こんにちは、デザイン部のMouriです。
先日、新卒メンバーから企画資料のデザインについて相談を頂き、僭越ながら説明させていただいたデザインの4原則。
急なフリだったので特に資料などは用意せず口頭での説明となってしまったので、せっかくなら読み返し用の資料として残したいと思い記事にしました。
また新卒研修として話した内容ではありますが、新卒に限らずどの業種でも活用できる内容なので「自分で作った資料や書類が分かりづらい・・・」とお考えの方も一見の価値があると思います。
はじめに
「デザイン」という言葉は日本語で捉えられる「ビジュアルデザイン(イケてるバナーやポスターを作る)」ではなく、直訳の「設計」という意味で捉えてもらえると以降の内容が理解しやすいはずです。
またこれから書く内容、実際に読んでみると「それって当然だよね、無意識にやってるし」と感じる人がほとんどだと思います。
しかし、原則を知って「意識的」に活用するのと、「無意識」でやっているのとでは仕上がりや見やすさに差が出てきます。
デザインの4原則
近接・整列・反復・対比
1. 近接
使用方法
関連する情報を近くに集めます、別名グルーピングとも呼ばれる手法で、その名の通り情報のグループをはっきりさせます。
コツとしては、『関連する情報』と『関連しない情報』の余白を使い分けると簡単に近接が行えます。
使用する意図
例えば下のBeforeの図、どれがどれの情報なのかわかりませんが、『関連する情報』と『関連しない情報』の2種類の余白を使うことによって直感的に情報の関連性を訴えることができます。
2. 整列
使用方法
整列は、文章の右揃え・左揃え・中央揃えに加えて、各情報の面(上下左右の端の面)といった配置を揃えます。
デザインではよく「見えないグリッド(線)に揃える」と言ったりします。
使用する意図
無秩序に配置された情報は視線が行ったり来たりしてすんなりインプットできないことや、意味なく配置がズレている情報を「ここだけズレているのは何か意味があるのかも」と、見ている人に無意味な勘ぐりをさせてしまい、認知負荷がかかります。
3. 反復
使用方法
近接・整列で調整した配置や、見出し、文字サイズ、色などを一つの資料の中で反復して使い回します。毎回位置を考えたり、文字サイズを調整したりすることがないため純粋な制作スピードも向上します。
使用する意図
プレゼン資料で例えると、見出しの位置がページごとに左上だったり真ん中だったり、見出しがあったりなかったりすると、見る人は1ページ毎に見出しの場所を探し、何についての説明なのかを確認しなければならず内容に集中できません。これを学習コストといいます。
しかし、「見出しは左上!」とルールを決めて反復すれば、見る人も2、3ページ目には学習して、それ以降見出しを探す必要が無くなり内容に集中できます。
また、配置や文字サイズも反復することにより、一つの資料に統一感が生まれ、まとまりのある内容に見えます。
4. 対比
使用方法
別名コントラストやジャンプ率と言ったりします。
これは情報に優先度を付け文字サイズなどを変えることで、読んでほしい情報をより注目させ、印象づけを行うことができます。
また対比の付け方は文字サイズだけではなく、色やフォントなどでも行うことができますが、バランスが崩れるとただごちゃごちゃしただけになり逆効果になります。
使用する意図
見る人にとってのメリットや注目すべき情報を大きく、補足的な内容は小さく、視覚的なヒエラルキーによって説明せずとも情報の重要度がわかるようにするためです。
またビジュアル的にもリズム感が生まれ、単調でつまらない印象を与えない効果もあります。
資料作成時のポイント(実践編)
資料の表紙について
営業資料やプレゼンテーションなど、説明を始める前に1ページ目を提示(または表示)しながら小話や補足説明などを行うケースが多いと思います。
その時、話を聞きつつも資料の中身を予測し期待値を上げるために表紙だけはビジュアルを作り込んでみても効果的かもしれません。
(↓口下手すぎて伝わらないと思ったのでチャチャッと作ってみました)
若者が本当の自分を見つけて晴れ晴れとしているポジティブな情景のイメージ
余談ですが、こういったビジュアルにも4原則のほか、デザインのロジックが組み込まれています。
可読性について
もし色を使って目立たせたい!というのであれば、初心者は「単色に白or黒」を合わせてみてください。
複数の色を合わせて使うと別の意味になってしまったり、補色関係で組み合わせてしまったりなど扱いが難しくなります。
加えて印刷の色については、パソコンと紙では色の出し方が根本から違うため(RGBとCMYK)ディスプレイで見た色と、プリンターで印刷した色もだいぶ違うものになります。
「印刷したら読めなくなっちゃってた!」とならないように必ず試し刷りをしてチェックしましょう。
補足ですが、明度がほぼ同じで、彩度が高い色を隣り合わせにするとハレーションという現象が起き、色の境界がチカチカして不快感を与えてしまうので注意が必要です。
文字サイズについて(印刷物)
印刷屋さんはよく「文字は9級まででお願いします」などサイズを指定してくる場合がありますが、社内のプリンターでは具体的な限界サイズはありません。
しかし、フォントの種類や太さによって小さい文字でも読みやすかったり読みにくかったりするので、もったいないとは思いつつも試し刷りしてチェックしましょう。
実際に使用する文字サイズはひとまず以下の4サイズを決めて使いまわすとキレイに収まると思います。(対比×反復)
- 大(大見出し)
- 中(小見出し)
- 小(本文)
- 最小(注釈)
※フォントサイズは例なので、そのとおりにしなくていいです。
フォントについて
大きく分けて明朝体とゴシック体がありますが、それぞれの特徴をざっくりと紹介します。
明朝体
- 高級感・大人っぽさ・誠実さを表現できる
- ひらがな、漢字と文字のサイズにばらつきがあるため、動きのある文章になる
- 長文やタイトルに使いやすい
- 線の太さが一定ではないため、小さい文字では文字が掠れることがある
- 印刷物向け(もともと印刷用に作られたためと言われています)
ゴシック体
- 親しみやすさ・新しさ・若々しさを表現できる
- 文字のサイズが一定のため、意識せずとも簡単に読み進めることができる
- 短い文章やタイトルに使いやすい
- 線の太さが一定なため、小さいサイズにしても可読性が高い
- ↑の理由でディスプレイ向け
新聞や小説などの印刷物は明朝体ですが、ブログやこのPandoではゴシック体を使っています。
媒体によって適切な書体を選ぶようにしてみましょう。
印刷する資料であれば、見出し・本文は明朝体。注釈や図解はゴシック体などの組み合わせをおすすめします。
ビジュアルを挿入する
設計については大体わかったけど、やっぱりイケてるビジュアルもほしいYO!
わかります。
簡単な方法としては、内容にマッチした写真・イラストを挿入することです。
が、しかし!まったく内容と関係ない画像はかえって混乱を招きますし、活用できるスペースも狭くなります。
またいつの時代に撮影したのかわからない古臭いフリー写真などを使うと一気に胡散臭さが出てしまい逆効果です。
(内容が薄くて、最後に「いかがでしたか?」で終わるまとめサイトを想像してみてください)
また、文章での説明が難しく、テキストだらけになってしまう場合は効果的に図解を使ってみましょう。
ただし、読んで字のごとく、「図」「解」なのでわかりにくい図は逆効果。前提情報がない第三者に見てもらい客観的な意見をもらうようにしましょう。伝わらなければ意味がないので。
最後に
駆け足でお伝えしましたが、最後にひとつ、絶対に忘れないでほしい事があります。
目的は、資料を作ることではない。
画像を入れたり、色を変えたりすることができて資料作りに凝ってしまうあまり、本来の目的を忘れてしまわないようにしましょう。
本当の目的は「相手に伝える」ことであって、資料はその手段であって目的ではありません。
より伝わりやすいくするためには?という大前提の上で考えてみると、実は足し算ではなく引き算をした方が効果的な場面もあります。
そもそもデザインの4原則がちゃんとできていれば、白黒でも割と見やすくなっているはずですので、何事も適度にやってみましょう。
ノンデザイナーでも長く使えるデザインの4原則。ぜひ実践してみてください。
すごくわかりやすい記事を書いていただき、本当にありがとうございます!!
新卒一同大変助かりました。今後も大いに参考にさせていただきます。
「伝える」ことをしっかり理論立てて考えた資料作りを、忘れないようにしたいです。
また何か困ったことがあればお聞きしますので、その際はよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
この4原則はオリジナルの理論ではなく、古くからあるデザインの基本なのですが、デザイン職でもなければ『知ろうと思わなければ一生知らずに過ごす』タイプの情報じゃないかなと思います。
知らなくても人生やっていけると思いますが、知っていればほんの少し助けになる。そういった『ほんの少し』をどんどん集めていき、大きな助けにしていってほしいです!
めっちゃめちゃ分かりやすかったです!
確かに無意識で「なんとなくその方が見栄えが良いから」という理由で資料作成をやっていましたが、根拠を分かった上でやるのとでは大違いですね。
画像の差し込みに関してはかなり怪しいな、という心当たりが多数あります。。。
悔い改めます。
読んでいただきありがとうございます!
HPにしても営業資料にしても記事にしても、やはり一番強いのはオリジナルで撮影した素材になっちゃうんですよね・・・
せめてフリーではなく有償の素材にすると露出頻度も低いので、怪しいコンテンツと同じ素材などを使ってしまうリスクは下がると思います!