【興國高等学校】西日本唯一の高校男子ラクロス部の活動とこれから

皆さん!ラクロスというスポーツを知っていますか?

何となくイメージできる方は多くても、実際に試合を見たりプレイしたことがある方は少ないと思います。
そんなラクロスですが、世界的な競技人口はなんと約60万人もいるのだとか! 日本でも、大学生や社会人の間で広まりつつある、注目のスポーツなのです。

しかし……

日本国内にある高校男子ラクロス部は5校のみ。

さらに西日本にはたったの1校しかありません。

その西日本唯一の男子ラクロス部が、今回インタビューした興高等学校男子ラクロス部(以下、興高校ラクロス部)。
ラクロス同好会から始まり、現在のラクロス部に至るまで3年間のヒストリーとこれからに迫ります。

今回インタビューを受けていただいたのはこちらの4名です。

3年  三木 颯(ミキ ハヤテ) さん
昨年度主将 ディフェンス(DF)
普通科 進学アカデミアコース

2年 大崎 颯太(オオサキ ソウタ) さん
今年度部長 ミッドフィルダー(MF)
普通科 キャリアトライコース(公務員コース)



1年 荻原 朱里(オギワラ シュリ) さん
1年生キャプテン アタック(AT)
普通科 キャリアトライコース(公務員コース)

矢川貴文 (ヤガワ タカフミ) 先生
ラクロス部 顧問

ラクロスとの出会い

――興國高校を選んだ理由と、ラクロス部に入った理由を教えてください。

三木 もともと私立高校を受験しようと決めてはいたのですが、その中で興高校を選んだのは授業のカリキュラムに惹かれたからです。

入学時は部活に入らないつもりでしたが、その年にラクロス同好会ができたのを目にし、体験したのがきっかけで入部を決めました。

大崎 僕は警察官になりたいと思っていたので、公務員の国家試験を目指す「キャリアトライコース」がある興高校を選びました。

ラクロス部に入った理由は、色々なスポーツができる人間になりたかったから。小さい頃からサッカーやバスケ、体操などを経験してきましたが、これまでとは全く違った新しいスポーツに挑戦してみようと思い、ラクロス部に入りました。

荻原 僕の場合は、将来消防士になるという夢があったため、興高校のキャリアトライコースに入ることを決めました。

ラクロス部に入ったのは、中学時にしていたハンドボールと共通点が多いと感じたことがきっかけです。

――矢川先生も高校時代からラクロスをされていたのでしょうか?

矢川先生 私がラクロスを始めたのは、大学1年生のときです。中学校・高校までは水泳部に所属していたのですが、進学した大阪教育大学は水泳部がすごく強く、入れなくて。ラクロスであれば、大学からでも始められるのではないかと思い、大学から4年間ラクロスを続けました。

卒業後は関西の「カブトムシ」という社会人ラクロスチームで1年、今年からは「CYL」という社会人ラクロスチームに所属しています。ですからラクロス歴は計6年間ですね。

――矢川先生が興國高校ラクロス部を作ったと伺いました。

矢川先生 高校は教員を含め、いろいろな挑戦をさせてくれる学校なので、私が就職する以前から高校で働いていた大学時代の先輩と「ラクロスができたらいいな」と話していたんですよ。その後、興國高校への就職が決まり、ラクロス部を作ることになりました。

高校は大きい学校にも関わらず、運動部の数が少なくて。水泳部やハンドボール部などのメジャースポーツもないため、これまで運動部で活躍してきた生徒が一から始められるラクロス部があれば、充実した放課後活動を提供できると考えました。

さらにラクロスは、現在関東一強の状態。関西の地でラクロスを振興し、関東に対抗できるラクロスプレイヤーを輩出したいとの思いから興高校にラクロス部を作りました。


興國高校ラクロス部ってどんな部活動?

――ラクロスの特徴や興國高校ラクロス部の魅力を教えてください。

荻原 クロスという網のついたスティックを用いる点がラクロスの大きな特徴です。部としては集団性があり、先輩方がとても優しく教えてくれるところが魅力です。

大崎 興國高校のラクロス部はまだ人数が少ないので、各学年だけでは試合に出られない状態です。そのため、2年生と3年生のチーム、1年生と2年生のチームというように混合チームを組まなければなりません。そのぶん他のクラブと比べて他学年との仲が良いと思います。

三木 高校は僕のように中学校でも運動部に入っていた人が多いです。中学時代に培った運動部での経験は、激しいラクロスにも活かせると思います。

以前は練習に3人しか来ないときもあり大変でしたが、今は1年生もたくさん入ってくれたので、しっかりと練習ができていて楽しいです。

矢川先生 興高校ラクロス部には多様性があります。例えば、勉強に力を入れているコースを選択しているため、あまり練習に参加できないけれど続けられているメンバーもいます。他にも、中学校のときは1日も学校に来ていなかったけれど、今は部活動が楽しいから毎日登校するようになった部員もいます。

個性豊かなメンバーがいて、バラエティーに富んでいることが一番の魅力だと思っています。

ラクロス部の目標とは?

――興國高校ラクロス部ではどのような目標を持って取り組んでいますか?

三木 大学生と試合をしているのですが、まだ勝ったことがないのでまずは1勝を目指しています。ラクロスは痛いこともありますが、それに耐えて勝ったときの喜びを感じたいです。

大崎 また、大学1回生が出場する大会に参加することも目標にしています。そのために、練習試合で大学1回生を圧勝できるだけの力をつけていきたいです。

その他にも、自分たちで雰囲気を作ることを心がけています。大学のラクロス部は、全て部員たち自ら行動していると感じました。練習の雰囲気、掛け声、挨拶など、先生に指示されてではなく自分たちで雰囲気を作り上げることができる部活動を目指しています。

ラクロス部の練習について

――試合に勝つためにどのような練習をされているのですか?

大崎 試合形式の練習を多く取り入れています。去年までは人数が少なく部員同士では紅白戦すらできませんでしたが、今年は嬉しいことに1年生がたくさん入ってくれたので、試合経験を増やすために紅白戦を多めにしています。

紅白戦でひたすら走り続け、技術を磨きながら体力をつけています。グラウンドが取れなかった日やトレーニングの日は走りに行くこともありますね。

三木 昔はグラウンドがあまり取れなかったので、トレーニングルームなどを使い筋力トレーニングをたくさんしていました。今はグラウンドが取れるようになったので、ボールを使う練習をメインに行っています。

矢川先生 ラクロスは小さい子でも、小さい子なりの体格に応じたプレイができるスポーツです。大学生に勝つには体格ではなく技術的な部分を高めていくことが重要ですから、技術差で勝てるよう実践練習をメインに組むようにしています。

ラクロス部の試合事情について

――今までどのぐらい試合をしてきましたか?

矢川先生 男子ラクロス部は関東に4校、関西は興高校だけなので、5校で交流戦を行いました。加えて、関西の大学と合計で20回ほど練習試合を行ったり、関東の大学の新人戦に参加したりしています。

三木 交流戦の相手は同じ高校生にも関わらず、まるで大学生のように見えて……

当時、興高校ラクロス部にはユニフォームがなかったこともあり、相手がユニフォームを着ているだけで試合前から少し威圧されてしまったことを今でも覚えています。

試合では声でも負けていたので、後輩たちには声に圧倒されないよう自分たちから声を出すよう伝えたいですね。

大崎 大学生との試合では、やはり体格差の違いを毎試合感じています。体格差があると押す強さや走りの速さ、体力など全てが違うんです。その違いで負けてしまうことも多いため、筋トレによる身体作りの必要性も痛感しています。

関東の高校の交流戦に参加したときは、関東と関西でルールが違うことを知らず混乱しました。

関西では4人制ラクロスというルールなのですが、関東の交流戦は6人制ラクロスというルールを採用していて人数が違います。また、関東では少し長いロングクロスを使っています。関東はロングクロスを使い、6人制を採用することを聞かされていなかったので、「なんやあのクロス!長すぎんか?」「人数も多くね?」と困惑しました。

――4人制と6人制はどのように違うのですか?

大崎 7人対7人で行われる4人制は、攻め専門のアタック(AT)が2人、守り専門のディフェス(DF)が2人、攻めと守りの両方に参加するミッドフィルダー(MF)が2人、ゴールを守るゴーリー(G)が1人で1チームです。6人制はAT、DF、MFに1人ずつ増え10人対10人で戦い、常にAT3人とMT3人 VS DF3人とMT3人となります。4人制から6人制になると人数が多く守らなければならない場所が増えるので、動き方もわからなくなり難しかったです。

思い出のエピソードとは?

――今までで印象に残っていることはありますか?

大崎 6人制のラクロスで全員が戸惑い2桁ぐらい差がついていた中で、1点を取ったことが一番印象に残っています。

荻原 シュートを打って入ったときが一番印象に残っています。

三木 大学生との試合で、1度だけ引き分けた試合が印象に残っています。あまり練習に来れていない3年生が2点先取し、初めてリードできたときはすごく嬉しかったです。

ラクロス部のこれから

――練習や交流戦以外で力を入れて取り組んでいきたいことはありますか?

大崎 整理整頓や挨拶などの礼儀をしっかりとしていきたいです。

私は中学校で厳しい部活動に入っていたため、同好会から始まった興高校ラクロス部は、正直少しゆるい部活動だと感じていたときもあります。

雰囲気もそうですが、荷物の置き方もばらばら。先生方への挨拶も声が小さめといった状況だったのが、部に昇格した瞬間に厳しくなったんです。同期の2年生は同好会で入った部員が多いので「何でそんなにきつくされなあかんねん」と言っている部員もいました。しかし、先輩がそのようなことを言っていると後輩がついてきてくれないので、自分たちから変わらなければと考えていました。

今はこの代で切り替えて、荷物をしっかり綺麗に置く、道具を丁寧に扱う、ゴミを置いて帰らないといった当たり前のことを引き締めていきたいです。

矢川先生 部に昇格したからには、部としての自覚を持たないといけないと思います。今はこの学校にとってラクロス部は、メリットが少ない部活動です。ラクロスで推薦を受けるのは、まだまだ先になると思いますし、中学生をラクロス部に勧誘して学校への入学者を集めることができない中で、部活動をさせてもらっているので、学校に対して貢献できるように指導していきたいと考えています。

矢川先生から興國高校ラクロス部メンバーへのメッセージ

――先生から生徒に伝えたいことはありますか?

矢川先生 部活動を一から作れる機会を大切にしてほしいです。今年は特に生徒たちが自発的に行動できるよう仕組みを変えています。自分たちで動き、自分たちで残したいというものを残さなければ何も残りませんし、この3年間の意味を感じられないと思っています。

だからこそ、自分たちで作れるこのチャンスを無駄にしないで欲しいね。

それぞれが伝えたいメッセージ

――高校の先生や学生に伝えたいことはありますか?

三木 関西の高校の先生たちにラクロス部を作って興國高校ラクロス部と繋がって欲しいと伝えたいです。

大崎 僕は興國高校のクラスメイトに「ラクロスって防具つけているし、痛そうやし、あんまおもんなそう」と冗談半分で言われることがあるため、「一度だけでもラクロスに触れてもらいたい」と伝えたいですね。

また、興高校ラクロス部の体験に参加したものの辞めてしまった人に、ぜひもう一歩踏み込んでラクロスを経験してもらいたいと思っています。ラクロスはパスすることさえも難しく、最初はできなくて当たり前です。その時点で辞めてしまう子が多いですが、その先にラクロスのおもしろさがあることを伝えていきたいです。

荻原 僕も、体験をして辞めてしまった人たちに、「ラクロスってこんなにおもしろいんだよ」と伝えたいです。そして、もう一度戻ってきてほしいです。

矢川先生 私はラクロスをされている方やラクロス部の運営に関わっているラクロス協会の方たちと協力し、さらに関西の高校ラクロスを盛り上げていきたいです。

興國高校ラクロス部の展望

――最後に興國高校ラクロス部のビジョンをお聞かせください。

三木 私は卒業なので、後輩たちには大学生にももちろん勝ってもらいたいですが、まずは高校生に圧勝できる実力を身につけて欲しいです。

大崎 僕はラクロス部の雰囲気をさらに良くしていきたいです。まずは1勝と言っているのですが、1勝することよりも雰囲気の方が大事だと思います。

正直、今の練習の雰囲気は良いか悪いかと言われると悪いに寄っていると思います。もちろん声を出して頑張っている子もいますが、自信がないからなのかあまり声を出さない部員もいます。1勝して新人戦に出ることも目標にしていますが、僕が引退する前には高校ラクロスって部雰囲いいな」と興國生に思われるぐらいの部活動にしたいです。

荻原 僕は先輩たちが雰囲気を変えるのではなく、僕たち1年生が雰囲気を良くして先輩たちをフォローしていきたいです


まとめ

三木さん大崎さん、荻原さん、矢川先生のラクロスに対する熱い思いは伝わったでしょうか。

今回の記事を読みラクロスに少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひ興高等学校ラクロス部の練習を一度見に行ってみてください!!!

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最後に矢川先生のおススメ!!ラクロスの魅力がたっぷり詰まった動画を載せておきます。
ラクロスのかっこいいシーンや激しいシーンがたくさんあり、さらにラクロスに興味を持つこと間違いなしです!!! よろしければご覧ください。

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