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変化の激しいこれからの社会を生きていくために

2008年の学習指導要領改訂以降、文部科学省は、変化の激しいこれからの社会に対応していくために、「健康と体力」「確かな学力」「豊かな人間性」から構成される「生きる力」の育成を学校現場の教育方針として掲げています。従来のような、指導者主導型の知識の伝達・暗記教育から脱却し、子ども達が主体的に学び続けることができる力(自立力)を身につけることが希求されています。この「生きる力」とは、まさしく生涯にわたって自分らしい生活を営むために必要な基礎的能力であり、且つ日常生活における要求や問題に対して適応的かつ建設的に行動できる心理社会的能力と言えます。

この心理社会的能力を高める一つの方法として、WHO(世界保健機関)は「日常生活で生じる様々な問題や要求に対して、建設的且つ効果的に対処するために必要な能力」をライフスキルとして定義し、ライフスキル教育の必要性を全世界に向けて提唱しました。


ライフスキルとは…

日常生活で生じる心理的変化や社会的変化に対する適応力を高めるためのスキルとして、WHOは5組10種類を具体的なライフスキル(技能)として挙げています。

1-1.自己認識スキル

自分のモラルや価値観、性格、長所短所、好き嫌い、行動を規定している要因について認識できる能力。自己認識スキルを高めることにより、効果的なコミュニケーションや良好な人間関係構築、有効な問題解決が促進される。

1-2.共感スキル

他人の考えや主張を、その人の立場になって感じたり理解したりすることができる能力で他人に対する配慮や支援を促進させる。共感性を高めることは、結果として「他人から共感される力」となる。

2-1.創造的思考スキル

情報を組み合わせて独創的な考えや計画、物などを作り出すことができる能力。また、どんな選択肢があるか、行動あるいは行動しないことがもたらす様々な結果について考えることを可能にし、意志決定及び問題解決の能力を培うに際して不可欠な能力である。

2-2.批判的思考スキル

情報や経験を客観的な方法によって分析することができる能力。批判的思考を高めることにより、価値観や仲間の圧力、メディア等のような人々の態度や行動に影響を及ぼす要因を認識し、評価することができる。

3-1.コミュニケーションスキル

文化や状況に応じた方法で、言語及び非言語を使って効果的に自己を表現する能力。意見や要望だけでなく、感情を表現できることであり、必要な時にはアドバイスや助けを求められることを意味している。

3-2.対人関係スキル

他人と積極的な方法で関わり、親しい関係を持続できる能力。精神的・社会的健康にとって重要な友人関係を築いたり、維持したりすることを可能にする。

4-1.情動対処スキル

不安や喜怒哀楽の感情がどのようにして行動に影響するのかを認識し、感情に適切に対処することによって行動をコントロールする能力。

4-2.ストレス対処スキル

生活上のストレス源を認識し、ストレスの影響を知り、ストレスのレベルをコントロールできる能力。物理的環境やライフスタイルを変えることによって、ストレス源を少なくすることを含む。また、避けられないストレスによる緊張が健康問題に進展しないように、リラックスする方法を学ぶことを意味している。

5-1.意志決定スキル

個人がある問題を判断し、期待された効果を最大限に実現するために、幾つかの選択肢の中から最良と考えられる一つを選択できる能力。意志決定スキルは何がやりたいのかという目的意識を明確にさせ、方向づけを行うのに有効であり、人生に主体的に取り組むことを容易にする。

5-2.問題解決スキル

重要な問題を的確に発見し、その問題を解決するためのあらゆる方法を考え、それぞれの長所短所を考え合わせて最適な方法を選択し、どのようにしてこれを実現できるかを計画できる能力である。ニーズの把握(自己認識スキル、批判的思考スキル)→問題の明確化(批判的思考スキル)→仮説・計画(創造的思考及び意志決定スキル)→実行(コミュニケーション及び対人関係スキル、情動対処及びストレス対処スキル)といった問題解決過程を経て形成される総合的なスキルである。目標設定スキルも問題解決スキルの一種と言われる。


ライフスキル教育の期待効果

ライフスキルに関する指導は様々な領域へ展開されており、その有効性が示されています。具体的には、青少年の喫煙防止、思春期妊娠、知的能力の向上、いじめ防止などがあります。こうした幅広いヘルスプロモーションや予防教育においてライフスキルが指導されるということは、各プログラムの固有価値を超え、普遍的な価値をライフスキルが保有していることを示しています。つまり、アスリートとしてのパフォーマンス向上を目的に、スポーツフィールドでライフスキル教育を実践した場合、そこで培われたライフスキルは一般生活においても効力を発揮できることを示唆していると言えます。

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