私とBACKPACKERの出会いは、大学1年生の春、新歓期。
友人と校内の並木道を歩いていると、先輩らしき人に、「旅、興味ない?」と言われ、A4の冊子を渡されました。そこに映っていたのは、青いタイルを纏った建物。その写真に惹かれ、私は冊子を受け取りました。
中を開き目に飛び込んできたのは、美しい写真の数々。真っ青な海、たわわに実った果実、悠然とそびえ立つ山々、人びとで活気付く市場や恥ずかしそうにはにかむ子どもたち。そして、丁寧に紡ぎ出される言葉の数々。私はすっかりその雑誌に魅了されました。
それが、BACKPACKERと私の出会いでした。
(BACKPACKERって?と思ったかたはこちらを読んで見てください→https://pando.life/backpacker_free/article/3481)
その夏、私は、ヨルダンとエジプトを旅しました。降るような星空の下砂漠に寝転がり友人と夜通しで語り合い、市場にて身振り手振りおじさんと話し、見慣れない調味料と穀物が入った絶品料理を食べ…
かけがえのない出会いがたくさんありました。
そして、もうひとつ、忘れられない経験をしました。それは、ヨルダンの首都アンマンでのある女性との出会いです。彼女は、戦火のシリアから逃れ、新たな地で夫と2人の子どもと暮らしていました。彼女は、私に故郷シリアへの思いや「異国」での暮らしについて赤裸々に語ってくれました。
目に見える景色や出会いだけが旅の魅力ではない。受け継がれてきた人々の暮らしや変わりゆく生活、そこで生きる人の思い。あらゆる「旅の魅力」をより多くの人に感じてほしい。この旅を通して、そう強く思った私は、帰国後BACKPACKER編集部の一員になり、今では編集長を務めています。
編集部メンバーが様々な「旅」を経て、それぞれの思いが重なり合い1冊が出来上がります。それを手にした時の編集部メンバーの清々しい表情。そして読者の笑顔は何ものにも変えがたいものです。旅することが当たり前でなくなった今だからこそ、より多くの人に、BACKPACKERを通じて「旅」をしてもらえたら、次の旅へ思いを馳せてもらえたら、そう願っています。