宇治茶の魅力を全国へ発信!その名も宇治☆茶レンジャー

急須で淹れた本物の宇治茶の味を知っていますか?

自動販売機やコンビニエンスストアの普及と共に、いつでもお茶を飲めるようになったその一方で、急須でお茶を淹れる行為は少なくなったように感じます。

日本茶の中でも宇治茶は、淹れ方を変えるだけで味が大きく変わる、とても奥深いもの。その歴史は古く、鎌倉時代初期から生産されています。

そんな急須で淹れた宇治茶の魅力を京都宇治から全国へ発信している団体、それが「宇治☆茶レンジャー」です。今回は宇治☆茶レンジャーの活動やメンバーの思いを通し、宇治茶の魅力を紹介します。

宇治☆茶レンジャー

京都文教大学の学生団体🌱宇治茶の魅力やおいしさを発信すべく、全力で活動しています!!!【活動日:毎週火曜日18:00〜】

今回インタビューを受けていただいたのは、こちらの4名の方々です。

渡邊千智(ワタナベチサト)さん
臨床心理学部臨床心理学科 4回生
チーム茶イルド班前リーダー

澤野井康之(サワノイヤスユキ)さん
総合社会学部総合社会学科経済経営コース 3回生
聞き茶巡り班リーダー

松好優樹(マツヨシユウキ)さん
総合社会学部総合社会学科経済経営コース 3回生
宇治茶スタンプラリー班リーダー

江崎洋子 (エサキヨウコ)さん
京都文教大学・京都文教短期大学 社会連携部
フィールドリサーチオフィス職員


宇治茶を広げる「宇治☆茶レンジャー」とは?

――宇治☆茶レンジャーの設立のきっかけを教えてください。

江崎 もともとはゼミの活動でお茶のスタンプラリーをしたことが始まりです。しかし、ゼミ生だけでは人手が足りなかったので大学全体で行い、最終的には京都文教大学の地域連携学生プロジェクトの第一号として、宇治☆茶レンジャーが始まりました。その後も、宇治茶を広めるためにさまざまな活動を続けています。

――宇治☆茶レンジャーはどのようなビジョンを掲げていますか?

澤野井 宇治☆茶レンジャーは「年齢関係なく多くの方にお茶の魅力を知ってもらう」というビジョンを掲げています。

特に、あまりお茶を飲まない小さい子にもっと飲んでもらえるよう考え、活動しています。

また、お茶屋さんは格式が高く入りづらい雰囲気がありますが 、実は優しい人が多いんです。より多くの人々がお茶屋さんに足を運び、雰囲気を体験してもらいたいと思っています。

渡邊 宇治に来てくれた人たちに宇治茶の魅力を伝え、その人たちから家族や友達に広めてもらい、宇治茶の魅力が京都宇治から全国に広がることも目標にしています。

さらに、宇治に住んでいるのに急須で正しく淹れた宇治茶を飲んだことがない方に飲んでもらうことで「宇治にはこんな魅力があるんだよ」と伝えたいです。

――団体として、どのようなマインドを心がけていますか?

澤野井 私たちは、お茶屋さんへの感謝を大切にしています。

宇治には平安時代末期から続いているお茶屋さんもあり、私たちの活動にはお茶屋さんの協力が必要不可欠です。だからこそあいさつ回りに行かせていただいたときは、協力していただいているからこその気遣い、思いやりを心がけています。

――みなさんが宇治☆茶レンジャーに入ったきっかけを教えて下さい。

渡邊 私の場合は、ブサコンという部活やサークルなどの団体活動を先輩たちが紹介してくれるオリエンテーションで宇治☆茶レンジャーの発表を聞いたのがきっかけです。私は福井県出身なので、宇治に来たからには宇治に関わることをしたいと考えていていました。また、宇治☆茶レンジャーはたくさんのイベントを実施していて魅力的に感じ、一緒に活動してみたいと思いました。

澤野井 私は入学時、何か団体に入って友だちを増やしたいと考えていました。いくつか団体の説明を聞いた中で、一番話しやすい雰囲気だった宇治☆茶レンジャーに決めました。

松好 入学式後のサークル紹介で、 宇治☆茶レンジャーはその場でお茶を淹れる体験があり印象的でした。 また、お茶を介することで、初めて会った先輩と打ち解けることができました。お茶を囲むことで場が和むことを知り、それに惹かれて入りました。

――皆さんが感じている宇治茶の魅力を教えてください。

渡邊 宇治茶のブランドを何百年も前から守り続けていること、お茶業界の方々が手間暇かけて宇治茶の美味しさを、現代まで維持していることが大きな魅力だと思います。

澤野井 宇治茶の魅力は、お茶を淹れる手順を変えるだけで味が大きく変化することです。今まで家で飲んでいたお茶は、苦くてあまり美味しくなかったんです。しかし、初めて宇治☆茶レンジャーのミーティングに参加した際に、先輩が淹れてくださったお茶がほんとに美味しくて。 家で飲んでいたお茶が飲めなくなるぐらいでした。

先輩たちはお茶を淹れるときの温度や時間にもこだわっていて、宇治茶の奥深さに魅力を感じました。

松好 宇治茶の魅力は、お茶一つで話しやすい雰囲気を作れることです。

さらに、宇治茶の美味しさを伝えているお店がたくさんあることも魅力だと思います。

江崎 宇治には歴史のあるお茶屋さんがたくさんあります。そんな店主の方々が学生に優しく接してくれるんです。

学生たちがイベントをするときに相談に乗ってくれたり、ときには厳しいことも言ってくれます。また、誇りを持ち宇治茶を大事にしているからこそ 、新しいものも受け入れてくれる方が多くいることは、宇治の魅力であり宇治茶の魅力です。

宇治☆茶レンジャーの活動

――宇治☆茶レンジャーはどのような活動をされていますか?

澤野井 宇治☆茶レンジャーは、宇治茶の魅力を広めるために宇治のまちを中心に活動しています。具体的には、宇治のまちでスタンプラリーを行う「宇治茶スタンプラリー」、宇治のまちのお茶屋さんでお茶を飲んでもらう「聞き茶巡り」などを開催しています。また、小学校を訪問し宇治茶のワークショップをする「チーム茶イルド」というプロジェクトも行っています。

――宇治☆茶スタンプラリーについて教えてください。

松好 宇治茶スタンプラリーは、宇治☆茶レンジャー創設時から続いていて、多い年は10,000人の方が来場するイベントです。スタンプを押すだけではなく、パネルのクイズに答えながら回ってもらうことで、宇治茶をさらに知ってもらうことができます。

スタンプラリーの景品は、お茶屋さんなど地元の団体や企業のご協力のもと、お茶やペットボトルホルダー、缶バッチなどを用意しています。

缶バッチは、学生がイラストを書き製造工場に依頼してオリジナルのものを作ってもらうなど、イベントで使われる物の大半を学生が一から作っています。

――クイズはどのようにして作るのですか?

松好 クイズもオリジナルで一から作っていて、毎年内容を変えています。スタンプラリーのチェックポイントが約12か所で、それぞれにクイズを用意しています。

難易度も高く、一つ一つの選択肢に意味を込めていて。解説には「なぜ間違いなのか」理由も書くことで、参加者に大変喜ばれています。

1回生にもクイズを作ってもらうのですが、1回生はわからないことが多いので先輩が教えながら一緒に作ります。そこで自然と会話が生まれます。

江崎 クイズを作る際はアドバイザー教員に、「これはなんでこういう選択肢にしたの?」と何度も指摘されながら作っています。ネットで検索してすぐに出てくるような答えではダメなので、たくさん調べて勉強しながら作っていると思います。

――宇治茶スタンプラリーの中で思い出に残っているエピソードはありますか?

松好 スタンプも全部手作りです。デザインを考え、一つひとつゴム版を彫って作りますので、オリジナルのスタンプを完成させたときには達成感を感じました。

ひたすら何個もスタンプを作るだけの地味な作業に思えますが、すごく楽しかったです。

――聞き茶巡りについて教えてください。

澤野井 聞き茶巡りは、茶器の入った巾着を手にぶら下げてお茶屋さんを回ってもらうイベントで、9年前から開催しています。

まず、茶器と巾着と無料試飲券5枚のセットを500円で購入していただき、10店舗ほどの協力店の中からお好きなお茶屋さんを5店舗回ってもらいます。お茶屋さんを訪れたときに、店主さんが直々にお茶を淹れてくださるので、店主さんと参加者の会話を楽しんでもらうことが目的です。

最近ではお茶屋さんと参加者の交流を増やしたいと思い、学生ガイドツアーも行っています。2019年度の参加人数は3日間で述べ320人。その内120人が学生ガイドツアーに参加されています。

江崎 これまでも学生たちが茶器を渡す際に、宇治茶の説明はしていたのですが、お客さんたちは自由に回るので参加者との直接的な会話がありませんでした。そこで宇治茶の魅力を直接伝えたいと思いガイドツアーを始めました。ガイドツアーは5人ぐらいのお客さんに学生が2人つき、一緒にお茶屋さんを回ります。

お茶屋さんは少し入りにくいイメージがあると思うのですが、イベントとしてなら気軽に入れて、お茶の話も聞くことができます。

さらに、茶器は毎年色を変え、オリジナルにする工夫もしています。

――聞き茶巡りの中で思い出に残っているエピソードはありますか?

澤野井 イベントの2ヶ月前から先輩に教えてもらいながらガイドの練習をするのですが、最初は先輩のように上手くできません。

ですが、初めて参加してくれた方にクイズを出したりすると、大変喜んでもらえます。ちょっとした工夫で盛り上げることができて嬉しかったです。

――チーム茶イルドについて教えてください。

渡邊 チーム茶イルドでは、主に子ども向けワークショップをしています。 2つの大きなイベントとは違い、少人数で宇治☆茶レンジャーと子どもたちが名前で呼び合うぐらい密接に関われるイベントです。

2018年から宇治市の育成学級に協力していただき、小学校で出張ワークショップを始めました。このプロジェクトでは、3つの目標を持って取り組みました。1つ目は宇治茶の歴史を知ってもらうこと。2つ目はお茶のゲームを通して遊びながら学んでもらうこと。3つ目は一番大切なお茶の淹れ 方を体験してもらうことです。

低学年が多いので、ワークショップで使う教材はすべて手作りし、温かみのあるものを使いました。

――工夫したことはありましたか?

渡邊 1、2年生20人ほどを対象に、初めてワークショップを開催したとき、紙芝居で宇治茶の歴史を伝えたのですが、低学年の子にとって難しい言葉を使ってしまい、アンケートで「分かりづらかった」という意見がありました。そこで、翌年からは紙人形劇を新しく取り入れました。紙人形劇は紙芝居と違い動きがあるので、宇治茶の歴史をよりわかりやすく伝えることができました。

楽しみながら宇治茶の歴史を学んでもらうために、ゲームでは宇治☆茶レンジャーのキャラクターや茶道具などが描かれているカードを製作し、神経衰弱をしました。翌年はお茶のカードを集めながらゴールを目指すすごろくも一から製作しました。すごろくでは「あ、玉露もらったわ」と言ってお茶の名前をよく口にしていたので、宇治茶のことをたくさん知ってもらえたと思います。

淹れ方体験はお湯だと火傷をしてしまうため、急須に水と氷を入れ振ってお茶を出す水出しという淹れ方で、安全に楽しんでもらいました。

――チーム茶イルドの中で思い出に残っているエピソードはありますか?

渡邊 お茶淹れ体験をするときに「私、お茶大っ嫌い」という女の子がいました。その子に「一緒に作ったら美味しくなるから」と言いながら丁寧に淹れたお茶を飲んでもらうと、飲んだ瞬間に「美味しい」と言ってくれて。それから5杯、6杯、7杯とひたすら時間が終わるまで飲み続けてくれたんです。普段お茶を飲まない小さい子にも、お茶の美味しさを伝えることができて嬉しかったです。

先生がその女の子に「お茶嫌いだったのに飲めるようになったの?」と聞いていて、「美味しかった」と答えてくれました。私が初めて参加したイベントで嬉しい言葉を言ってもらえたことが印象に残っています。

また、夏休みに行ったワークショップでは、育成学級で出会った子どもたちがわざわざ私たちに会いに来てくれました。更にその子どもたちは、声をかけるとスタンプラリーにも参加してくれました。私たちが目指していたより密接な関係を築けたと感じています。

宇治☆茶レンジャーの魅力

――宇治☆茶レンジャーの魅力を教えてください。

澤野井 メンバーは大人しい人が多いのですが、イベントの企画の話になるとみんなアイデアをどんどん出し合い、話しやすい雰囲気を全員で作れることが魅力です。

渡邊 人として大きく成長できることが魅力です。入った当初は、人の前に出ることが恥ずかしい引っ込み思案な人が多いですが、5,000人ぐらい来るイベントを通して、少しずつ人前でも意見することができ、参加者の方とも和気あいあいと会話ができるようになります。

大きなイベントだからこそ、本当に辛いことや大変なことはありますが、その分成長することができると思います。

江崎 宇治☆茶レンジャーの活動は、まず自分たちが学ばないと発信できません。お茶の美味しさはお茶屋さんへ足を運び飲んでみないとわかりませんし、宇治茶について勉強しなければとクイズやワークシートも作れません。メンバーの自ら勉強するところはすごいと思います。

学んだことを発信するプロセスが宇治☆茶レンジャーのおもしろいところであり、魅力でもあると思います。

あとは、初めは控えめな人でも代表など責任のある役割を務めることで、想像以上に成長する人が多いです。

今自分に自信がなくても、活動を通して自信を持てるのだと思います。「私、絵描けるんだ」「人の前に立って話すのは苦手だけど 細々とした整理整頓は得意なんだ」と自分の得意なことと苦手なことに気づけることも、宇治☆茶レンジャーの良いところだと思います。

宇治☆茶レンジャーのこれから

――現在新しく取り組んでいることはありますか?

澤野井 現在はTwitterを全員で交代しながら毎日ツイートしています。

今から私たちの活動を広めていきイベントをするために、たくさんの人が集まってくれるよう広報活動に力を入れています。

渡邊 市役所の方からコロナが収まれば、育成学級でのワークショップをぜひ続けて欲しいとお声がけをいただいているので、現在は教材のアップグレードや新規作成にも取り組んでいます。

――みなさんが成し遂げたいことを教えてください。

松好 コロナ禍で参加者の人と会えないから諦めるのではなく、お茶の淹れ方や宇治茶の紙人形劇を動画として配信するなど、今できることをしていきたいです。

澤野井 今までは対面型なので近隣の方々の参加が多かったのですが、SNSだからこそ距離的な問題を取り除いて、北海道から沖縄の方まで幅広く今まで以上に宇治茶の魅力を広めることができると思います。

松好 私は、このようなインタビューの場でも胸を張って分かりやすく説明できるようになりたいです。

――最後に宇治☆茶レンジャーの活動を知ってもらいたい方へメッセージをお願いします。

渡邊 今はコロナ禍で家にいる機会が多いと思うので、お家で宇治茶を飲みながら家族団らんしていただきたいです。またコロナが収束すれば、宇治☆茶レンジャーのイベントに参加していただきたいです。

澤野井 現在、宇治はいつもより人が少ないですが、だからこそ宇治のまちをゆっくり観光できると思います。人が少ないからこその宇治の魅力もあると思うので、ぜひ一度来てみてください。

松好 宇治のまちには宇治茶だけではなく、平等院鳳凰堂などの有名なお寺や神社がたくさんあるので、宇治茶を楽しみながら宇治のまちを観光しに来てください。

江崎 まず宇治に来て宇治茶を味わっていただきたいです。

現在、具体的なイベントの発表ができない状況ですが、イベントを開催することになればSNSで報告させていただきます。日々、宇治☆茶レンジャーのSNSを見ていただけると本当にありがたいです。


まとめ

宇治のまちで淹れたての宇治茶を飲んでみたいと思っていただけたでしょうか?

「宇治茶のことをもっと知りたい」「宇治☆茶レンジャーのイベント参加してみたい」という方は、ぜひ宇治☆茶レンジャーのSNSなどで確認してみてくださいね!

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