簡単な日本神話に関する解説をした後、古事記のおもしろエピソード五選と古事記に関するおすすめ本五選をご紹介!
こんにちは、さららと申します。
皆さんは日本神話をご存じですか?
大蛇と闘うスサノオの話などは昔ばなしとして知っている方も多いかと思います。
そんな日本神話が主に載っているのが、現存する日本最古の歴史書、古事記です。
しかし、古事記と聞くと途端になんとなくお堅くてとっつきづらいそんなイメージがあるのではないでしょうか。
ではそんな古事記に実際には何が書かれているかというと、
恋愛、恋愛、出産、闘い、そして再び恋愛。
登場人物は怒って暴れたり、痴話喧嘩したり、やりたい放題の人間味あふれる人(神)ばかりで、難しいことは特にありません。かくいう私も大好きです!
今回はそんな古事記の魅力をお伝えしたあと、個人的に分かりやすいと思った現代語訳の本などをご紹介したいと思うので、是非最後までご覧ください。
目次 |
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〇古事記とは 〇あらすじ 〇古事記の印象的エピソード五選 ①日本初?の男装 ②娘をどうしても結婚させたくないお父さん ③婚約者を選り好みして怒られる ④夫のために命をささげる、悲恋物語 ⑤気になる「人間」の成り立ちは? 〇おすすめの古事記二選 〇日本神話リスペクトの作品三選 |
〇古事記とは
先ほど少し触れました通り、古事記は現存する日本最古の歴史書です。
日本の成り立ちなどの日本神話から、第33代推古天皇(聖徳太子が摂政をしていた日本初の女性天皇ですね!)までの物語を記した史書で、712年に太安万侶(おおのやすまろ)によって編纂されました。
日本を作った神様の子孫が天皇である、という作りになっていて、天皇に政治を行う正当性を与えるためにできたと言われています。
また全国津々浦々の伝承を、天皇中心の神話の中に入れ込むことで、中央集権国家の確立に役立てようとしたのではないかという説もあります。
〇あらすじ
詳細は色々と違いますが、ここでは簡単に十二行ほどで説明します。古事記についてはここを押さえておけば一応、大丈夫です。
イザナミ、イザナギという二柱(神は~人でなく~柱と数えます)が日本を作り、結婚して神を沢山産む
→諸事情で二柱は喧嘩別れしてしまい、娘のアマテラスが天界を治めることになる
→一方地上(日本)ではオオクニヌシという神が国を治めていた
→アマテラスはそんな彼に、自身の孫ニニギに国の統治権を譲るよう要求し、了承させる
→ニニギは天界から地上に降り立ち、日本を統治するようになる
→ニニギの孫が初代天皇、神武天皇となる
→色々な天皇の話が33代目まで続く
〇古事記の印象的なエピソード五選
①日本初?の男装
天にものぼる巨大な蛇を倒したことで有名なスサノオは豪傑なイメージがありますが、実は若い頃は血気盛んな乱暴者でした。そのため、姉であるアマテラスの領地に彼が訪れた時、攻め込みに来たのではないかと警戒されます。その時、アマテラスはなんと男の格好をして武装し、雄々しい叫び声をあげて彼を出迎えたのでした。
結果的に戦いにはならなかったものの、後のスサノオの悪質ないたずらによって、アマテラスは岩戸に閉じこもってしまいます。これが有名な天岩戸の原因なのですが、その前の男装についてはご存じない方も多かったのではないでしょうか。
②娘をどうしても結婚させたくないお父さん
①から時は過ぎ、スサノオに娘ができその子が成長したころ、娘が婚約者を連れてやってきました。しかしスサノオは婚約者を認めず、様々な試練を課します。元々婿取りの時には試練を課すことが儀礼だったそうですが、大量の蛇の巣に閉じ込めたり、火を放って殺そうとしたりとやりたい放題。結局油断して居眠りしたところを駆け落ちされてしまいました。最終的には結婚を認めたものの、今も昔もお父さんが「お前に娘は渡さん!」と怒るのは同じだったんですね。
③婚約者を選り好みして怒られる
お次はあらすじでも登場した二ニギについて。ある時彼は偉い神に娘二人を同時に娶るようお願いされます。この時代は妻が複数いることはおかしなことではないので、普通なら了承するところですが、なんと二ニギは拒否。しかもそれは、片方の見た目が可愛くてもう片方の見た目が好みではないからというひどい理由からでした。無論怒った偉い神。
結果、彼のこの行いによって天皇家に寿命という概念ができたと言われています。
④夫のために命をささげる、悲恋物語
ある夫婦の物語です。夫は天皇から戦のために遠征に行くよう命じられており、妻とともに旅をしていました。しかし旅の最中船に乗った所、ひどい嵐に見舞われてしまいます。困った夫を見てか、妻は「あなたは立派に務めを全うしてください。」と言い、人身御供として海に身を投げました。その途端、嵐は嘘だったかのように消え失せ、無事妻を除いた一行は目的地に到着します。
夫が嘆き悲しみながら岸に降り立ったところ、そこには愛する妻の形見の櫛が流れついていたのでした。
なんとも切ないお話です。原文では言及されていませんが、もしこの櫛がかつて夫から妻へ贈られたものだったら…などと考えるとこみあげてくるものがありますね。
⑤気になる「人間」の成り立ちは?
天皇の系譜について説明している古事記ですが、それ以外の人間に関してはどう描かれているのでしょうか。
実は、人間ができた理由については明確には説明されていません!
専門家によるとある日突然泥の中から草と一緒にぴよぴよーっと生えてきたという説が有力だそうです。もしかしたらこのような曖昧な人間誕生の物語は、日本人の人間中心ではない森羅万象を重んじる風潮とも関係しているのかもしれませんね。
他にもイケメンが女装する話や逞しく嫉妬深いお姫様、敵対する兄と夫の間で葛藤する后など、沢山の面白かったり切なかったりするお話があります。また、古代のジェンダー観や伝統についても考えさせられるシーンが盛りだくさんです。よろしければどうぞご自分の目で確かめてみてください!
〇おすすめの古事記二選
ここまで読んでくださりありがとうございます!ここからは最初に申し上げた通り、個人的に読みやすいと思った古事記を紹介します。
・興味を持って下さった方
こちら、ラノベ古事記がおすすめです。ネット上で無料公開されています。
私は小学生の時にこのサイトの存在をたまたま知り、それから日本神話が大好きになりました。
原文から誇張されている部分が若干ありますが、イラストや会話文が多くついており、とても読みやすく面白いです。ただ、大分砕けた文体なため苦手な方もいらっしゃるかもしれません。(書籍もあります!)
・きちんと読んでみたい方
現代語訳の中で個人的なおすすめはこちら、池澤夏樹訳の古事記です。
非常に明快な訳かつ、原作遵守なので、古事記を本格的に分析したい!という方でない限りこれで十分だと思います。また丁寧な注釈がついているため、読むたびに新たな発見があり是非手元に欲しい一冊となっています。地の文、注釈ともにいい意味で学者然としていない親しみやすい文章で、中高生の方でも読めると思います。
〇日本神話リスペクトの作品三選
日本神話のパロディやシーンの一部を起用した作品は多くあります。その中でも特に私が好きであるかつ、読みやすいものを紹介したいと思います。
・勾玉シリーズ 荻原規子
児童文学の名著であり、大人でも楽しめるほど重量感のあるストーリーが魅力です。全三部作+一作のシリーズものですが一つ一つ完結しているので単体でも読めます。日本の歴史をイザナギから源頼朝まで幅広くオマージュしており、古事記の内容を知っているとより楽しめる作品です。ファンタジー、政治、恋愛、闘いなど沢山の要素が絡み合った本作は一度引き込まれれば最後まで読んでしまうこと請け合いです。
・火の鳥 黎明編 手塚治虫
言わずと知れた手塚治虫の名作、火の鳥の第一巻です。アマテラスと卑弥呼同一人物説など、50年以上前の作品とは思えない革新的な解釈がなされており、とても面白いです。作品の完成度も圧巻で、マンガのため読みやすいです。こちらも一応一巻完結型のため、これだけで読めます。古事記の小ネタ以外にも全編を通して生きるとは何かというテーマが突き通っており、何度読んでも考えさせられまさに最高傑作です。
・神様の御用人 浅葉なつ
主人公の青年はある日突然、色々な神様の願いを叶える“御用人”に選ばれる。何の能力もない一般人の彼がどうやって神様の御用を果たすのか…。
個性豊かな神様が沢山出てくる本作は、今回ご紹介した中でも一番古事記からの引用が多い作品です。ライトノベルのためポップで読みやすいですが、現代人が忘れがちな自然への感謝や、神社での神様との向き合い方についても言及されていて、一パロディ小説に終始しない深みがあります。
長々とお付き合いくださりありがとうございます。古事記始め神話というのは長年継承されているだけある、面白い話ばかりがつまっています。また、知っておくと神社や日本の名所が何倍も魅力的に見えるようになります。ぜひ、お気軽に触れてみてください!
古事記と聞くと全く読む気がしていなかったのですが、この記事を読みすごく面白そうだと思いました!ジェンダー観にも興味を持っているので、ぜひおすすめしてくれてる作品を読んで、当時の価値観に触れたいです!
なんか大昔の難しい話だと思って敬遠していた日本の神話だったけれど、現代の私たちがに少し親しみを感じられるような内容に噛み砕いて解説されていて本当に面白かったです笑笑
他の神話も読んでみたくなりました!!
とても読みやすくて面白い記事でした!
いまではそんな面白くツールをアレンジされているんですね、、ぜひ私も読んでみたいです!
書かれている神様も自分の感情を制御できない不完全さがあり面白いですね。記事の写真の選択が内容とあっていてプッと吹き出してしまいました。
神話って小難しいのかなあと思っていたけど、実はとても面白いのですね!!父親がむずめを手放したくないのは、今も昔も同じだったのですね笑