Magadipitaへの想いーさくらこ

 ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、Magadipitaとは“Magazine”と“Serendipity”、即ち「何かを探している時に本来の目的とは違うところで、別の価値あるものを見つける『能力』」の二つの言葉を掛け合わせてできた造語です。まずは私自身の身に起きたSerendipityについてお話しようと思います。

 

そもそも、S.A.L.というサークルに入ろう、そしてMagadipitaというプロジェクトに携わって活動しようと私が決めたのは、実は大学に入る前、受験期の時でした。受験のモチベーションを保つため、志望校だった慶應について調べていた時、S.A.L.のホームページと出会い、そこでMagadipitaの存在を知りました。学生が作っているとは思えないほどハイクオリティな雑誌や数々の作品に心を打たれ、絶対合格してこのサークルに入ろうと決意しました。このSerendipityな出会いのおかげで、今、こうしてMagadipitaの一員として活動を始めることになりました。

 

では次は、こうも私のことを魅了したMagadipitaの魅力について少しだけ語らせて頂きます。とにかく言いたいこと、それは、「何度読んでも心惹かれる」ということです。今回のお話を頂いてからどう書き進めようか悩んでいた時、バックナンバーを読み返してみたのですが、やっぱり心がワクワクする。やっぱりこの特集好きなんだよなぁと思い直させられるんです。その理由は3つあると考えました。一つ目は、電子でなく紙であることです。形に残るということはやっぱりそれなりに意味を持つことだと感じます。二つ目は広告ページまでがデザインされていることです。美的な視点からの完成度・一冊の一体感を保つことは読みやすさにつながります。そして何より重層的な構造をとっていること。年に一冊の発行という形をとるため、自然と熟考・話し合い・試行錯誤を重ねることになります。だから導入になる日常的な出来事から本当に伝えたい深層の事象までの展開が鮮やかなんです。

 

すこしほめすぎました。でもこれらのMagadipitaらしさが私はとても好きです。そして今年から本格的に活動に携わるうえで尊重したい伝統の部分です。しかしもちろんここに自分の個性をにじませることが、私がMagadipitaの製作に携わるうえで大切なことだと思っています。私が以前受けたような衝撃や感動、出会いの喜びを、今度は自分の力で誰かに届けたいと強く思います。

 

先日、「音」というコンセプトをもとに企画について話し合いがありました。初めて体験する企画立案にワクワクが止まらず、「マイノリティの『声』を上げること大切さとマジョリティの認識・受け入れの変化」、「ジョン・ケージの『4:33』から着想を得た、無音状態(=コロナ禍によって外出のできない現状)の中で聞こえるのは自分の脈の音(=自分の心身と向き合うチャンス)」、「ブラックミュージックにおいては白人黒人の立場が逆転することから既存の構造を疑う」などの案が出ました。どのような形が完成形になるかはわかりませんが、これからの活動が楽しみです。

 

最後に補足で自身の興味関心を記しておきます。技術面としては、社会に出てもどこかしらで役立てることが出来ると思い、イラストレーターのスキルを磨きたいと思っています。企画としては、自分の周りの友人に振袖をお古でもらっている子が多く、またその子たちがこぞって誇らしげだったのが印象的で、レンタルや新品という選択肢もある中、「受け継ぐ」ことを肯定的に選択することについて、あるいは反対にレンタルやサブスク、新品購入のよさについて掘り下げる機会があれば挑戦してみたいです。