「勝負への拘り」に見る"無我"の美しさ

新型コロナウィルスの影響で重苦しい雰囲気の中、東京マラソンから元気と勇気をもらいました。

東京オリンピックの最後の一枠をかけた争い。オリンピック出場の条件は、日本記録を更新し、日本人でトップになること。日本記録を更新できない場合は、現日本記録保持者の大迫選手が内定するという状況のもと行われました。

日本記録保持者の大迫選手、前日本記録保持者の設楽選手、アジア大会金メダリストの井上選手の3名が有力視されてましたが、大迫選手と井上選手がスタートから先頭集団を構成。25km付近で大迫選手が先頭集団から遅れだし、日本人トップの井上選手との差は10秒以上にまで広がっていました。その時点で、井上選手は日本記録を1分以上も上回るタイムであったことから、最後の一枠は井上選手で決まりかな…と思っていた矢先。

大迫選手は30km過ぎから井上選手の集団を猛追。32km付近で捉え、そこから一気にゴールまで駆け込み、結局、日本新記録で日本人トップとなりました。驚くべきは、大迫選手の「勝負への拘り」とそれを結果に繋げるメンタルの強さです。マラソンランナーと雖も、42kmを高速で走りきるだけでも相当キツイはず。そんな中、高速に着いていけずに、置いて行かれた状況から、もう一度自らを奮い立たせて「勝負」に挑む。これこそが「強者」たる所以であり、凡人との差だと感じました。

自分が彼の立場だったら…と考えると、同じような気持ちになれただろうか?マラソンは無理にしても仕事では?

大迫選手が強いメンタル状態でいられるのは、きっと「走ることの目的を自覚」していて、かつ「その目的達成のための過程で積み上げてきた絶対的な自信」があり、最後はプロフェッショナルとしての「誇り」だったのではないかと、彼のコメントを聞いていて思いました。

それにしても、彼の勇姿は美しかった。「勝負への拘り」に見る"無我"。誰もが憧れているが、なかなか到達できない境地だからだろうか。そこには、人を惹きつける魅力がある。


因みに、大迫選手のライバルである設楽選手のツイートにも感動しました。「孤独だけれど孤立はしていない。仲間はいるから。」「ひとつだけ夢をあげるなら…。次の世代の目標になりたい。」これぞ一流アスリートのコメント。素晴らしい!


関連記事