マダガスカルの希望

こんにちは! Jasid-Jasnidsのなりなりです。

突然ですが、皆さんはマダガスカルと聞くとどのようなことを思い浮かべますか。ディズニー映画でしょうか。あるいはワオキツネザルやバオバブの木といった珍しい動植物でしょうか。なかにはスイーツ好きの人がいて、ハーゲンダッツのバニラビーンズはすべてマダガスカル産であるということを知ってる知識豊富な人もいるかもしれません。こうした自然豊かで、華やかなイメージが先行しがちなのですが、マダガスカルは、貧困者比率(1日1.25米ドルの生活水準で過ごす人の割合)が80%近い、世界の最貧国の1つです。

そんな貧しいマダガスカルと私たちが暮らす日本には共通点があります。それは主食がコメだということです。小麦やトウモロコシなどの生産が多くを占めるアフリカ諸国では珍しく、マダガスカルでは稲作が盛んです。しかし1ha当たりで収穫できるコメの量は、日本の4割程度でしかなく、その現状は悲惨です。非常に多くの労働者が農業に従事しているのにもかかわらず、トラクターや籾摺り機といった農業機械や水田には欠かせない灌漑設備などの農業インフラに乏しく、また干ばつやいもち病などの伝染病への対策が不十分であるため、農業生産性が著しく低く、マダガスカル国内のコメ消費をまかなえず、コメ消費の10%近くを輸入しています。しかし見方を変えれば、まだまだ収量増加の伸びしろがあるとも考えられます。マダガスカルが日本ほどの高収量とまではいかなくとも、従来の2倍ぐらいのコメ収量を実現できれば、輸入に頼らず余ったコメを輸出し、そこから外貨を稼ぎ、80%にも及ぶ貧困者比率を大幅に改善できる可能性が高いです。

そこで、アフリカにとってのコメの重要性に着目した、日本の援助機関であるJICAはビル&メリンダ・ゲイツ財団が運営するAGRA(アフリカの緑の革命のための同盟)と協力して、CARD(アフリカ稲作振興のための共同体)を立ち上げました。CARDは世界銀行やFAO(国際連合食糧農業機関)、さらに1960年代に「緑の革命」を成し遂げたことで有名なIRRI(国際稲研究所)などの研究機関を巻き込んで、アフリカでのコメ生産を10年間(2008-2018)で倍増させることを目指し、その目標は見事達成されました。私の研究ゼミでは、マダガスカルでの農家調査を行い、それをベースにした実証研究を通じてJICAを支援しています。

ただし、先進の農業手法を教え、農業インフラを整備し、必要な肥料をたくさん供給すれば、何でもうまくいくというわけではありません。どのようにすれば効果的に普及するのか、農民が新しい技術に対してどのような反応を示すのか、費用対効果の観点から持続可能な援助の姿はどうあるべきなのか、農村社会・経済のメカニズムをさまざまな視点から明らかにしていく必要があります。この点は農業技術を開発する農学や自然科学ではなく、経済学などの社会科学の出番です。

日本の技術を適切に活用し、マダガスカル農村のありようを丁寧にときほぐせば、そこに貧困脱却の道筋を描くことができるでしょう。途上国との関わり方は本当に多種多様です。私たちの活動をきっかけに、日本からマダガスカルなどの途上国へ、その人自身のやり方で夢や希望を届けられる人が現れていただけたらと思っています。