みなさんこんにちは、持田です。ということでいきなり連載がスタートしました。こういうのは取り組んでいくことが大切ですからね、僕らが知っていること、思っていること、感じていることを素直に発信できたらいいな、と思います。
この連載では、模擬国連のスキルを何か伝える!とかではなくて、模擬国連で話し合われている議題についてお話しします。
さて、この連載で最初に掘り下げる議題はどうしましょうか。国連の中でも最も重要な審議機関が「国連総会」です。この国連総会自体でも様々な議論がなされるのですが、国連総会の下に、より具体的な話し合いを行うための「委員会」が6つ設置されています。それぞれ、第1委員会、第2委員会…と呼ばれます。各委員会で何が話されているのか、以下にまとめます:
- 第1委員会:軍縮・国際安全保障問題
- 第2委員会:経済成長と開発(マクロ経済政策を含む)
- 第3委員会:社会開発や人権問題
- 第4委員会:特別政治問題および非植民地化
- 第5委員会:国連の行財政
- 第6委員会:国際法規の整備や国際法の法典化
(外務省)
まずは、各委員会で話されている有名・主要な議題を一つずつピックアップしていこうと思います。
かくして、初回は第1委員会についてです。既出の通り、第1委員会では軍事力削減についてや、各国の安全を守るための措置について主に議論されています。国連と軍事、と聞いて皆さんが最初に思い浮かべるのはどんな議題ですか?今回解説するのは、王道中の王道のテーマ、「核軍縮」です。
まず、模擬国連における核軍縮について話しましょう。本議題は2012年に全日本高校模擬国連大会という全国大会で議題として使用されました。核保有国と非保有国、核の傘に守られる国…という風に各国の立場が既にとても明確で、想定される対立点もはっきりしている議題ですので、以降多くの模擬国連練習会議で使われてきたメジャーなテーマです。メジャーすぎて最近はほかの議題を使おう…なんてことにもなっていたりするので、最近ではあまり核軍縮を取り扱った会議は見ませんね(笑) Let’s MUN!主催の6月14日の会議は久しぶりの核軍縮会議復活となりそうです。お楽しみに。
さて、国連での核軍縮について。先ほど「国連総会の第1委員会で話されている議題」として紹介しましたね。ここを掘り下げていきましょう。国連のシステムについても述べることになりそうです。お付き合いを。
まず端的に言ってしまいますと、核軍縮が議論されているのは国連総会第1委員会だけではないのです。なんてこった。第1委員会の役割、覚えていますか?「軍縮・国際安全保障問題」がテーマであって、核軍縮だけに絞られていないことになりますね。第1委員会では核軍縮以外にも軍事、安全保障関連で多様な議論がされていますから、「核軍縮」は、あくまで多くのテーマの中の一つ、という位置づけにすぎません。さて、核軍縮が話し合われている場はほかにもある、と書きました。それが国連軍縮委員会(UNDC)です。こっちは軍事の縮小とうたっていますので、軍事兵器である核兵器はより大きいウェイトを占めます。このようにして総会第1委員会とUNDC、この二つの議場が中心となっているのです。
では、議論の内容を見ていきましょう。「核軍縮」と一言で言っても、その中には様々な細かい事項があります。第1委員会での核軍縮に関する議論では、どのような論点が出ているのでしょうか。以下にまとめてみました。
- 非核兵器地帯の設立
- 核兵器使用からの非核国の保護
- 核実験
- 核不拡散
- 各種条約の作成
このほかにも名を変え形を変え、様々な議論がなされているようです。
最後に、ここに出てきた用語の解説をしてこの記事を終えたいと思います。まずは「非核兵器地帯」。文字通り「核のない場所」なのですが、「ない」という定義づけが「保有しない」なのか、「製造しない」なのか、あるいは「核兵器保有国がその地域内に核兵器を配備しない」なのか、詳しいところは定まっていない(地域によってまちまち)です。いずれにせよ、核兵器の影響力を緩和するための地域といえるでしょう。
次に「条約」についてですが、核兵器に関する条約はとても多くあります。数か国間(主に米ロ仏英中、あるいは一定の地域内)での取り決めもあれば、より多くの国の参加を見越した条約もあります。有名なのだと部分的核実験禁止条約(PTBT)、核拡散防止条約(NPT)、START I, II、包括的核実験禁止条約(CTBT)、核兵器禁止条約…などでしょうか。それぞれの条約について、締結国、発効年、課題、そして条約の内容が現在どれほど達成されているのかについて調べてみてもいいでしょう。
さて、連載初の記事はどうでしたか?前半は国連システムについて少し濃く述べましたね。国際問題については、石川さんが「BlackLivesMatterを考える」でも書いていたように、興味を持つことが大事だと思っています。気になること、興味のある問題があったら自分から調べると理解が深まりますし、今の世界がどのように動いているのか知ることもできるのではないのなかぁ、とも考えています。
次回は第2委員会の議題から記事を書きます。それでは。