セカンドキャリア問題の本質

先日、某大学生アスリートのお父さんと食事をする機会がありました。彼は今年の4月から就職し、その会社の社員としてトップレベルで競技を続けることが決まっています。どれくらい現役を続けられるのか分からない競技ゆえ、お父さんとしては引退後のキャリアのことを大変気にされていました。プロであれ、アマチュアであれ、スポーツを主たる仕事とするアスリートの多くは、いわゆるセカンドキャリアに対して不安を抱いています。

近年、JリーグやJOCではキャリアサポートセンターを設置し、選手のカウンセリングはもちろん、引退後の選手を受け入れてくれる企業を探したり、その後の人生に役立つ資格取得のサポートなどを行っています。しかし、このような表面的なサポートはあるに越したことはありませんが、本質的なサポートとは言い難いのも事実です。実際に、転職したものの、職場環境に馴染めなかったり、仕事がしっくりこなかったりで辞めてしまう事例も散見されます。

セカンドキャリア問題の本質は「企業とのマッチング機会」や「資格取得のサポートがない」といったことではなく、選手たちが引退を迫られた時に「何を経験してきたのか」「何ができるのか」を理解していないことであり、さらには「どのように生きたいのか」「どうなりたいのか」といったビジョンを描けないことです。

冒頭のお父さんにも、この話をしました。トップレベルで闘ってきたアスリートたちは、間違いなく、トップアスリートになる過程において、ビジョンや目標達成のために「向上心」や「集中力」を培い「鍛錬」し、「挫折」に直面しながらも「それを乗り越えた無類の経験」を有しています。つまり、現役時代の「スポーツに対して」と同じように、心底実現したいと思う「スポーツとは別の何かに対して」ビジョンを描くことができれば、彼らが培ってきた能力を発揮できるはずです。アスリートは、スポーツに限らず、どんな場面でも必要とされる能力を潜在的に秘めているのです。

と、お父さんに話しながら自問自答してみた。「ビジョンに対して、どこまで到達したのか?」「残された時間をどのように生きるか?」…もっとドライブをかけよう。

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kobayashi
2020.01.24

山羽代表、セカンドキャリア問題の本質について大変勉強になる記事を公開をいただきありがとうございます。
受け入れ側(企業側)にこのような問題点があったことを初めて理解しました。
元アスリートの活躍の場は、更に増えて行きますね。
楽しみにしております。

山羽 教文
2020.01.27

ありがとうございます。本日より、スポーツライフスキルについてのブログをスタートする予定ですのでご期待ください。

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