「教育」

「めぐこ」はインドとフィリピンの子どもたちに奨学金という形で「教育支援」をしている団体です。たくさんの支援の方法がある中で、なぜ教育なのでしょうか。

私が「教育」に強く関心を持ち始めたのは、高校1年の時にたまたま受けた模擬授業がきっかけでした。大学受験のイベントで上智大学教育学科の先生の模擬授業を受けました。たった20分ほどの講義でしたが、とても衝撃を受けたのを今でも覚えています。その先生は紛争後の社会における教育について研究していらっしゃる先生で、その講義では紛争がある地域での教育の内容を紹介されていました。

例えば算数だったら、
「今ここに5人います。3人殺したら残りは何人でしょうか?」

とか

「自分の銃には弾が8発入っています。4発撃ったら残りは何発でしょうか?」

といった例題ばかりなのです。

日本の紛争とかけ離れた環境で生まれ育っている私たちはこの例題を見て驚きますが、紛争が身近にある子どもたちからすれば特別違和感を持つ例題ではないのです。こうした教育を受けている子どもたちはこの例題に違和感を感じないし、こうした教育が紛争の意識を強めてしまいます。
それまで私は教育にプラスのイメージしか持っていませんでしたが、この講義を受けて初めて教育がやり方によっては悪い方向に使われてしまうこともあるのだと知りました。教育はただやれば良いのではなくその中身もとても重要であること、そして教育がその人に与える影響の大きさを学び、大学では教育を専門に学びたいと思うようになりました。


実際に大学で教育に関する様々なことを学んでみて多くの学びや気付きを得ています。そして「めぐこ」の活動の中でも教育の重要性を学んでいます。昨年のインドツアーでもメンバー同士、「めぐこ」が教育支援をする意味や、教育の大切さなどをたくさん話し合いました。


もちろん教育以外にも衣食住だったり医療や衛生だったりの支援も必要だし、その方が優先順位が高いと考える人もいるかもしれません。国を問わず教育というのはすぐに成果が出るものではありません。けれど、時間がかかるからこそ継続した取り組みが必要だし、人生に大きな影響を与える重要なものだと私は思います。


今年、世界中で新型コロナウイルス感染症が広まり、教育にも大きな影響が出ています。非常事態だからといって教育が後回しにされたり、教育格差が広がったりしていい訳がありません。「学校」は集団で勉強する性質を持っているのでこれから学校や教育のあり方も変わっていくかもしれませんが、教育は誰もが平等に受ける権利を持つという視点を絶対に忘れてはいけないと思います。