スーパーAI入門

この記事は前回のウルトラAI入門の続きで、今回はAIの歴史について紹介したいと思います。

ウルトラAI入門

株式会社クインテット

実は今回のAIブームは3回目です。そこで今までにどんなブームがあったか、強いAIの実現がなぜ難しいのかなどを深くまでは掘り下げず、流れだけをつかめるように雑に説明していきたいと思います。

これを読み終わったころには最低限のAIリテラシーを身につけ、他の人にAIとはどういうものかを説明できるレベルになっているはずです。


第一次AIブーム

まず第一次AIブーム、推論・探索に関するブームです。これはコンピュータが発明されてすぐの時期に起こりました。

推論・探索とはゴールとルールが決められているものに対して、よりよい解をみつける手法です。例えば、迷路を素早く解くようなAIのことです。迷路のすべての道順を知らべ(総当たり法)、一番早い道順を見つけたりします。

しかし、囲碁などおいては打つ手をすべて調べるにはあまりにパターンが膨大すぎて、とても時間がかかってしまいます。さらにこのAIは、ゴールとルールがきっちり決まったゲームのような世界でしか役に立たず、現実世界の問題を解くには力不足でした。

計算時間の問題と現実世界での利用が難しいということで第一次ブームは終了してしまいます。


第二次AIブーム

そして次に第二次ブームが来ます。これはエキスパートシステムに関するブームです。エキスパートシステムとは、その名の通り専門家(エキスパート)を模したシステムです。

例えば、動物専門家のエキスパートシステムだとすると、[哺乳類, 爪がある, 牙ある, ...]というように条件を与えると、それが何の動物なのかを答えるというものです。

第一次ブームが終結した理由の一つである現実世界での利用。このシステムはそれを解消してくれるようなものだと期待されました。

しかし、これはあらゆるルールをコンピュータに覚えさせなければなりません、さらにルールにないような例外的な事例についても対処ができません。多くの例外が起こりうる現実世界での利用は難しいと、またしてもブームは終わってしまいました。


第三次AIブーム

そして、今回の3回目のブームである第三次AIブームが起こりました。今回のブームの主役はディープラーニングというものです。これは機械学習の学習法の一つです。

機械学習とは、データから特徴量と呼ばれるものを抽出し、それを機械に学習させることです。例えば、猫の画像を機械に学習させるとき、猫の特徴量として[色, 耳の形, 足の数]というものをデータから抽出します。そして大量の画像を使い、それらの特徴量を機械に学習させるというものです。イメージとしては、機械が大量の猫の画像を見て何が猫かを学習する感じです。

これは人間が猫というものを学習する過程に似ているとおもいませんか?このディープラーニングとは、ニューラルネットワークとも呼ばれ、人間の脳をコンピュータ上に疑似的に再現したものです。人間が学習するようにコンピュータにも学習させようということです。

詳しく説明しようとすると長くなってしまうので省きますが、このディープラーニングという学習方法が発明されたことによって、AIは画像認識において人間を上回りました。つまり、例えば猫の画像を見たときに、それが猫だということを認識するのは簡単かもしれませんが、その猫の猫種を分類するのは種類によっては人間でも難しい問題になります。それをAIが高い精度で分類することができるよになったのです。このことは「AIが人間の目を超えた」というふうに表現されることもあります。AIが人間の目を超えたならば、現実世界での利用も可能です。実際に現在では自動運転や顔認証などに使わています。

現実世界での利用は可能になりましたが、まだ目を超えただけですので汎用的に利用できるわけではなく、まだまだ人間を超えるのは難しいとされています。その原因の一つとしてフレーム問題というものがあると言われています。


フレーム問題

フレーム問題とは、機械が何かタスクをこなそうとしたときに、何がそのタスクに関係して何が関係していないかを判断することが難しいというものです。例えば、ロボットが倉庫から商品を取ってくるように言われたとします。もしその商品の上に爆弾が乗っていたとしても、ロボットはお構いなしにそのまま商品を運ぼうとして爆弾は爆発してしまいます。人間においてはこのようなことは起こりません。爆弾が乗っていればそれを下におろすなどの対応をするでしょう。

このように現実世界においては対処しなければならない問題が無限にあります。それをロボットがうまくタスクに関係するものだけを、フレームの中におさめる必要があるのですが、これがとても難しいのです。

ここで、ディープラーニングの話に戻るのですが、ディープラーニングでは特徴量の抽出を自動でおこないます。つまり、どのような特徴が重要かをAIが判断するということです。これはフレーム問題に通じると思いませんか?あるタスクをこなそうとしたときに何が重要で、何が重要でないかをAIが判定し始めているのです。現段階ではフレーム問題を解決したとはまでは言えませんが、今後の発展次第でAIが人間を超えてくるとこがあるかもしれません。


まとめ

この記事ではAIの歴史について流れだけを書きました。

  1. 一次ブームは探索・推論 
  2. 第二次ブームはエキスパートシステム 
  3. 第三次ブームはディープラーニング
  4. 今回は第三次ブームでAIが人間の目を超えた
  5. フレーム問題というAI発展のカギを握る問題がある 
  6. ディープラーニングではある意味でフレームを自分で獲得している

この記事を読んでAIの歴史が何となくわかり、これからの発展が楽しみになったと思っていただければ幸いです。


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