データから読み解く「コロナ禍と教育」 SDGs✖Education part3

今回はデータから教育格差を紐解きます。

これまでの投稿↓

https://pando.life/zero-discussion-0/article/37089 

〜コロナ時代から考える教育のあるべき姿とは〜 SDGs✖Education part2

ディスカッションサークル ゼロ

https://pando.life/zero-discussion-0/article/33688 

SDGs時代の教育から考える私のやりたいこと

ディスカッションサークル ゼロ

ではSDGsやコロナと教育の結びつきを考えてきましたが、

今回、大手のシンクタンク(研究機関)である

三菱UFJリサーチ&コンサルティングから

昨今の

コロナウイルスと教育格差に関して調べた調査報告書

提出されたので、ご紹介していきます。

かなり長いので

重要な箇所を抜き出すと、

■教育への影響

 ○ 新型コロナ拡大前から、子どもの学校の成績と世帯所得は強い相関があり、所得が増えるほど成績も良くなる傾向 がある。世帯構造別にみても、1 人親世帯の場合は成績の低い子どもが多い。 

○ 新型コロナの拡大による臨時休校によって、オンライン教育等の代替的手段が提供された。代替的教育手段を活 用するためにはパソコンやタブレット PC 等の ICT 機器が不可欠となるが、世帯年収 400 万円未満の世帯ではい ずれも保有していない割合が 3 割に達している。1 人親世帯についても同様である。 

○ 臨時休校前の勉強時間を学校での成績別にみると、もともと成績の高かった子どもほど勉強時間が長い傾向があ る。臨時休校後は、全体として勉強時間は低下しているものの、その低下幅はもともと学力の低かった子どもほど 大きい。そのため、臨時休校は子どもの教育格差を拡大させたと考えられる。

 ○ 臨時休校前後での勉強時間や勉強への集中力、生活習慣、健康状態の変化に対してはその他に、家庭・学校が 子どもの勉強を見てあげられているかどうかなどが大きな影響を与えている。

 ○ 臨時休校は、長期化するほど勉強時間や集中力、生活習慣などが悪化する。経済状況別にみると、貧困世帯は 短期間の臨時休校でも勉強時間の減少幅が大きい。一方で非貧困世帯は、臨時休校が長期化するにつれて勉 強時間が減少していく傾向がある 。

とのことで、

臨時休校によって

指数関数的に教育格差が拡大する旨が述べられています。

■分析結果のまとめ

 ○ 雇用については、悪影響が大きかったのは、もともと不安定な就業状態だった労働者であり、もともと所得の低か った世帯ほど新型コロナ拡大後に所得が減少している。

ただし、同じような職種や就業形態であったとしても、新 型コロナ拡大前から在宅勤務・リモートワークを導入していた場合は、安定的な就業を継続できている割合が高 い。平時から柔軟な働き方を準備しておくことが重要だといえる。 

○ 教育については、もともと学力の高かった子どもの勉強時間の低下は限定的だったものの、学力の低かった子ど もの勉強時間は顕著に減少している。オンライン授業等の代替的教育手段の提供は、子どもの勉強時間や集中 力等に必ずしもプラスの影響を与えていない。また、臨時休校中の教育に対しては、家庭の ICT 機器や落ち着い て勉強できる環境の有無が大きな影響を与えている。これらの要素は、新型コロナ拡大前から経済格差との相関 が強かったため、新型コロナの拡大は教育機会を全体として抑制するとともに、格差を拡大させたといえる。

 ○ 家庭や学校が子どもの勉強を見てあげられているかどうかは、勉強時間や集中力、生活習慣、健康状態に大きな 影響を与えている。つまり教材といったハード的な支援だけでなく、子どものメンタリングやコーチング、フィードバ ック等、ソフト的な支援が重要である。 

○ 臨時休校日数が延びれば延びるほど、子どもの教育機会への悪影響が大きくなる。

 ○ 雇用・所得および教育を通じた影響によって、子どもたちの教育機会が失われたため、現状を放置すると全体とし て 16 兆円規模の生涯所得が失われる恐れがある。

今後の方向性 

本稿の分析結果から、今後の政策の方向性を簡単に整理したい。

新型コロナの影響を受けた子どもたちにとって 今後重要となるのは、第一に既に生じてしまった教育機会の逸失を取り戻すこと、第二に再び休校せざるを得なくな った場合や登校が限定された場合に、教育機会の逸失を最小限に食い止めることである。

 本稿の分析結果から明らかになったのは、現状のオンライン教育だけでは子どもの教育機会の逸失には十分に対応できていないことと、家庭や学校の子どもに対するかかわりの重要性である。オンライン教育の質を高めていくこ とももちろん大切だが、同時にメンタリングやコーチング、フィードバック等、ソフト面の支援も重要となる。

そこで参考 になるのが既存のエビデンスを整理した Education Endowment Foundation(2020)である。

このレポートは、既 存のエビデンスをレビューすることで、臨時休校が子どもにどういった影響を与え、どのような対策が有効と考えられ るかを整理している。

具体的には、オンライン学習は効果的に使うことができれば、教育格差の拡大をある程度緩和 させることができるが、より重要なのは子どもたちに分かりやすい説明やフィードバックをすることであり、特に貧困世 帯の子どもたちについては臨時休校が終了した後も継続的な支援が必要であることを指摘している。

 教育の遅れに対して一定の効果が確認されているのがチュータリングである。

Education Endowment Foundation(2019)は、英国における 1,200 人余りの子どもを対象とした大規模なランダム化比較試験の結果、12 週間にチュータリングによって 3 か月分の教育効果が得られることを明らかにしている。

英国での政策実施コストは子 ども一人当たり 112 ポンドであり、図表 37 で示した生涯逸失所得から見れば、費用対効果の高い政策だといえる。

 日本でも、「学校・子どもサポーター人材バンク」などを通じてチューターを増やす方向で進めているが、オンライン化 に対する対応や、新型コロナの影響でアルバイト先を失った大学生に対する受け皿としての活用など、多面的に進 めていく必要がある。

 しかしながら以下の点には留意が必要である。

第一に、日本で同じ効果が得られるかが分からないことである。上 述のエビデンスはあくまでも英国でのものであり、日本でチュータリングを行ったからといって同様の効果が得られる かは分からない。

第二に、オンラインでのチュータリングの効果はまだ分かっていないことが多い。そのため、仮に日 本でもチュータリングが教育の遅れ解消に有益だったとしても、現下の情勢に照らして考えるとオンラインでの実施を 検討せざるを得ず、その際に同じ効果が得られるかは定かではない。

その意味で必要となるのが、子どもの支援を進 めながら、取り組みの効果を丁寧に検証して、より効果的な政策へと磨け上げていくことである。

かなり長いですが、

前回の内容で提案させていただいた、

オンラインとオフラインの並行教育、

並びに分散登校や教師、スタッフの増員

という私の考えと重なっている部分もあり、

この国の教育システムが

限界に近づいてきていることの証左と言っていいでしょう。


今回のレポートを読んで、

教育の課題がかなり顕在化してきている

と、感じています。

さて、ここでボトルネックとなるのはなんでしょうか?


一番は財源です。

オンライン教育を整備するのも、人員を増やすのも

当然ながらお金が必要です。


ですが、

少子高齢化を理由に

社会保障費は増える反面、教育への補助金は減り続けています。

今こそ、

より多くの人が

「社会が人を育てる」

ということの意味をより深く考えて、

この国の行く末を長期的に想像し、

しっかりとした意見を持ってほしいと私は強く思っています。


当サークル

ディスカッションサークル『ゼロ』

ディスカッションサークル ゼロ

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