昨日、高校野球に関する面白い記事を見つけました。「近年の高校野球が優秀な選手を全国から集める強豪私学の時代になりつつある中、資金力で劣る公立高校が強豪私学と対等に渡り合うために何が必要か?」という内容について、鳥取県の米子東高校の取り組みが紹介されています。
(記事の一部を抜粋)
教育の一環とされる高校野球だが、「ヒト、モノ、カネ、情報」の4大経営資源なくして現代の戦いを勝ち抜くのは難しい──。どうすれば大好きな「米東(べいとう)」を指導者として日本一に導けるか突き詰めた。身体動作やトレーニング、心理学などさまざまな観点から強化を進めるなか、チーム運営の根底にあるのが経営学だ。「待っていてもダメ。できない言い訳はいくらでもできるけど、どうやったらできるかを考えないといけない。」
米子東の場合、「学校からの部費はあってないようなもの」だという。しかし、部を強くするためにカネは不可欠だ。どうすれば集めることができるか。「うちでいうならOB会費や後援会費ですね。OB会や後援会の方々に野球部に興味・関心を持っていただき、強化に参画してほしい。どちらかというと『口を出すな』となりがちですが、僕は真逆。興味・関心を持ってもらえれば、チームの結果が出ると、お金って集まるじゃないですか。OB会の若い人を巻き込んで、お金を集める仕組みをつくり、どんどん助けてもらいたい。」
上記の事例は、地方の公立高校野球部の監督の取り組みとして紹介されていますが、活動資金はもちろん、コーチングスタッフやトレーニング環境に恵まれない多くの体育会大学生にとっては、とても参考になる上質なメッセージになるはずです。「ヒト、モノ、カネ、情報」は代表的な経営資源としてよく取り上げらますが、スポーツシーンに置き換えると、「ヒト」は選手をはじめ、コーチングスタッフやマネジャー等の人材、「モノ」はフィールドや練習機材等の環境、「カネ」は活動資金、「情報」は戦略や代々継承される部の文化…。組織力や、先輩の時代からの実績(部のブランド)なども、強いて挙げるとすれば「情報」に集約されるでしょうか。
このように考えると、活動資源が潤沢でない部にとってやるべきことは大きく2つに分類できそうですね。一つ目は、OBや後援会、ファンの方々に部の活動に興味・関心を持っていただくための情報発信等、交流機会を積極的に増やしていくこと。もう一つは、"部活動の充実"を、現在に留まらず、先輩方が残してくれた過去から、これからの後輩たちに伝承していく未来に亘って続けていくために、部の文化や実績、ビジョンやマインド、戦略的な知財等を見える形で継承していくことです。
ビジョンやマインド、活動実績を広く発信することや決済機能を活用してOBやファンとの交流機会を増やすこと、試合の映像を公開すること、自分たちで収集した戦略的な情報を部内で共有すること、企業の協賛プログラム等に積極的に参加すること、クラウドファンディング機能を活用してイノベーションにチャレンジすること、…。このようなことを継続的に進めることが、強固なチームづくりに繋がるのではないでしょうか。