コロナに負けるな!学生生活支援Clue、活動開始。概要説明。

新型ウイルスが世界中を震撼させた2020年初頭から、気付けばもう半年以上が経過した。

数々の災害に悩まされた2018年。
その年の世相を表す漢字に「災」の字が選ばれたことは、
多くの人にっとっては最早、記憶の彼方であろうか。

翌2019年は、災害に振り回された人々の心の不安を取り払うかのように、
31年続いた平成が終わり、令和という新たな時代が幕を開けた。

世間を賑わすスポーツ界では、イチロー、稀勢の里、吉田沙保里など大物の引退、
そして八村塁や大阪なおみなどの次世代の台頭に象徴されるように、
どこか新しい時代の始まり、時代の変革が来る!というような実感を、
多くの人が抱かせた一年だったのではないだろうか。

それを示すかのように、2019年度の今年の漢字は「令」であった。
この年も決して暗いニュースが無かったわけではない。
しかし、誰しもがその先の希望を希求していたということだろう。

そして夏季オリンピックを自国開催するという、
人生にそう何度もない一大イベントが控えていたこともあり、
多くの人の期待を受けて、2020年は幕を開けたはずだった。


そんな今年も終盤に差し掛かりつつある今、確かに世界は変容を迎えつつある。

それも急速に。しかし、予想外の形に。

ご存知の通り、コロナである。


事実変化は訪れた。

平日にも関わらず、仕事に勤しむ社会人や学生はおろか、
全くといっていいほど人気がない東京の街。
まるでフィクションの世界のような光景がそこには広がっていた。

かつての世界大戦以来、ここまで人々の生活世界が制限されたことがあっただろうか。

街に冷たい雨が降る。


「緊急事態宣言」

人であふれかえるはずのGWですら、まるでそこに誰も存在してはいないかのように、
街は静まり返っていた。

歴史上初となるオリンピックの開催延期に代表されるように、
今年行われるはずだった多くの催し物が延期あるいは中止となった。
経済的な損失は計り知れない。

そしてそれ以上に、コロナは人間にとっての大事な尊厳を
深く傷をつけた可能性すらある。

とにもかくにも、人々の生活は一変してしまった。


コロナで被害を大きく受けた存在の一つには、
間違いなく学生が挙げられるだろう。

それが小学校であれ、中学であれ、高校であれ、大学であれ、
今年「新入生」となった青少年たちが、
入学してすぐに新たな学友たちと顔を合わせることは無かった。

特に今年大学1年生となった学生たちは、
夢のキャンパスライフを送ろうと胸を躍らせた矢先にコロナ騒動である。

授業は全てオンラインとなり、キャンパスは閉鎖され、
入学式はもちろん、サークルなどの課外活動もほとんどが自粛を迫られた。

知人らやあるいはSNSなどを通じて入ってくる
学生たちの声は、やはりその多くが悲しみに暮れていた。

特に一年生は、高校までとは全く勝手の違う学生生活を送るにあたって、
同級生の友達も、先輩の知り合いも中々できず、
右も左もわからないまま、膨大な量の課題に悪戦苦闘する様子が散見された。


何かできることはないか。

そう考えたのは7月の頃であった。

イギリスの社会学者のギデンズの概念を借りれば、
人間は他者とのつながりのなかに自己の存在の確信を見出す、
「存在論的安心感」無くしては生きられない。

つまり、人間は他者とのつながりの不在に潜在的な不安を感じる
生き物なのである。

このコロナ騒動は、そうした人間社会の根幹を揺るがす
挑戦を我々に叩きつけている。

人と人との間の関係性の中に生きる我々人間に、
「他者と会うな」というのである。

しかし、かつてペストが襲った中世とは違う。

現に、今こうしてこの記事を読んでくれている方がいるように、
物理的な距離を超えて私たちは対話ができている。
さらには、オンライン通話をすれば、
ほぼリアルタイムに顔を合わせてのやり取りすら可能である。
情報技術のなせる業である。

元々、このとまり木という団体で、
様々な学生と勉強会を通じて交流を図ってきた。

何かできることはないか。
そう考えたとき、真っ先に思い浮かんだのが
これまでやってきた活動の拡張である。


そういった経緯を経て、今回「Clue(クルー)」と銘打たれた活動を
新たに興すこととなった。

具体的な内容としては、
十人十色に学生生活を送る皆さんにコンタクトをとり、
このコロナのなかでどのような生活を送っているのかを
インタビューするというものである。

そしてその内容をWEBで公開し、みんなと共有する。
良くも悪くも、我々の生活はコロナの影響を受けている。

そして恐らくは悪い影響の方が多く出ているだろう。
そんな中で、他の学生がどのように生活をしているのかというのは、
誰しもが気になるのではないだろうか。

そこで情報を共有し、良い部分は参考にしつつ、
不安な部分はみんなと一緒に考えることで和らげられたら
ということを期待して、こうした形をとることとなった。

そしてさらに、インタビューを通じて多くの人に
共通して見られる課題も浮き彫りになってきた。

具体的には「留学」、「就職活動」、「『オンライン』に対する姿勢」、「在宅ワークにおける健康管理」etc.
といった具合である。

これらのトピックに関しては、別途枠を設けて
改めて複数の学生らを招集して議論、検討を実施できればと考えている。
それもまた、記事にして公開できればと考えている。

さて、長くなってしまって本当に恐縮ではあるが、
以上が「学生生活支援Clue」の概要である。


学生シンクタンクであるとまり木自体のテーマとして、
「学びの共有」ひいては「人と人とが繋がるきっかけづくり」
ということをスローガンに掲げている。

このClueも、そうした信念を体現し、多くの人にとっての追い風になることを
心より願う次第である。