先日、著書『イノベーションを生む“改善”』が、第22回日本生産管理学会・学会賞を受賞した。日本生産管理学会は日本の生産管理系で最大規模の学術団体で、文系・理系・理論・実務が入り混じった面白い団体だ。
もちろん、受賞自体とてもうれしいことだ。しかし、賞そのものではなく、こうして少しでもこの本が人の目に触れる機会が増えていくことの方がうれしい。
この本は、若干(というかかなり?)専門的ではあるが、単なる理論だけでなく、実践にも活きるものだ。実際に、Benchmarkingという国際雑誌に掲載された私とMarinov博士による研究では、ここでの理論を使用した改善をおこなって、建材工場の生産性が大幅に向上している。あるいは、世界に向けて、下記の二つの著書で災害対応や経済変動に耐えるためのオペレーションのあり方を理論化したりしている(筆者は3つの章の執筆を担当。編集者は東京大学藤本隆宏先生)。
そして、その先には「日本式経営の逆襲」がある。『イノベーションを生む“改善”』の理論とデータをもとにして、よりわかりやすい形で、日本企業・日本社会がより豊かになるための提言をこれからおこなう予定なのである。
日本には日本「式」経営と呼べる経営技術がある。そして、そこにコンセプト化というほんの一ひねりを加えるだけで、日本はほんのちょっと豊かになる。そのために必要なのは、これに気が付くことだけだ。このとき、「気が付く」ということが大事なのであれば、書籍という形でも社会貢献できるはずだと考えた。
抽象的すぎてわからないと思われるかもしれない。しかし、あと1年もせずに『日本“式”経営の逆襲』は日本経済新聞出版から出版されるので、伝えきれない想いは実物そのもので示していきたい。これは、いま、12万字ほど書き終わっており、あと一息というところまできている。
とにもかくにも、こうした想いが背後に流れている著作が『イノベーションを生む“改善”』なのである。