予防医学のアジア展開でニチニチ製薬と提携

国連経済社会理事会(ECOSOC)のNGO・DEVNET International(以下、DEVNET)は、ニチニチ製薬㈱と提携して、ヒト腸由来の乳酸菌エンテロコッカス・フェカリスFK-23株を加熱処理したもの(以下、FK-23)を免疫強化や抗がんなど、酵素処理したもの(以下、LFK)をインフルエンザ肺炎軽減やガン転移抑制(特許出願中)、花粉症などのアレルギー対策などに役立てていく予定だ。

開発の思い
加熱処理したヒトの腸由来乳酸菌「エンテロコッカス・フェカリス」の健康効果に注目してきた河合康雄博士が、1987年にニチニチ製薬の研究所長に就任。血中コレステロールを下げる効果があることが確認されていたFK-23について、様々な医療機関や大学との共同研究を実施した。その結果、高血圧改善や抗ガンなど、幅広い有効性を示す研究成果が出ている。

FK-23の開発では、当時の大阪市立大学教授・医学博士の森井浩世氏や大阪大学教授・工学博士の熊谷貞俊氏などがアドバイザーとして協力した。FK-23は日本で単品唯一の5つの特許を、LFKは6つの特許を取得し、現在も3つの特許を出願している。

FK-23乳酸菌の5つの特許

(1)免疫力強化:白血球の数を増やし機能を高め、免疫力を強化することが動物実験から分かっている。(2)抗がん:乳がんが大きくならないという結果が動物実験で出ている。(3)抗がん剤の副作用軽減:腎機能の低下を防ぎ、白血球数を早く回復させて、抗がん剤治療をスケジュールに従って実行できることが動物実験から分かっている。(4)細菌やウイルスによる感染症の予防や(5)C型肝炎の肝機能改善効果の研究成果が出ている。

LFKの6つの特許

(1)インフルエンザ改善:北海道大学との共同研究で、インフルエンザウイルスによる肺の炎症を抑制し、重症化や死亡を防ぐことが分かっている。(2)アレルギー改善:日本赤十字社和歌山センターでの臨床試験で花粉症の症状改善効果が示されている。(3)高血圧改善(2特許)や(4)肌のシミ改善、(5)赤ら顔の改善効果が臨床試験から分かっている。

一般的な乳酸菌との違い

生きた乳酸菌は、生きたまま腸に届く工夫がされており、整腸作用が優れている。一方でFK-23は、「乳酸菌(Enterococcus faecalis)を加熱処理して、免疫力を高める効果が生菌の約3倍強くなっている。さらに粉末にしているので、1g で約4兆個と多くの乳酸菌がとれる」とニチニチ製薬取締役部長の嶋田貴志博士は話す。

アジア展開を目指す

これからは「経済発展が進み、予防医学に関心が高いタイやベトナムなどアジアに展開していきたい」とDEVNET世界総裁の明川文保氏は構想している。さらに「常温で長期保存できるので、各国に展開しやすい。日本の優れた技術を、世界の多くの人に使ってもらいたい」とニチニチ製薬の東京営業本部係長の中澤隆之氏は話している。