じいちゃんとの別れ

10月2日私の大好きなじいちゃんが亡くなった。

享年94歳。呆ける事もなく最後は大往生だった。
約2年前から介護施設に入っており、コロナ禍になってからは施設から訪問面会NGが出ており直接あったのは9ヶ月程前になる。ただ、施設の方の配慮で少し前からLINEでテレビ電話が可能になっていたため、2週間前に画面越しではあるが顔を見て話をする事ができた。その時はまさかそれがじいちゃんとの最後の会話になるなんて思いもしなかった。

施設に入ってからはみるみる体力が落ち最後に訪れた時はベットから起き上がることもままならない状態であったが私は訪れる際、毎回曾孫を連れて訪れていたので、毎回嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

訃報

毎週の定例MTGが終わると3時間ぐらい前に珍しく叔母からlineが来ていた事に気づいた、「いよいよ危ないそうです」と。2日程前から体調を崩していたのは聞いていたが、まさかと思いすぐに電話をすると叔母は施設に向かうタクシーの中で第一声が「じいちゃん逝っちゃった」だった。月並みだけど本当に何を言っているのか理解出来なかった。頭が真っ白になり、冗談でも言っているんだろうと思い聞き返すが同じ返答。(私:本当?)(叔母:本当。)その瞬間とうとうその時が来た事を理解した。そこからは一刻も早くじいちゃんの所に行きたくて、大変申し訳ないが、上長に訳を話してすぐに施設に向かった。施設に着くとそこには変わり果てたじいちゃんの姿があった。覚悟はしてたし、親族はみんな明るいので暗いムードで泣きじゃくるなどはなく、結局涙を流したのは私一人だった。

体調が良くないと聞いてから、感謝の気持ちを手紙に書こうと思っていた所だった。良く「後悔先に立たず」と言うが、今までの人生でこの時ほど痛感した事はない。

記憶の中

戦争を体験している祖父母はいわゆる古い人ではあったが、厳格な感じとは少し違っていた。私がじいちゃんを思い出そうとすると決まって満面の笑顔。と、新聞を読み書き物をしている姿だ。(ちなみにじいちゃんは色々な所で組合長をやっており、常に書き物をしていて、どこかで演説する原稿を書いていた。夢の中でも演説していたようで、よく、寝てるのに大きな声で上手く聴きとれない何かをしゃべっていた。)

こんな人

・歴史や政治経済に明るく博識で、遠出をするとその土地に関係する事を何かしら永遠数珠繋ぎで話してくれた。(おしゃべり)

・年の割にユーモアがあって愉快(じいちゃんの周りは笑顔が多かった)

・勉強熱心で施設に入っても最後までずっと本を読んでいた。(本の所有数は4桁はあったのでは?)

・人のために活動する事が生きがいだったのだろう、施設の従業員のために、労働組合を作ろうと、最後まで従業員にそんな話をしていたそうだ。そのせいか、人気者だったようだ。亡くなった後、スタッフの方に晩年の話を聞きたいと言ったら入れ替わり立ち替わり色んな人が話に来てくれた。施設からの見送りの際にも涙目のスタッフの方が複数人いた。(人から慕われていた)

・仕事もプライベートも活動もどんな事に関しても殆ど愚痴を聞いたことも悪口を自ら言っているのも聞いたことがない。(争いを好まない)

じいちゃんは常に精力的に何かに取り組んでいた。施設に入る前はよくある大きなカレンダーに予定を記入していたのだが、空いている日が無く私より忙しくしていた。

そして、怒られることはあまりなかったと思う。それは私が良い子という事ではなく、本当に悪い事、叱らなくてはいけない場面でしか、叱らなかったからだ。
あと、忘れてるだけかも知れないが、あーしろこーしろと言われた記憶もない。心配をしながらも、好きな事を頑張りなさいって事をよく言われてた気がする。

私の想い

これは小学生のころから周りに公言していて、大人になった今でも未だに変わらない事だが、私が世界一尊敬している人物はじいちゃんである。

自分の信念にただ真っ直ぐ死ぬまで進み続けたであろうじいちゃん。

よくよく考えてみると私を形成するうえで、非常に大きな影響を与えている。私のビジョンやマインドはここから来ているものが多いと思った。何か遺言があったわけでも、格言があったわけでもないが、じいちゃんが人生をかけ背中で見せていてくれたのだと思う。

こんな風になりたい。
私はいつの頃からかそう想っていたのだ。

そんな今は亡きじいちゃんに、誓う。
認めてもらえるように。安心してもらえるように。胸を張って實の孫だと言えるように、一生をかけて精進していく。

本当に今までありがとう。

れな
2020.10.31

お疲れ様です。
矢口さんの記事を拝見させていただき、私はとても感動しました。(泣きました😭)
「別れ」は非常に辛くて苦しいですよね(泣)
私は学生の頃、母親に「親は先に死ぬんだから自立しなさい」と言われて今でも言われ続けています。

関連記事