六信五行

 皆さんこんにちは。
 Vent arrière 月曜担当の白川です。

 今回私はイスラムの中でも重要な生きるルールである、「六信五行」について書いていこうと思います。

 六信五行は「ムスリムがその存在を信じるべき6つの事柄、ムスリムが行うべき5つの事柄」の事を指します。これらもすべてコーランに書かれており、ムスリムの最も大切な義務とされています。では一つずつ簡単に書いていこうと思います。

<六信>
①神:イスラムでは一神教であるため、神は唯一ということが大原則になります。ちなみによく聞く「アッラー」とはアラビア語で神という意味なので、神の名前ではありません。

②天使:アッラーの命令を忠実に実行するために働く存在で、コーランをムハンマドにもたらした「天使ジブリール」が代表的です。イスラムでは誰でも右肩には善行を、左肩には悪行を記録する天使がいるとされています。

③啓典:神の言葉を集めた書物のことで、イスラムでは「コーラン(クルアーン)」が代表的なものです。ユダヤ教の「旧約聖書」やキリスト教の「新約聖書」もコーランと同じ神から下された啓典とされていますが、「人間が神の言葉を正しく理解せず歪曲してしまった」と考え、コーランこそが「神が与えた最後で最高の言葉である」とされています。

④預言者:啓示(神からの言葉)を預かりほかの人に伝える人のことで、コーランではアダムを始め25人の預言者が紹介されています。五大預言者としてノア、アブラハム、モーセ、イエス、ムハンマドが挙げられています。

⑤来世:死後の世界のことで、イスラムでは「現世は仮の世界、来世こそ本当の世界」と考えられています。最後の審判で②の天使の記録によって天国か地獄かに決められ、その世界で永遠に住み続けなければいけません。

⑥天命:「この世の物事すべては、神アッラーの意思によって定められている。」というのがイスラムの基本的な考えです。インシャーアッラー「神が望むなら」という言葉を未来を語るときに必ずつけます。

<五行>
①信仰告白:「アッラー以外に神はなく、ムハンマドは神の使徒なり」とアラビア語で宣言することです。イスラムに入信するときには、この言葉を二人の男性の証人の前で唱えなければなりません。また礼拝のときにもこの言葉を唱えています。

②礼拝:一日に五回(夜明け、正午、午後、日没、夜)メッカの方向に向かって礼拝することで、清潔な場所ならどこでも良く、絨毯やマットなどを引いて礼拝する人も多くいます。

③喜捨:自分の財産(1年以上所有している現金、農作物、家畜など)の一部を貧しい人(貧者や困窮者、ザカート管理者、戦士、旅行者)に分け与えることで、現金の場合、全体の2.5%が対象です。また、義務の喜捨を「ザカート」、自発的な喜捨を「サダカ」といい、喜捨は善行にあたるので天国へ近づくといわれています。

④断食:ラマダン月(イスラム暦の9番目の月)の間、飲食を含むあらゆる欲望を断つことで、断食は日中のみです。ただし病人、妊婦、旅人、戦闘中の戦士などは免除されています。

⑤巡礼:一生に一度、イスラム最大の聖地メッカに巡礼することで、これだけは経済的・体力的に可能な人だけが行えば良いとされています。

 これらがイスラムの生きるルールです。これらのルールに従って生きている人をムスリムと呼びます。宗教とは人がどう生きるのか、なぜ生きるのかということに対しての一つの答えだと思います。ですので、宗教ごとに考え方が違うのは当たり前のことだし、もっといえば、一人一人考え方は違うはずです。そこでお互いの考えを否定するのではなく、尊重し、理解し合うことが大切だと思います。

ではまた来週✋

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