熊本農業高校では文化祭を南園祭と呼び、例年11月初旬の金曜日に農業クラブが主催する農業高校独自の行事である収穫感謝祭を行い、校内でとれた農産物を使用して、全校生徒でカレーを調理して収穫の恵みに感謝して、会食を行います。その後、土曜日から日曜日までの2日間で南園祭を行っています。令和2年度は体育大会が中止となってしまったため、南園祭の実施も危ぶまれましたが、生徒会で感染予防対策をとった上で何とか実現できないかと7月から構想段階に入りました。関係職員や生徒会執行部での議論の結果、収穫感謝祭と南園祭をまとめて2日間に短縮して開催することになりました。また、南園祭当日に学年ごとに時間を設定したため、「南園祭当日に何をするか」が課題としてありました。そこで、各クラスの生徒会代議員、ルーム長(学級委員)、文化委員を代表者として生徒会が召集し、「南園祭当日に何をしたいか」を話し合わせて、「感染予防対策をとった上で有志によるステージ発表」が提案されました。この提案について、関係職員と話し合いを重ね、学校側からも承認されました。感染予防の観点から、ステージ発表は学年ごとに分けて開催することが決定し、いつも行っている発表を動画にしたり、学年ごとにステージ発表を行う有志の生徒を募ることも決定しました。ステージ発表の照明や暗幕、音響、消毒、換気、司会などの運営スタッフはすべて生徒会執行部が担当しました。感染者が減少し、徐々にイベントなどが解禁されていたため、さまざまなイベントの感染防止ガイドラインを調べ、3つの感染予防対策をステージ発表に適用しました。1つめは、ステージ発表の際に、体育館内で、使用したマイクや椅子は1回ずつ消毒し、換気の時間の設定も行い感染予防対策を徹底しました。2つめは、ステージと生徒の最前列の距離を5メートル以上空け、各クラス名簿順の3列で、約1メートルずつ距離を開けて体育館に並ばせました。3つめは、感染症予防対策として、①マスクの着用、②手指消毒、③大声を出さない、④ソーシャルディスタンスを保つ、⑤手洗い・うがいの徹底等について担任の先生を通して生徒へ呼びかけていただきました。
1日目は、収穫感謝祭を午前中に行い、午後から3年生の学年ステージ発表を行い、図書委員会や農業クラブの映像による発表、生徒有志によるステージ発表、生活科によるコスチュームショーが行われました。生活科コスチュームショーは生活科保護者が観覧できるよう一部公開としました。2日目は、午前中に2年生と1年生の学年ステージ発表を行い、合唱コンクールをはじめ、図書委員会や農業クラブの映像による発表や、生徒有志によるステージ発表が行われ、大いに盛り上がりを見せました。また、生徒会執行部の生徒(現生徒会長)が生徒会顧問に「各学年の発表を動画でとっておき、それを後程熊農生限定で公開するのはどうか?」と提案しました。その提案が許可され、動画撮影を行い、YouTubeにて限定公開することで他の学年のステージ発表が見るようになりました。学年ステージ発表と同時並行で、1年生と2年生は、クラス毎に展示物観覧の時間を設定して展示物観覧を行い、3年生は、保護者向けの農産物・食品加工販売を行い、午後から一般向けの販売を行いました。展示物は、体育館1階を使用して、2年生のクラス別作品、生活科、書道部、美術部、写真部、手芸部、華道部、図書委員会、文化委員会、保健委員会が展示を行いました。展示物観覧の際には、一方通行の動線を作り、ポイントに案内役の文化委員の生徒を配置しました。生徒会執行部や文化委員を中心に2日間にわたり企画・運営を行いました。例年通りの一般公開は出来なかったが、コロナ禍の中で学校行事を実施できる機会になりました。