東京大学「Introduction to Management」の振り返り&広報方法

 東京大学GCL講義「Introduction to Management」では、一般社団法人社会システムデザインセンターと協力しながら、学生・社会人の混合チームを複数つくり、「技術ドリブンな事業アイデア」をチーム内で実際に作成してみて最終的に企業家や投資家の前でプレゼンテーションをおこなうというプロジェクト・ベースト・ラーニングをおこなっています。

 参加者のみなさんには、毎回の講義の後に、チーム内での議論の様子・内容をPandoで記事として公開して頂きます。この意義としては、チームでの討議の様子を振り返ることで思考を深めること、プロジェクトの複線的評価を可能にすること、参加者が記録を残すことでプロジェクト終了後もときおり読み返すことができること、などなどの狙いがあります。その他、ビジネスにおいて、一見表層的だとされながらも大事な「広報活動」を実際に体験してみるというのも重要になります。

 どんなに素晴らしいアイデアや技術があっても、広報がまったくできないと、暗やみの中からウインクをしているようなものです。

 よく知られている司馬遷『史記』の中にある故事に「嚢中の錐(のうちゅうのきり)」という言葉があります。一般には「すばらしい才能がある人物は袋の中に入っているキリのように必ずいつかその才覚で世に出る」といった(ある意味間違った)意味で使われています。
 しかし、この嚢中の錐ですが、じつは『史記』をよく読むと、広く世間で理解されているものとは違った意味が読み取れます。『史記』の『平原君・虞卿列伝』では、平原君という将軍が重要な仕事(救援依頼)で20人のメンバーを選ぶ際に、最後の1人が決まらず困っていたところ、毛遂という人物が「私を最後の1人にしてください!」と懇願しました。しかし平原君は「あなたは3年もここで働いているのにいっこうに噂をきかない、噂をきかないということは能力がないのだ。袋の中にあるキリのように、才能があればとっくに私があなたを知っているはずだ」と冷たく答えました。

 そこで毛遂が「だからこそ今日初めて袋の中に入れてくだいさいとお願いしています。これまで一度でも私を袋の中に入れて下さっていれば、錐の先っぽどころか柄まで突き出ていたはずです」と答え、平原君はしぶしぶ彼をメンバーに加えました。そこから毛遂はみるみるうちに成果を上げ、平原君は自分にはこれまで人を見る目がなかったと反省しました。このように、『史記』を最後まで読めば嚢中の錐とはむしろ「きちんと広報活動をしないとどんな才能の持ち主も腐ってしまう」ことを示していると分かるのです。

 そこで、この講義では、参加者が広報活動をおこなうことも講義の一環とすることにしました。以下に具体的な広報方法を解説します。

 まず、Pandoで記事投稿をおこなっていただきます。

 「東京大学GCLメンバーとして投稿」を選択します。

一般公開を選択します。

タイトルやタグを自由につけ、記事を執筆します。

 このとき、各チームで事前にチャット等で振り返りをおこなっておけば記事の執筆が楽になると思います。記事には、①どんな議論をおこなったか、②最終的にどんなものを目指しているか、③これまでどんな変遷があったのか、などを意識して頂けばいいかと思います。
 といっても、必ずしもこの形式にこだわらずに自由に書いていただいて構いません。

 また、タイトルは多くの人の興味を引くようなものにすること、ところどころ強調箇所は文字を太字にしたりイタリック体にしてみたり文字の色を変えてみたりすると、記事に強弱が付いて読みやすくなります。

 写真の活用もおすすめです。

 そのほか、TwitterやFacebook、Instagramとの連携など、みなさんなりの広報活動を展開していってもらえれば幸いです。最終的にPV数で上位チームを表彰することになっています。