今年3月に開催予定だった第2回あそびば展を延期と決定したのは、搬入日の前日だった。気づけば第1回あそびば展を終えてからもう10ヶ月が経とうとしている。第1回の開催からまさかこんなにも時間が空くなんて思ってもいなかった。これが、運営の怠慢や人手不足によるものではないのだからもどかしいのだ。熱意もあり、運営メンバーも増えた。思い描いていた通りならこの約半年間で、どれだけの経験を得、どれだけ多くの人と出会えたことだろう。
それでも「今できることを」と奮い立ち、アイデアを出し合いオンライン上での展開を試みたあそびば展の運営メンバーは逞しかった。ライブ配信の対談企画や、Twitter上でのオンライン展示会など、立ち止まることなく、新たな展示会運営の形を模索し続けた。これらひと通りの成果を経て、「あそびば」を新しい角度から考えることに成功したと思う。そして今改めて切に焦がれるのは、やはりリアルな場での展示の中の作品であり、その場での交流である。他人の存在に怯えて誰かに気を使うことが当たり前になった日常から解放され、羽を伸ばせる創造的な「あそびば」…その中心には作品がある。そんな場作りが今はしたい。
そもそも私は、大学1年生の冬、代表のまっちゃんに誘われ、運営に参加した。代表と同じ領域に所属し、「社会とアートを繋ぐ」と言う抽象的な使命に「これでいいのかな」と日々模索しながら向き合っていたが、具体的には何も掴めずにいた。そんな中、代表の「アーティストを引っ張り上げる支援ではなく、一緒に並走するような、一歩下がって背中を押すような支援がしたい」という思いに共感し、「同世代に展示の場を」という熱意に協力をしたいと思ったのである。
それから第1回の開催と様々な企画の運営に携わらせてもらい、大した貢献はできていないが、「あそびば」とは何か、学生が展示をすることの意義は何か…多くの考える機会をもらった。「展示するだけで終わらない」というコンセプトの下で、トークイベントやワークショップを企画する楽しさを味わうこともできた。多くの貴重な時間と経験をあそびばを通して得ている。
無から何かを生み出すこと、それは決して簡単なことではない。芯のあるコンセプトと共感してくれる人、場所がなければ、もともとそれがなくても成り立っていた社会に新たなものを存在させることはできないだろう。去年の春、全く何もなかった場所に、1から作り上げた、同世代のアーティストのあそびばとしての「あそびば展」。そこに魅力的な作品とアーティストが訪れることで、空間が形作られ、人が繋がっていった。運よくその過程に立ち会わせてもらえたのだから、今後もこのあそびばでできることに心を尽くしていきたい。そしてその先に私らしい社会とアートを繋ぐ一つの形を見つけることができたらいいなと思っている。