「働く」を考える

一人ひとりの仕事が、一人ひとりのアイデンティティを形作っている   
アブラハム・マズロー 

20代の時、働くとは何だろうと考えた時がありました。
学校を出ればみんな会社に就職するから。生活のため。そんな惰性や犠牲という非生産的な考えではなく、もっと建設的で自分の中で納得できる言葉が欲しいと思いました。ある書物には「“はた”を“らく”にすること」とありました。周りを楽にさせること。例えば、親や家族を精神的にも経済的にも楽にさせてやること。確かに、そうかもしれません。しかし、自己犠牲という言葉が裏面にあるようで私にはうまく消化ができませんでした。自分の為ではなく、誰かの為に身を粉にして働くことは美しいですが、いつか限界が来るような気がしました。そして、そもそも自分は幸せになるのだろうかという疑問もありました。

「国民の義務だから」そんな意見も聞きました。社会人としての責任。働くことで税を納め、社会への責任を果たす。正論です。ただ、正論は頭で理解できても、心で納得するまでには至りませんでした。当たり前を当たり前として考えずに過ごすのではなく、当たり前がなぜなのかを考えることによって消化ができると思います。

「作品。作品を作る」。これはWorksの英訳です。働くの複数形が英語では「作品」という言葉になることがとても意外でした。同時に、生涯働いた自分の足跡が、ひとつの作品として形作られるという考え方は、自分の疑問に対して理解できる一番近い説明であるような気がしました。作品を作るには、まず自分の頭に完成形をイメージしなければなりません。どういう生涯を送りたいのか。どんな人生で、どんな人と出会いたいのか。大学生のころ、私は志賀直哉という作家が好きで、よく本を読んでいました。本の巻末には、志賀直哉の年表があり、よく私は自分の歳と彼の歳と重ねて、人生を比較したりしていました。そして、いたずら心もあり、同じように年表を作りました。過去は変えられないので、そのまま記載し、未来を考えて書きました。何をしているのか、どこにいるのか、そして何歳で結婚し、何年後に子供がいて・・・そんなことまで書き起こしてみました。そうすると、人生は働くことが目的ではなく、目的のために行動すること=働くことになるのではないかという自分なりの結論が出ました。(余談ですが、大学生の頃に記載した年表通りの年齢で私は結婚し、子供ができて家族を得られました)

人生の作品は、途中で見ることは出来ません。だから、手を抜いてしまえば駄作にもなり、心に描いたことを一筆一筆丁寧に細部まで描いていくことで、自分の中の名作に辿り着けるのかもしれません。そう思うと、から云われたことで人生が作られるのではなく、すべてが自分自身の判断によって築かれていることが分かり「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」という二択であると思いました。働くことを定義しようとすると限定的になってしまい、思考をミスリードしてしまうかもしれません。作品=人生と捉えると、自分の生き方そのものを考えるようになります。生き方とは、自分がどう在りたいのか、どんな最後なら幸せかをイメージすることに繋がります。そういった意味で、マズローは「仕事=人生=アイデンティティ」と唱えたのかもしれません。


・働く環境
「馴化」。人間の脳はよくできており、環境に適応しようと働きかけるそうです。慣れというのがそうなのかもしれません。若い時に、三流が集まると愚痴を語り合うが、一流は夢を語り合うという言葉を聞きました。シンプルな言葉ですが、働き始めた私の心に刺さりました。その時、環境を変えよう。そして自分を変えよう。夢を語り合う、そんな仲間と人生を共にしたいと思ったのを覚えています。
実際、どのような環境に身を置くかは、とても大事だと私は思います。昨年6月にクインテットに入社して、驚いたことがあります。クインテットでは、よく社内でビジョンと云う言葉が聞こえてきます。それは会社のビジョンだけではありません。社員ひとり一人がビジョンを掲げてチャレンジすることが推奨されています。

クインテットでは週に一度、理念研修をしています。部長が資料を用意し、部長自ら進行を務め、他社の理念であったり、偉人の考え方からビジョンを持つことや発信することがいかに大切かという学びを深めています。数カ月後、私はいつも通り、決められた時間に、決められた場所に行き、理念研修を受けようとしていました。そして、研修がスタートしたとき、登壇したのは部長ではなく新卒だったのです。私は驚きました。「研修は幹部から学ぶもの」私の固定概念では考えられませんでした。しかし、新卒は部長からの研修(インプット)を受けて、自ら実行(アウトプット)へと行動を起こしたのです。何が新卒をそうさせたのか。すぐにビジョンだと思いました。ビジョンの実現、そこから来る成長意欲が主体性となって行動に表れたのだと思います。これまで多くの会社で新卒を見てきましたが“成長が目に見えた”のは、初めての経験でした。

仕事環境について、分かりやすく遠藤直樹氏(株式会社ビービット 代表取締役)が説明されている動画があるので、ご紹介します。

https://www.youtube.com/watch?v=FUTi1At5B-o

・私の仕事
私はPandoというソーシャルプラットフォームを企業に案内しています。これまで組織強化のために、時代の流れによって、色んなことが試されてきました。いつの時代も正解を求めて、試行錯誤が繰り返されてきました。Pandoは組織だけではなく、個人の自律にフォーカスしています。これは、今までなかった考え方です。私はずっと、なぜ生まれてきたのか、自分の使命は何なのかという悩みを抱えたまま生きてきました。そして、Pandoの考え方に触れて、人の成長のためにはビジョンが必要だと云うことを知り、ようやく悩みから解消されました。解消という言葉では軽く、私にとっては救いとなりました。そのビジョンが明確であるればあるほど、自分の意思で動くことができることを体感しました。その経験した価値=喜びを一人でも多く、1社でも多く届けたいと思い、日々業務に向かっています。

ただ、前例がないことに挑戦することは、決して容易なことではありません。相手に理解してもおうと思うと、自分自身の知識不足を感じることもあります。それを補うために、本を読み、自分の考えをPCに記入して整理して言葉や知識を自分のものとできるように向き合う日々です。これも誰かに云われたからではありません。自分で必要と感じるからこそ、自分が動くので、悲壮感はありません。自分自身を減点法ではなく、加点法で見るようなイメージで、成長を感じられます。しかし、充実感があるかというと、それは作品作りの途中なので、まだです。きっと今後も感じることはないのかもしれませんが、そのプロセスを楽しめる仕事に就いていること自体が貴重であると思っています。すべての人の幸せに寄与できて、チャレンジができる環境がある。あとは自分次第です。

クインテットでは、Pandoを広げる同志を求めています。自分にもビジョンがある!! クインテットでなし遂げたい夢があるという方は、ご連絡を頂ければ幸いです。まだ見ぬ同志を心待ちにしております。

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