扇子と団扇


お久しぶりです。永井です。突然ですが皆さんは扇子ときいて、何を思い浮かべますか?団扇と扇子の違いはご存知でしょうか?

今回は、身近に根付いてそうで意外と知られていない扇子と団扇についてご紹介したいと思います。


団扇

「うちわ」の語源としては、翳(は)を用いて害=ハエや蚊などの虫を打ち払うことから、「打つ翳」→「うちわ」となった。という説が有力です。また、虫だけでなく、病気や魔を打ち払う魔除の意味もあったとされています。

 うちわが中国から日本に伝わった時には、うちわとはよばず、「さしば」「翳」と呼ばれていました。また、形も今よりも柄が長く、形の大きいものでした。中国ではくらいの高い女帝などが、権威の象徴として所持していたが、日本では先程申したように、虫を払ったり、くらいの高いひとが顔を隠したりするのに使われていたそうです。素材も、今と違い、全て木材でできていたため、今のように仰いで使うのには不向きだったと言えます。日本で庶民が一般的にうちわを使うようになったのは、室町時代にはいってからでした。素材にも和紙の加工技術が加わり従来のものよりも軽くて丈夫なうちわが完成しました。また、時代が流れるにつれ、デザインも単調なものから、当時流行っていた浮世絵や俳句などが印刷されるようになり、芸術性に長けるようになりました。

 団扇の「」は固まり、という意味があります。先ほどの写真から見て取れるように、はじめは丸型の木材の塊だったことから、「団」という言葉が用いられるようになになりました。


扇子

 せんすは団扇と違い、もともと日本で生まれたものです。当初は扇(おうぎ)、檜扇(ひおうぎ)と呼ばれ、装飾品として親しまれていました。これもはじめは位の高い人のみ使われていましたが、茶道、踊りに用いられるようになってからは、これらの芸能と共に庶民にも普及するようになりました。

 扇子の「」はもともとあった扇が小さく折り畳んで持ち運べるようになったことで付けられた接尾語と考えられています。


ここまで、扇子と団扇のそれぞれの歴史をご紹介しましたが、発端から相違点があったことがお伝えできたと思います。現代の団扇と扇子の違いとしては、主に用途 と構造にあります。

用途の違い

扇子は現在、茶道や踊り、歌を唄う際に用いられるもので、 私が日本舞踊を習う際には「命よりも大事」と幼いころから教わるほど、神聖なものとして扱うように教わりました。また、踊りの中にも最も頻繁に用いられ、雪、花、杯、様々なものに形を変えて捉えられます。それに比べ団扇は、扇風機のような用途で、仰いで風を送るのに用いられます。

構造の違い

扇子は持ち手の部分が「」と呼ばれる骨を束ねて固定しておく部分があるのに対し団扇は骨の集まった部分の下にある柄を持ちます。また、スライドさせて折り畳める扇子のような団扇にも、持ち手となる柄があります。柄のない団扇もありますが、扇ぐ面の一部に持つための穴があるなど、団扇は扇子のように手に持つ部分と骨の固定部分が一緒になっていません。(下図)

扇子

団扇

比較点が転々としてしまいましたが、団扇と扇子は根本的に違うことをお伝えできたら幸いです。この夏はマスクと一緒に過ごす、暑く過酷な期間になると予想されますが、可愛いがらや涼しげな柄の団扇を持ち歩いて、日本ならではのグッズを身近に置いていただけたら幸いです

まゆぽん
2020.07.21

夏祭りと言ったら扇子もしくは団扇でいつもどっちを持って行こうかと悩んでいました笑
けどこんなにも違うのですね!!驚きました!どちらも日本らしく風情があって素敵ですね!

Ellie
2020.07.20

扇子や団扇など、留学した時に持って行ったらとても興味を持たれました。扇子と団扇の違いがやっと分かって面白かったです。

あん
2020.07.01

今とは違う使い方だったんですね…!! 最近は冷房などに頼りがちではあるけれど、団扇や扇子の文化も守っていきたいです!

Ayaka
2020.06.27

団扇の名前の由来、とても面白いですね。扇子との違いも知りませんでした…!
最近では扇風機も気軽に持ち運べるようになって団扇や扇子をあまり使わなくなりましたが、暑さを乗り切るだけでなく、扇子は芸能の道具としても使われていたと知って、どちらも日常的に取り入れたくなりました☺️

HINAKO
2020.06.27

扇子はお稽古事に、団扇は気軽に使えるイメージがあります。納涼祭など今年は難しいかもしれませんが、浴衣を着て、可愛い団扇を持ってテンション上げて夏を楽しみたいですね!