私がBackpackerを書く理由。それは、私の“今”の旅の感覚を書き残すために他ならない。
旅ってなんだろうか。どこか知らない場所に行って、知らない人に出会って、知らないものを食べて、新しいものに気づく。そんな感覚を求めて今日も世界中で何千何万もの人たちが旅に出ている。自分が広がる。世界が広がる。それが旅だと思う。だけど旅ってのは不思議なもので、違う場所、はじめての場所に行っても、その新鮮さって失われていく。こんな場所前にもあったな、こんな料理前にも食べたな。そうなってしまった時にふと思う。「あれ、なんで旅してるんだっけ。」
旅ってものには「少年期」「青年期」「壮年期」がある。そう深夜特急に沢木耕太郎は記した。旅の感覚は、経験と共に成長する。少年期は、どこへ行っても、なにをしても目に映る全てのものが新鮮で、わくわくするものになる。青年期は少しだけ旅になれてきて、もっとこういうことしてみようかだったり、さらにこの場所の深いものに触れてみようかだったり、また違った旅の楽しさを感じられる。そんな非日常、新しさを求めてまた次、また次って旅に出ていくと、あれ?自分の知らなかった世界ってどこにあるの?ってなる。それが壮年期ってもので、全てのものに対して「経験」っていうフィルターがかかっちゃっう。
でもそれはあなたの旅の終わりではなくて、あなたの転機になる。これまでとは違った視点で知らない土地、知らない人に会ってみようって思うだけで、それは違った「世界」が見える。
私の旅物語は、この先、10年後、20年後にも続いていくだろう。きっとその頃には旅の在り方は今と様変わりする。海外旅行に簡単に行けるようになったのなんて、せいぜいここ30年くらいのことだ。技術の発展、時代の変化が目まぐるしい現代において、旅の目的やあり方なんて簡単に様変わりする。だからこそ、今、この時に感じた、経験と、思い、あり方をここに記すことは大きな意味があると思う。今の旅の形と、少年期の感覚は、今しか書けないから。