行動中毒という病に長らくかかってきた。最近は、「先が見えない不安、漠然とした不安を、行動することで紛らわそうとしているな」と自覚できるようになってきたので、甚大な被害をもたらす前に、セーブできるようにはなってきた。
行動中毒が、自分だけに閉じている時はまだ良い。この病の真の恐ろしさは、他人にも行動中毒を押しつけ、結果的に、周りを、チーム全体を不幸にしてしまうことだ。
「行いて、余りあれば、文(ふみ)学ぶ」という金言がある。まず行動してから、余裕があれば、勉強しなさいという意味だ。経験的にも、ごちゃごちゃ言ったり、悩んだりするくらいなら、動いてみると、新しい発見があったり、停滞した状況を突破できたりする。しかし、副作用に注意しないといけない。この行動したことによる成功体験は、行動すれば道が拓けると、過度に行動に頼りなんとかしようとする行動中毒を促進する材料になっている。
成功を重ねるにつれ、無自覚のうちに、行動すれば、成功に近づいていくというパターンが補強され、毎日は、行動で溢れてくる。目標に向けた、終わりなきタスクリストが、自分の首を絞めて行く。そして、自分で消化できないなら、周りも巻き込んでしまえと、チーム全体、会社全体を行動中毒で覆い、終わりなきタスクリストが全体に溢れかえって行く。人生を幸せに生きたい、良く生きたいと精一杯やろうとしている人たちが、いつの間にか、集団で行動中毒となり、終わりなきタスクで不幸に陥る。
23歳くらいだったか。この行動中毒に陥り、首が回らなくなった私は、相談しやすい上司に、「2つプロジェクトやっていますが、今の自分の実力では、2つとも中途半端で成果を出せていません。どうしたら、よいですか。」と率直に相談してみたことがあった。
上司の答えは明快だった。「一つ捨てて、一つに絞りなさい。一日一つでも重要なことをやり遂げたら、人生は前に進んでいく。」「そのアドバイスに1億円払っても良いという経営者もいたそうだよ」と教えてくれた。
当時の自分としては、かなり意外だった。一日一日を可能な限り最大パフォーマンスさせたかったし、大事なクライアントからの仕事を捨てるなんてできない。実際問題、2つあったプロジェクトのうちの1つを捨てたという記憶もない(笑)
ただ、真面目な上司が、真摯に答えた「一つ捨てなさい。一日一つでも重要なことをやり遂げたら、人生はそれで良いのだ」というのは、ずいぶん、私の心と身体を楽にした。
それから15年経った今も、私のタスクは相変わらず、溢れていて、残タスク281件と、わけ分からなくっている(笑)どうしたものかなーと、もう片っ端からやるしかないのかな、憂鬱だなーと、行動中毒になりそうになる時、この15年前の上司からの助言が思い出される。
「今日、自分の人生にとって、最も重要なことはなんだろうか。」
この問いの答えと向き合って、まず一つやり遂げる。そうすると、弾みがついて、もう少しいろんなことが前に進んでいく。
今は、代表取締役として、プロジェクトリーダーとして、会社全体、チーム全体に影響力が大きい立場になった。
「今日、会社にとって、このチームにとって、最も重要なことはなんだろうか」
まず、その問いから、今日の仕事を始めよう!
これはかなり重要な洞察ですね。考え抜いて答えを絞り出し、確信を持ってやり遂げる、これが意味を持つ活動の必要条件だと思います。
松下さんと仕事させてもらっていると、それを体感できます!まず、今日、心掛けます!
行動中毒というのはすごく頭に残る言葉ですね。
行動中毒という言葉から、ひとつ研究のアイデアが出てきました。
本業と新規事業探索の割合に最適値はあるのか?という研究です。
これから取り組もうと思います。
1つの投稿から、研究テーマを思いつくスピード感!
本業と新規事業探索の割合は、バーベル戦略では、8:2とか言われています。
スタートアップだと、もっと高めなんでしょうね。
本業の定義にもよりますが、気持ち的には、7:3位でやっている感覚です。
これは良いことをききました。
8:2や7:3はすごくヒントになります。
会社の年齢や業種の違いを考慮しないといけませんね。
あと新しいことは儲からないが優秀な人を採用するための人事戦略として使えるということもありそうですね。
いずれにせよ、ご返信ありがとうございます。
ブラックスワンを参考にしてます!
2割は、意味不明なこともやる。