5年保存できるパン「ライフブレッド」で世界の子どもたちを飢餓から救う

5年保存できる「ライフブレッド」が生まれたきっかけ
 世界の子供たちを飢餓から救いたい」―これが5年保存できるパン「ライフブレッド」を、サクセム㈱代表取締役社長の中里輝茂氏が開発したきっかけだ。今日、輸出時検査や、動植物検疫など届ける国での審査もテロ対策で厳しくなり、1年以内に援助物資が届かないこともあるという。
 しかし「国連などへの働きかけで、早く援助物資を届けることが可能になる」と、DEVNETInternational世界総裁の明川文保氏は話す。
 日本は、日清食品グループに代表されるカップラーメンなど、簡易的な保存食の製造技術が高い。その他に非常食として、乾パンやインスタントラーメンなどさまざまな食料援助物資がある。今回開発された保存食のライフブレッドは調理不要で食べられて、やわらかくておいしいと好評である。
 5年保存できるパンをつくるためには、食中毒菌が繁殖できない0.8未満に水分活性値を下げることが課題だった。しかし水をほとんど使わずに、イースト菌を発酵させるのは難しく、10年もの間、試行錯誤を重ねた。
 状況を変えたのは、現工場長である田中利久氏との出会いだった。少なめの水で小麦粉の生地を練り、多めの油脂を入れてイースト菌を発酵させ、はじめての試作品で田中氏は成功させた。さらに4層のアルミパウチ袋に入れている。このアルミパウチ袋は、高い湿度下においても、品質・安全性が失われない。「日本以外の国でも活用して欲しい」という中里氏の思いから包装にもこだわっている。

非常・備蓄食として数十万本の納入実績
 サクセムでは、新型コロナウイルス治療にあたる医療関係者を支援する「WeSupport」(ウィーサポート)を通して、今春にライフブレッド1,000本を無償で提供した。
 これまで2016年の熊本地震で被災地に2,000~3,000本、昨年の九州豪雨では佐賀県武雄市に7,000本を無償提供している。国内外で増えている地震や豪雨などの災害を支援するためだ。
 非常・備蓄食としては、行政に数十万本の納入実績がある。「今後は、企業や政府、自治体の備蓄食の分野も広げていきたい」と中里氏は話す。

世界の食糧支援や非常食として役立てたい
 飢餓人口の約3分の2がアジア、約4分の1強がアフリカに集中している。特に食料輸出国では、経済優先で多くの飢餓が起こっている。ライフブレッドは1本500kcalで、1日に必要なエネルギー約1,500kcalを3食で摂ることができる。
現地に協力機関や企業があってこそ、食糧支援や非常・備蓄食としてライフブレッドを世界に届けられる。
 パートナー企業を募っており、海外で生産したいという要望も届いている。「国際連動食糧農業機関(FAO)やユニセフにも食糧支援を働きかけていきたい。
 中国山東省など各国の行政に働きかけ、災害時対策として食料備蓄体制を整えていく。ライフブレッドは飢餓の解決に大きな役割を秘めている」 パンの賞味期限の常識を超えたライフブレッド。
 これからは、今までの常識を超えたビジネスに大きな可能性があるのではないか...とDEVNET International世界総裁の明川文保氏は話す。