チームづくりにおけるリーダーの役割
「リーダーが変われば、組織が変わる」という言葉がよく使われるように、チームづくりのプロセスにおいて鍵を握るのはリーダーです。ただ、一言に「強いチームをつくれ」と言われても、「何をどうすれば良いのか?」「どこから着手すれば良いのか?」よく分からないですよね。
前回、「チームとグループの違い」と「生産性の高いチームの特徴」について説明をしましたが、チームづくりにおけるリーダーの役割は、そこから導き出されます。前回の話を踏まえて、チーム力を簡単に方程式で表現すると、「“チーム力”=❶“進むべき方向性”×❷“個の能力”×❸“チーム内の関係性”」と記すことができそうです。つまり、「集団」を協働する生産性の高い「チーム」に変貌させるために課されたリーダーの役割は、以下の3つに集約できます。常に、この3つの観点からチームを観察し、課題を潰していけば良いことになります。
❶チームの進むべき方向性を示す(ベクトルの共有)
個々が集まった単なる集団の時点では、それぞれの目指す方向(ベクトル)がバラバラであることが多い。ベクトルがバラバラであると、力が分散してしまい、合算しても思ったようなチーム力を発揮することができません。チームとしてのパフォーマンスを最大化するために、チームとしての目的やビジョン、目指す方向性を一致させる(ビジョンメイキング)ことが求められます。
❷メンバーの主体性・自立性を引き出す(個の育成)
チームとなることにより、メンバー個々のパフォーマンスの総和以上の成果を期待することができます。つまり、メンバー個々のパフォーマンスを高めることが、チーム力の強化にも繋がってきます。既にこれまでの研究から、「主体性」と「パフォーマンス」の相関関係が明らかになっており、リーダーはメンバーの主体性・自立性を引き出しながら、個々のパフォーマンス向上を支援する(コーチング)ことが求められます。
❸チーム内の関係性・相互作用を高める(関係性強化)
チーム内の個々のパフォーマンスを合算し、相乗効果を図るために、メンバー同士の関係性・信頼性を深め、相互作用を生み出すことが求められます。チーム内における多くのコミュニケーション機会(コミュニケーションを通じた相互理解・納得)を通じて、メンバー同士が相互の関わりを持ち、チームがひとつの推進力を得たとき、大きなチーム力が生み出されます。