【解説動画】『週刊エコノミスト連載』;「起業流行り社会」の落とし穴

 ここでは、「資源とアイデア(情報)とが別の場所に滞留した場合、イノベーションが不活性化する」ことを出発点に、イノベーション創出に有効な社会・組織制度を考えた。本研究でのマルチエージェントシミュレーションでは、小さなイノベーション(悪貨)が大きなイノベーション(良貨)を駆逐する「イノベーションのグレシャムの法則」や、世間知らずが大きなイノベーションに寄与する「井の中の蛙の効用」などの興味深い現象が見られた。

動画解説1(こちらは青色の設定が若干変になっていますが大筋は伝わると思います)

動画解説2(こちらは本文通りですが文字を付ける気力が……)

 出発点として、筆者は、同じ行動原理を持つAIを1000体作成・複製した。個々のAIは、ランダムな大きさのアイデアか資源のどちらかを、半々の確率で生まれながらに持つ。各AIは、仮想空間を歩き回りつつ、自らのアイデアと資源を周囲のエージェントと比べ、自分より大きなアイデアや資源を持った者に自らのアイデア・資源を託す。AI達は、自分のアイデアの大きさ以上の資源を得ると、イノベーションを発生させる。AIが歩き回る際のフットワークの軽さ(一度に進む距離)と周囲を認識する視野の広さ(一度に計算する範囲)は後から調整できる。シミュレーションの実行時間(ステップ数)はひとまず300回とした。

※なお、シミュレーションには構造計画研究所のartisocを使用しシード値は1に固定している。

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