大学生アーティストがラップに込める想いとは。

こんにちは。
明治学院大学経済学部三年の伊部 凜(いべ・りん)です。
「明学人」では明学生を通して、明治学院大学の魅力を発信していきます。

 今回紹介する学生は油屋イルム(あぶらや・いるむ)さん。

油屋さんは2015年(当時高校二年生)からダンスを始め、現在はラップやアパレルブランドの立ち上げなど、現役学生ながらアーティストの道を切り開いています。

今回はそんな油屋さんについてインタビューしてきました。

 

正直僕は髪の色なんて自由でいいんじゃないのかな?
髪の毛の色だって、アイデンティティだと思います。


ー まず、油屋さんは何をしている人なんでしょうか?

主に、ダンスとラップをやっています。

高校二年生の時にEXILEに憧れてダンスを始めました。
今はEXILEになりたいというわけではないけれど、アーティストとして活躍していきたいという思いは高校二年生の頃から今も変わっていないっすね。

一年前から、ダンスよりもラップをメインに活動しています。
踊って伝える表現から、言葉で伝える表現にシフトチェンジしたんです。ライブとかでは、ラップをしながらダンスもしています。
せっかくステージに立っているのに踊らないのは勿体無いですし(笑)

ー ラップを歌うということは、歌詞は自分で書くんですか?

はい。歌詞は全部自分で書いています。

恋愛のことについても書いたりしますが、今は主に「日本人に対する違和感」をテーマに、自分のフラストレーションからくる想いを歌詞に書き出しています。
例えばですけど、高校生の頭髪注意とか。
正直僕は髪の色なんて、自由でいいんじゃないのかな?って思うんです。
髪の毛の色だって自己表現の一手段であり、アイデンティティだと思います。

以前は自分の夢をテーマにしていたこともあったんですけど、もっと聴いてくれる人たちに共感が生まれるようなものを書くようにしています。


僕は「それってなんでダメなんだっけ?」という視点を持ちながら、時には肯定することをしていきたいです。


ー なるほど。
ちなみになんですけど、大学の友達はだんだん就職活動を始めているかと思いますが油屋さんは就職をしたいという気持ちはあるんでしょうか?

就職するつもりかどうかでいうと、するつもりはないっすね。
就職活動を頑張っている人や、実際に会社に勤めている人たちは本当にリスペクトの想いしかないんすけどね。

就職しない道を選ぶということは、就職した人たちと同じくらいまたはそれ以上のスキルやお金を自分で手に入れなくてはいけないということだという自覚はあります。
なので、他の同年代が就職活動を頑張っている今、僕は僕なりにできることを必死でやっています。

ー 何か今特に頑張っていることは具体的にありますか?

それでいうと、「iLLEGALAiN」という服のブランドを始めました。
コンセプトは「雨のように降り止まない違法行為」。


Instagram:https://www.instagram.com/illegalain/?hl=ja

世界にはそれぞれの国や地域にルールや文化がありますよね。ここでは許されていることが他の場所では違法行為である、みたいなことはよくあると思います。

多くの人は何も知らないまま、決まっているルールだけを見て物事を批判しますよね。大きいところで言ってしまうと、なぜアルコールがOKで大麻がダメなのか。
皆んなはなぜダメなのかを考えずに、ダメだからダメとしか思ってないんです。
これはあくまでも一例ですけど、すごい大きい点だと僕は思います。

僕は違法行為とされていることも「それなんでダメなんだっけ?」という視点を持ちながら、時には肯定することをしていきたいです。
その想いの延長線上には、自分のやりたいことや夢がこの世間に根付いている「普通」という概念によってバカにされるんじゃないかと思って口に出せないような若者の背中を押したいという気持ちがあります。


日常の中でクレイジーなほどの喜びや楽しさの感情表現をできるような世界になって欲しいなと思うんです。


ー そういう思いを抱いたきっかけとかってあるんですか?

もちろんあります。
自分の曲がいっぱいできたタイミングでアルバムを作ろうと思い、親友がそこで住んでいたのもありベルリンへ1か月行ったんです。
そこで親友と観に行ったポスト・マローンというラッパーのライブがびっくりするくらい格好良くて衝撃的でした。

一曲一曲が終わるたびに会場に響き渡るような声で「ありがとう」と叫んだり、大盛り上がりする曲では演奏中にギターをぶっ壊したり(笑)かと思えばしっとりと聴かせる曲があったり。

そのライブを見て、一緒に盛り上がっているお客さんの雰囲気が本当に良かったんですよね。そのラッパーのパワフルさに活力をもらってみんなでバカになっている感じが最高でした。あの光景は死ぬまで頭から離れないと思います。
その時に、「これは格好良すぎる。こうなりたい。」と思ったんです。

ー では最後に、油屋さんが自身の活動を通して成し遂げたいことはなんでしょうか?

僕の曲やラップに触れたみんなが心の底から一瞬一瞬を楽しめるようになってほしいです。

僕は、世界の人たちの根本にある「楽しいを表現する力」をリスペクトしているんです。
世界の人たちは、全身を使って感情を表現するんすよね。例えば僕の好きなラッパーも、いい曲ができた時にはその喜びをフルで表現していてもはや暴れてました(笑)「いい曲できた!嬉しいーー!」って感じで。

日本人も、好きなアーティストのライブでノリノリになったり、スポーツ観戦で一生懸命応援したり、そういう機会はあると思うんすよね。
でも日常の中にそういったクレイジーなほどの喜びや楽しさの感情表現が欠けていると思っています。

僕は日々、「やりたいことも夢も、楽しさも喜びも、もっともっと全身で表現していいんだ」というメッセージを歌に乗せて伝えています。
これからもっともっと大きな影響力を持って日本を変えていきたいと思っていますし、僕のライブに来た一人でも多くの人が一緒にぶち上がれて、そしてその感情の爆発がみんなの日常にも反映されてほしいな、と思っています。


写真提供:油屋イルム

書き手:伊部 凜
    明治学院大学 経済学部 国際経営学科

岩尾俊兵
2019.12.17

面白い記事でした。
違法行為云々は……ですが、ラップやヒップホップをはじめとしたカウンターカルチャーが「真面目に不真面目をやる」という信念であるということが分かりました。