私は現在、企業に勤めていますが、あと何年かすれば定年を迎えます。そして今、60歳からの第二の人生をどう生きるか、自分はどうしたいのかを大いに悩んでいる真っ最中です。そういう意味では、現在就職活動の準備をしていたり、何か新しい事にチャレンジしようとしている皆さんとまったく同じ状況に立っています。
皆さんとちょっとだけ違うのは、私には60年近く生きてきた経験と失敗があって、方向性や志向性が少しだけ明確にあるということです。企業で26年間、採用の担当をして、多くの学生さんや転職希望者と向き合ってきました。そして感じた事は、何をしたいのか、どう在りたいかが曖昧な人が、とても多いという事です。
実は私が入社した時も、明確な目的があった訳ではありませんでした。ただその頃は、自社製品で利益を上げるメーカーではなく、自分の付加価値で利益をあげられる商社に憧れがあっただけで業界を選んだのです。しかし、入ってからは、日々失敗をして周囲に迷惑を掛けたり、仕事で期待に沿えなかったりを繰り返し、こんな筈ではなかったと自己嫌悪に陥る事も多かったです。(注)メーカーであっても、人の価値は必要です。
そんな状況になると、一人あれこれ考えたり、もがいたりするのですが、ふと、考えてばかりいても正解は出ないし、何も状況も変わらないことを悟り、「行動しながら考えよう」という思いに至り、今日ではそのスタイルが自分にとてもフィットし、新たな成果に繋がっています。
今回私は、縁あって「失敗から学ぶリモート・アカデミー」のサポートメンバーに選ばれました。この機会に「私の失敗から皆さんが楽に生きるためのヒントを伝えられれば」と考えています。皆さんは能力開発の「氷山モデル」というのをご存じでしょうか? これは最近、企業内で人気がある教育研修のテーマですが、社員の行動変容をどうやって起こすかを考える時に、リーダーが積極的に関わるべき領域があることを説明するものです。行動変容を促すためにアプローチすべき点は、知識・スキル・経験・態度・意欲・意識であるべきというものです。
皆さんには、そのポイントを意識して接する事を意識し、行動変容が起きる様に頑張るつもりです。私が持っている失敗や経験という資源(リソース)を共有しますので、皆さんの在り方や価値観に照らして、皆さんなりに取捨選択と吸収、消化して成長のための栄養源にしてもらえたらと考えています。そして皆さんの新鮮なエネルギーに触発されて私自身に、また新しい化学反応が起きることを期待しています。