たけうち和久のチャレンジ道場 第一回養豚場編

たけうち和久のチャレンジ道場という企画を始めた。

第一回は養豚場での職業体験をすることにした。
実は、この企画、幻のゼロ回がある。たけうちさんと、松下社長と、私の三人で、大学三年生でアナウンサー志望の菜月さんと、仕事や人生について語り合ってみた。大人三人が、それぞれの人生観を基に、真剣に菜月さんに語りかけてみたものの、初対面で、壁がある中で、菜月さんの心を揺さぶることが出来なかった。ありがとうございますという、菜月さんの顔の曇りは隠せなかった。

この結果を踏まえ、制作陣は、語り掛けるだけでは、心を揺さぶるのは難しいと悟った。そこで、悩める若者が、職業体験をする中で、出会う人や事を通じて、本人が今の自分に必要なものを掴めるような企画にしようと方針転換をした。チャレンジ道場というのは、普段できないような物事にチャレンジしようという意志を込めた番組タイトルだ。
第一回は、養豚場。グッドラックスリーが開発する、くりぷ豚(トン)で提携している上原ファームだ。乳しぼりとかの生易しい体験だけではなく、餌やり、糞かきから、去勢、人工授精、豚移動など、一連の仕事を丸ごと体験する二日間にして欲しいとお願いした。
一日目を終えた菜月さんは、養豚業を愛し、誇りに思う、同世代の廣田さんという女性と出会い、一緒に仕事をして、食事を共にする中で、「はじめて、こんな女性になりたいと思いました」という感想で、一日を締めくくった。
狭き門であるアナウンサーという夢にくじけそうになる菜月さんに、廣田さんは、「夢を諦めてはいけない。逃げ道をつくっても良い。でも、その逃げ道がふさがっててはダメ。夢に繋がる逃げ道を選ぶべきだ」と力強く語りかけた。養豚場で、活き活きと仕事をしていた廣田さんが、真っすぐと伝えたことが、菜月さんの心を揺さぶった。

「何を伝えるかではない。本人が感じ掴み取ったことが全てだ」
このことを痛感した一日になった。
現場には、言葉を超えたものが沢山ある。言葉よりも、表情、雰囲気の方が、本当の気持ちが表れやすく、映像は、それを切り出す手段として優れている。
菜月さんが感じ取ったことが、映像を通じて、視聴者に伝わるような、たけうち和久のチャレンジ道場にしていこうと誓った一日目となった。
このような機会を創って下さった、Pandoの皆様に、感謝を申し上げます。

たけうち和久のチャレンジ道場 番組プロデューサー井上和久