「みんな」で考えるべき問題

【復習】ジェンダー単元

◎講義の内容

まず、パンデミックがもたらしたジェンダーへの影響について学んだ。もともと男女平等に遅れを取っている日本が、パンデミックを経てさらに問題が顕在化したとのこと。テレワークが推奨され、家事・育児の分担が進んでいたと思っていただけあって、最初はパンデミックとジェンダーの関連性を見いだすことができずにいた。しかし、オリンピック選手が妊娠・育児がきっかけで、選考で不利になった出来事や、女性が多い業種における解雇の増加から男女の格差が拡大しているという事実を知って、パンデミックのジェンダーへのネガティブな影響を実感した。

次に、世界と日本のジェンダーギャップについて学んだ。日本は先進国の中でも男女平等の実現が遅れているということは何となく知っていた。しかし、未だに「男性の方が優遇されていると思う」と答える人の割合が7割を超えているデータは衝撃的だった。すぐにでも何か行動に起こさないと、という焦りを感じた。

最後に、世界と福津市のジェンダー問題への取り組みについて学んだ。男女平等を実現しているノルウェーは、40年前まではジェンダー格差が日本と同水準であったにも関わらず、「クオーター制」といった制度の導入によって、男女平等を実現した。一方、福津市では、管理職の女性登用を積極的に行った結果、市役所の役員の執行部の半分が女性となり、男女平等に大きく貢献できたという。まずは「行動を起こす」ことの重要性を知った。

◎講義やリフレクションを受けて

講義を受けて私の考え方が大きく変わったことを2点あげたい。

1点目は、「クオーター制」に対する考え方だ。

私はもともと「クオーター制」に反対だった。女性の割合を強制的に増やす行為は、女性に対する優遇であり、男女平等ではないと考えていたからだ。

しかし、今回の松田さんのお話を聞いて、半強制的な試みも男女平等のためには必要なことだということに気づかされた。日本では、「政治家=男」というイメージが根強く、女性が政治の世界に入る敷居がとても高い。「クオーター制」によって固定観念を払拭することから始めないと、どんなに待ったところで男女平等は達成しないのだ。自然に男女平等を実現することができないことに対する無力感はあるが、実際に成功した例を日本にも当てはめて考える意義はあると感じた。

2点目は、男女平等が目指すゴールについてだ。

私は、「男女平等とは何か」という疑問をずっと抱いていた。生物学的な違いから、男女間で平等にしたくてもできないこともあると感じていたし、無理やり女性政治家を増やしてジェンダーギャップ指数を下げることが男女平等のゴールなのか、という疑問もあった。

しかし、松田さんが講義の最後におっしゃった「誰もが自己選択できる世界」という言葉を聞いて、私の中で一つの答えを出すことができた。男女平等のゴールは「自己選択」なのだ。今は「政治家になりたい人はなればいい」と言われてもなりづらい状況がある。これをフェアにすることで、政治家になりたい人は政治家になるという自己選択を行うことができる。今よりも多くの選択肢の中から自分の好きな道を選ぶことができるのだ。かと言って、政治家にならない人が正しくない、とかそういう話ではない。あくまでも選択肢があるかないかの問題なのだ。今の日本には、そういう意味で選択肢がとても少ないように感じる。まずは選択肢の幅を広げて、「こういう道もあるんだ」ということを、みんなに示していく必要がある。だから、半強制的でもいいから「フェア」になるように、政策を講じていかないといけないのだ。

私は改めて、ジェンダー問題は「みんな」で考えるべき問題だと実感した。ジェンダー問題は、女性だけの問題ではないからだ。「みんな」が自己選択のできる世界。これは誰かが行動を起こせば勝手に実現するような簡単なものではない。一人一人が問題を自分事として考え、行動を起こすことこそが、今の私たちに必要なことなのだ。


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