゃあ踏み込まないかっていう話に戻って行くと傷つくからなんですよ。恋をすると傷つくから踏み込みたくない。それと同じで革命を志すと失敗するから踏み込みたくない。でも人生ってそこに踏み込んで初めて得られるものがあるんじゃないのとは思ってる。偉そうに言いながら今なお、本当、失敗が多くてさあ。だから革命をやるってのは結構大変なことであるし。でもこの時代平和だし、現代の革命のリスクって大したことない。明治維新はほら…

 

土橋:死を伴ってる。

 

井上氏:そう。吉田松陰先生とか黒船に乗ろうとして、牢獄にぶち込まれて市中引き回しの上死刑でおわるじゃないですか。対してホリエモン先輩はねえ、刑期はあったけど現在目覚ましく復活した訳だし。だから現代における革命というのはそんなもんすよ、だとしたら体験したほうが良いんじゃないって思うよね。文化委員長にしてもらうっていうっていうので一緒に選挙活動やったりして…運良く行正先生(高校47回生、同級生)が生徒会長になって(笑)で、僕は文化祭実行委員長になれた。そして生徒会の方は行正先生に任せて…それで準備期間が一年くらいあって…それもなんかやりたい人にやりたいことをやってもらうっていうので、一人一人話をして、やる気ありそうなひとで、何やりたいみたいなのを聞いてやりたいことを担当としてやってもらう…たいなのだったよね。なんでやったかって多分、文化祭を高1で体験して多分魂がバイブしたんだと思う。で、ただ、高校時代の学年の意味ってでかいし、何も言える空気感じゃなかったから…(笑)ああした方がいいこうした方がいいって思ってたんだけど…自分の時は、できなかった。ただなんか、よかったのは、わりかし資料が残ってて、前の委員長がちょっと資料を整理してくれてたのもあって、最初にそれをさらに自分で仕分けして、結構整理をちゃんとしたね。で、なんか少なくとも改善点は見つかったんだよ、こうやった方がいいとか。ただ当時改善と革命は違うみたいなところまでは思ってなかったんで、多分改善と革命が混ざった結果になった。僕が思ってる文化委員長の役割って、その時わからなかったんだけど、僕が貢献できたことは多分革命の方だと思う。なんか改善はねみんなできちゃう、頭いいしやる気あるから、でも革命はできる、ていうかやろうとしている人自体が少ないから。第28回男く祭を振り返って今わかることなんだけど、僕がやった最大の付加価値は、何個か革命を結果としてしたっていうことだと思う。革命をやろうと思ったわけじゃなくて、魂がバイブした結果として気づいたらしてたみたいなことかな(笑)。

 

土橋:僕も…革命を起こせるようになっていきたいところです…

 

井上氏:うーん…革命とは何かってことだと思うんだけど、

 

土橋:その定義ははっきりさせたうえで臨むべきなんですかね。

 

井上氏:土橋さんができる役割としては思ってる革命を、伝えるかってことだと思う。例えばどんなものを革命だと思う?

 

土橋:うーん…さっきインターネットの話を聞いてて思ったのは、例えば僕らがやってる取り組みを、廃案になってしまったものも含めて、企画書をうちの学校だけじゃなくて、外部にも公開するとかして、その文化祭の付加価値を高める。それこそ。学校で当日行われる二日間だけじゃなくて、僕らが持っている、その、価値を他の人に供給するっていうのも含めて、インターネットとかを活用していくのが革命なのかなと思ったりもしました。

 

井上氏:なるほどなるほど…んっとね…なんかこうさっき2人に言った問題意識みたいなのあるじゃないですか、こうあったらいいなみたいな問題意識とか理想とかって、ここには断絶があるわけですよ、例えば今の日本、少子高齢化でどうすんの?みたいな、社会保障とか福祉とか充実させるとか言ってるけどどうすんのみたいな、でもこうなったらいいなっていう未来があるわけで、でも断絶があって、ここを突破しなきゃいけないわけじゃないですか、でも突破するのって、明治維新がそうだったように大変なんですよ、だから革命をやるわけじゃないですか。その、革命の向こうってこうありたいってで…これが非連続なんですよ、連続してたらそれ革命じゃないから

 

土橋:それこそ改善に近くなる、

 

井上氏:そうそう。でも、それでもこうありたいっていう姿があるからチャレンジするわけじゃないですか。その今のさっきの土橋さんの話が、なんの問題意識でどうありたいって思っているか、そこに断絶を生んでいる理由はなんだみたいな話ですよね。

 

「人間はほぼ自分で勝手に制約を作っている」

 

山口:一日目についての少し踏み込んだ話をしたいんですけど、この先輩の代の男く祭の資料を見せてもらって、やっぱり現在よりも自由度が高くて、多種多様で、僕たちの代、ゲイバーとか絶対通らないんですよ。あと、企画展示も、さっき言ってた通り、僕たちの代はほとんどもう展示っていうのは少なくて、今あるのは大体、図書委員の本を紹介する展示くらい。  

 

井上氏:この話はしたいな、と思ったんだけど、基本やりたいこと、やるべきこと、やれることっていう分類なんですけど、やるべきことはつまんないっすよ。文化祭が悪い意味での「仕事」になると、最悪の文化祭になると思っていて。勉強も、やるべきだからでやってたら、面白くないやん。僕は勉強で面白かったのは日本史とか世界史とか政治経済とか。東大で現役で受かろうとすると、世界史地理物理で行くのが定石なんですよ。点数取りやすいし。僕は、世界史日本史化学っていう自分の興味で取った。要領は悪いんだけど後悔はしてない。やりたいことが一番大事だと思ってる。ただやりたいことだけだと、社会と調和しない。やるべきっていうのはどっちかっていうと社会からの要請だと思ってて、やりたいことの中で一応やるべきことに仕立てていこう、やれることっていうのは一番最後で、それには明確に順番がある。僕はやりたいことが大事だと思ってて。例えばおかま喫茶やりてえよ、みたいな。それをYouTube で配信したいとか考えついたら、この時代 LGBT とか厳しいからメイド喫茶に変えよう、メイドは別に女じゃないといけないんですか?みたいな(笑)それは先生 LGBT 的にどうなんですか?とか言って、別に男がスカート穿くのなんかおかしいですかねえ、みたいな論戦を張るわけです。社会において思っている以上に自由度は高い。

 

 

土橋:わかりました。自由に動く部分も大事になってく、と。

 

井上氏:いやもう、制約とかないでしょ。

 

土橋:自分で作っちゃってるのかもしれないですよね。文化祭という制約があって。

井上:僕もそうだから。人生はほぼ自分で勝手に制約を作っている。答えっていうのは結構あるんだよ。希望を失ったときに結局その正解に至らなくなるというか。どこに希望を見出すかとか、自分を制約しているものは何なのかみたいな、希望を見出せるように制約を外しにいく必要がある。

 

山口:やっぱり附設自体が、周りの学校から比べたら自由度が高いとかけっこう言われる学校なので、自分のやりたいこととかをやれるのは他の学校よりも多分できるはずだけど自分で制約を作ってしまって、先生とかのダメって言われるのも怖がってできていないのかなとは思いました。  

 

井上氏:やりたいことに関しては、やりたい理由とか考える必要はない。大人になればなるほどやりたい理由を説明しないといけなくなるけど、高校生ぐらいだと、大人に比べると説明不要なことが多い。やりたいからやってますっていうのがけっこう許される。で、やりたいことをやった方が、うまくはいくから。だって一生懸命やるやん。成功失敗関係なくなるやん。だってさ、やりたいことだったし、後悔はないわけですよね。もしかしたら成功失敗を気にする人だと後悔はあるかもしれないけど、プロセスだと思えるんだったら、後悔はないわけだから。何をやるべきか、から入るんじゃなくて、何をやりたいんだっていうのが重要ですよね。でそのときに、文化という視点で例えばやりたいことを、やるとまたちょっと課題意識があって、例えば祭で馬鹿騒ぎしてるだけなの?みたいな。

 

土橋:やりたいことをみんなに話して、自分たちももちろんそうだし、生徒にも発信してもらうと。そこに文化という負担をかけて、課題意識を考えてから、だんだんいいものにしていくのが、どのプロジェクトでも大事になってくる、と。

 

井上氏:そうですね。

 

土橋:魂のバイブというか求心力のあるリーダー像みたいなのが見えてきました。そろそろお時間の方が…。本日はありがとうございました。

 

井上氏:いえいえ。文化祭の成功に向けて、頑張って下さい。

 

土橋・宮嶋・山口・吉村:ありがとうございました。

 

 


松下 耕三
2020.08.05

いい話しですね!魂がバイブしました!

ザック井上
2020.08.05

ありがとうございます!Pandoの使い方が分かってきました!今回のプロフィールアップデートは使いやすくなりましたね!