【事前事後学習(子どもの理解と援助)】 発達障害児とその家族支援

学習の道しるべ>>>「子どもの理解と援助」第16回から第18回のフィードバック ー後期の授業を自己覚知から始めた意味
事前事後学習の参考やこれからの生活の参考にしてください。

千葉こども専門学校の「子どもの理解と援助」(藤原匡宣担当分)を「自己覚知」から始めましたが、そこには意図がありました。

自己覚知をメインに扱っているように見せかけて
単元「発達障害児とその家族支援」の方法について解説をしてきた第16回から第18回
ここで、単元の区切りとしてまとめをしてみます。


私は、後期から担当教員の交代で初めてみなさんにお会いしましたので、
みなさんのことがわからないまま授業をしても、あまり効果を生まないだろうと考えて、
第16回から第18回のテーマに「自己覚知」も取り上げました。
中心的に「自己覚知」の半歳のように聞こえたかもしれませんが、
シラバスの指定通り「発達障害児とその家族支援」についての本質に迫っています。

「自己覚知」に関する内容を指定教科書の内容に当てはめるならば、次の範囲に関係する事柄のおさらいも兼ねての様子伺いです。

▼指定教科書▼
大浦賢治編,2021,『実践につながる 新しい子どもの理解と援助―いま、ここに生きる子どもの育ちをみつめて―』,ミネルヴァ書房.
https://www.minervashobo.co.jp/book/b548721.html

▽範囲▽
第1章 子ども理解と援助の基本 (P2-P21)

これを、具体的にどのように授業に落とし込んだかというと、
  • 第16回から第18回にかけて話した内容
  • 自己紹介POPの作成
  • みなさんとのかかわり
を通じて、教科書に記されていたことを実践的に繰り広げて見せる、という感じでしょうか。
もっと具体的に言えば、次のような感じです。


第1節 保育者が抱える2つの問題>>>子どもに寄り添うことの大切さ
それぞれがリアクションペーパーに記していた自身への気づきに対して、フィードバックしたのコメントを思い出せばよいでしょう。
時にK2Aは、この時間を多くしました。

第2節 保育者に求められるもの>>>職員の資質、保育者としての覚悟
わたしたちは、保育所保育指針や幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領など、法律に準るこころのよりどころを持って子どもたちに関わっていきます。
そして、免許資格者としての基盤となる「専門職としての物事の見方や考え方」を活用して、子どもたちとの関係構築や援助の展開に取り組みます。これは、わたしたちの持論、主観で動くのではなく、知識と技術を持って子どもたちと関わり、その中で教員、保育士に就くその人の人間性を出して仕事をしていくこと言うことです。
現場に立つとき、何かの障壁が自分の前に立ちはだかったとき、自分が見たり聞いたりしたことがないことが起きたとき、
わたしたちは何を感じ、何を考え、どのような判断を下していくのか、、、こうしたことを考えながら対象者理解をしてほしくて、3コマ割いて自己覚知に関する話をテーマとして取り上げました。


第3節 子どもの理解と援助に必要なこと>>>主体性を育てることの重要性子ども理解のポイント
人間が持ち合わせている主体性を高めるためには、行動や関係性に対して、行為の意味付けや責任についてを自分自身が考える必要があります。
だから、「自由と責任」「権利と義務」という言葉を用いながら、学習者の立ち位置で考えられるようにヒントを告げました。
また、人に対してかかわるとき、私たちの仕事では関係構築に努めますが、相手を捉えるために必要な「相手の気質を理解する」ことや「発達特徴を理解する」ことのバランスが悪いと、結局は指導者(保育者)側の主観を押し付けかねません。
他者との関係を構築するために行われるコミュニケーションについては、受容と共感が大切とよく言いますが、「受け止める」と「受け入れる」では全く行為の意味は異なるからこそ、この感覚についても整理をしてからモノゴトを考えていく必要があります。
だから、こうした事柄に対してみなさんがどのような反応を示すのか確認したくて、テーマを取り上げました。


これらに取り組むことを通じて、
予期せぬ状況で無関係の人と事柄を共有し、意味も見いだせず取り組んだ(考えさせられた)事柄を「子ども理解」に当てはめたとき、
どのような違和感を抱くかを知ってほしくて、今回の方法を選択しました。
自分が感じた違和感が、本来扱う予定だった単元「発達障害児とその家族の支援」=「支援につなげる理解」として、理解する側としての意識をした上で単元について考えてほしかったのです。



結果、自分の傾向を捉えていないと、いろいろなことの受け止め方が自分本位になりかねないこと、
援助される相手は状況がわからないまま何かをすることに抵抗があることを感じ、
その中で、私と皆さんの間にも関係性を形成する意味があることなども踏まえて、何かの特性を教科書的に学習するよりも学ぶべきことが体感できるようするための3コマを展開してみました。


第6章 発達障害児とその家族支援 (P134-155)
発達障害の子どもたちには、その状態の子どもたちが抱える特性があります。ただこれは、障害の状況に限らず、誰もが何らかの特性を持っているということから知らないと、理解という名の誤解と偏見、思い込みにもつながります。

特性をつかめば援助がうまくいくのではなく、自分がその子について、その症状について、どのように受け止めるかを知らなければ、自分に写し出された像に対しての対応に成りかねません。
実践では、個をよく観察し、個との関係構築の意味やあり方を検討し、その子どもが心を開いてくれるような人である
ことから始めたいものです。
自分で援助の状態に順応できるように、何かをしてやろうという考えではなく、行動特性を踏まえたうえで「その子という個」とどう向き合うかから考えてほしいと思います。

援助の実際では、子ども理解に努めながら、保護者や関係各所、各専門家との連携も重要で、その子を取り巻く環境の理解や調整も求められます。
この時には、保護者が抱えている生活はどういう状況か、他職種が何を専門にしているか、などを知ることから始めましょう。使う技術と言えば、社会福祉援助技術です。相談援助という視点も持ち出して、状況を観察していく力も活用するとよいでしょう。

子どものために何かも大切ですが、子どもにとって一番の幸せな状況とは何かについて複数の候補をイメージできて、その実現のためにどのように人たちと関わるのかかが、かなり大切な視点です。
答えを一つに絞り込むのではなく、事例検討を重ねながらその時自分が子どもや保護者とどうかかわるのかを検討できる思考をつくりあげていきましょう。



子どもの理解も支援の状況も
「あたりまえを問う」ところから始めてみることも大切です!!





今後の授業では、次の図書も参考にに授業を展開します。

  • 松本峰雄監修,伊藤雄一郎ほか,2021,『子どもの理解と援助 演習ブック』ミネルヴァ書房.
  https://www.minervashobo.co.jp/book/b548720.html
  *授業の状況に応じてプリントを配布します。

  • 大塚健樹,2015,『発達心理学―生涯発達の視点から―』山口北州印刷.
  • 大塚健樹,2015,『子どもの発達心理学―その発達を支えるもの―』山口北州印刷.
  • 大塚健樹,2022,『子どもと家庭のための相談援助・支援』山口北州印刷.
  *大塚先生の書籍は、自費出版非売品です。
  *大塚先生は母校の教員(現盛岡大学短期大学部長、教授)です。
  *新規担当科目の授業発展のために、ご助言いただいています。

【学習資料】 子どもの理解と援助
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