新たに制作した短編作品『嗚呼、純愛。』
私は平松梨沙役として出演させていただきました。梨沙は今まで演じたことがない初挑戦のキャラクターで、勉強になることや発見、それと同時に今まで以上に私に大きな壁と課題をもたらしました。
撮影当日までは1ヶ月ほどの準備期間があり、それまでに梨沙ちゃんのキャラクターを監督と相談しながら固めていきました。梨沙ちゃんはいわゆるメンヘラと言われるキャラクターで感情の起伏が激しく、ストッパーが外れると何をしでかすか分からないとヒヤヒヤする闇を抱えた高校生です。ずっとこのようなキャラクターを演じてみたかったので、梨沙ちゃん役に決まった時は本当に嬉しかったし、その分いつも以上に気合いが入りました。しかし、私は梨沙ちゃんタイプの人間ではないので、インターネットやSNS、YouTubeを使い、梨沙ちゃんのようなタイプの特徴についてを調べてノートに書く、そして梨沙ちゃんはどの特徴が一番当てはまるかを分析、ほかにも沢山の事前準備をして撮影当日を迎えました。
ですが、撮影当日いきなり壁にぶつかります。感情を荒げる梨沙ちゃんのセリフで、声が張れないのです。全く勢いがないというか、途中で自分に戻ってしまっているというか…。上手くやらなきゃ、これじゃ梨沙ちゃんじゃない、と頭で余計なことを考えすぎて焦っていたんだと振り返って思います。こうしなきゃ、ああしなきゃ、という考えは返って自分を追い詰めていました。しかし、それに気づくことができなかったので、何処か中途半端になってしまったのです。もうその撮影の時に戻ることはできませんが、かなり悔しさが残っています。そんな調子で撮影は終わりました。
有難い事に出来上がった作品を見て褒めて下さる方は沢山いましたが、私は見れば見るほど自信がなくなりました。梨沙ちゃんが中途半端だったからです。100%私のお芝居のせいです。こんな素晴らしい脚本に演出にカメラに出演者達に音楽に編集に…その他にも素晴らしい環境下でお芝居ができたというのに、私は何をやっているんだろうと、とても申し訳なくなりました。しかし、どれだけ悔やんでも反省しても『嗚呼、純愛。』の撮影期間は戻ってきません。少なくとも、梨沙ちゃんから学んだことは多くあるので、もしまた次にお芝居をできる場を貰えたら、このような壁と課題は乗り越えて新たな自分に成長できるようにしたいです。梨沙ちゃん、ありがとう。