「愚かさ」こそが人類を進歩させてきた、という指摘がある。もとは経営組織についての研究でノーベル賞を受賞したハーバート・A・サイモンと、その共同研究者ジェームズ・G・マーチによって発見されたものだ。後にマーチの方がこの研究にのめり込んだことで知られている。
始まりはハチとハエの例え話から入る。ハチはハエに比べて体も大きく、脳も大きい。つまりハチの方がハエよりも頭がいいということだ。
実際に、ハチはちゃんと目的を持って空を飛び回るが、ハエは基本的にランダムな方向に飛んでいる。
さてこのとき、暗闇(暗室)でハチとハエを透明なビンに入れて、瓶の底に電球を当て続けたらどうなるだろう?というのだ。実は光がある方が基本的には正確だとインプットされているハチは死ぬまで瓶の底に隠れて体を打ち続け死んでしまう。反対にランダムに飛び回るハエはそのうちにビンの口の方に飛ぶこともあり、外に出られる。
もちろんハチとハエがかわいそうだから、実際にはこの実験はコンピュータシミュレーションでおこなう。画像は実際に私が自分で組んでみたシミュレーションである。
ここから何が言えるだろう?
ひとつは、こうしたことは人間の社会でも起こっているだろうということだ。人間は賢い。人間というだけでも賢いのに、世の中にはさらに賢さに磨きをかける人がたくさんいる。もちろんこれは素晴らしいことだ。
だが、同時に賢いがゆえに決まった思考プロセスや行動パターンで全てを解決しようとするかもしれない。そのため短期的な目的と手慣れた手段にこだわってしまい、新しい機会を逃すかもしれない。
賢い、人間という生き物だからこそ、愚かさを取り入れないと進歩しないのである。マーチはこれを「愚かさの技術」と呼んでいる。
私たち自身のことを考えたとき、普段賢さにとらわれていないだろうか。ときおり愚かさを取り入れられているだろうか?
たくさん勉強して賢くなればいいというわけではないのですね!
柔軟性も持ち続けることも大切なのだと分かりました!
そうですね!
Pandoを使っている人はすでに挑戦心あふれた人だと思います。
賢さに囚われるというのは、確かに陥りがちなところな気がします。常に正解だと思ってしまうことも正解ではないかもしれないという、見方は勉強になりますね。
コメントありがとうございます!
賢くなればなるほど、知識がつけばつくほど、新しいアイデアに対して粗ばかり見えるようになるというのは大きな不条理に感じます。
その代表が学者だと思いますので自戒・反省が必要だと思っております。