ウガンダ球界の今

東京大学新2年の井筒です。
久しぶりの記事となります。
今回は最近のウガンダ球界について書いていきたいと思います。
とはいっても具体的な話から入っても仕方がないので、今回は広く球界全体に触れながら説明していきたいと思います。

まず直近のウガンダ球界に共通していえるのはコロナが与えた影響の大きさです。ウガンダでは2020年と2021年にロックダウンが行われたほか、学校はかなりの期間閉鎖されていたとのことでその期間の活動はかなり制限されていました。昨年から活動は再開したもののその影響は今も見られます。

ウガンダ野球においては現状大きく分けて3つの世代が存在しているものと認識しており、それがリトルリーグ世代(主に12歳以下)、ティーンエイジャー世代(主に13~18歳の世代)、大人世代(19歳以上)です。

以下でそれぞれの説明をしていきます。

リトルリーグ世代
この世代は、最も若い選手、子供たちの世代でありますがこの世代がウガンダにおいては最も発展してきたとも言えます。この世代ではリトルリーグの世界大会にも出場していますし、国内リーグも早くから整備されてきています。
また、今年1月に行われたU-12のアフリカ選手権も突破しており現在でも高いレベルを維持していると言えます。
https://www.wbsc.org/ja/events/2023-u12-baseball-world-cup/news/uganda-wins-historic-wbsc-u-12-baseball-world-cup-africa-qualifier


そんなこの世代を支援してきた代表的な存在がRichard Stanley氏です。彼はアメリカ人の実業家ですが、2002年にボランティアとしてウガンダへ渡航して以降主に金銭的にリトルリーグを支え続けて来ました。そして、彼の支援によりAVRSという名前の学校が作られ、そこで野球以外にも数学など様々なものが教えられる中で、野球に関してはドジャースと提携する形でドジャースアカデミーが誕生したのです。

ちなみにAVRSやリトルリーグ、リチャードスタンリー氏の関わりについては以下のページが参考になります。
https://ugandalittleleaguebaseball.org/index.htm

上記のページにも書いてありますが、コロナ禍で学校が閉鎖されたことでリトルリーグも中断してしまいましたが、現在徐々に再開しているようです。
4月現在ではこの世代のリーグが行われていて中央地区(首都カンパラ周辺)、ルウェロ、ジンジャ、ルガジ、アルア、ソロティ、リラといった各地で選手権が行われているとのことです。(下の画像は中央地区の様子です。)

ティーンエイジャー世代
この世代は我々にとってもあまり情報のない世代なのですが、この世代のトップレベルの選手は先ほど触れたドジャースアカデミーに所属しています。ドジャースが各地の野球選手や元野球選手をスカウトとして各地から有望な選手を呼び寄せている状況です。我々が昨年渡航した際も訪問できなかったのですが、AVRS(ドジャースアカデミー)の様子があまり把握できていない状況がこの世代の情報不足の要因となっています。
アカデミー以外の選手は上の世代に交じって各地で試合を行い、一部の選手は各地の学校で野球をしているのが現状です。現在18歳か19歳でこの世代でナンバーワンのキャッチャーと言われているKasumba Dennis選手はカンパラ周辺で活動しており、tiktokでは1万人以上のフォロワーのいる選手です。
https://www.tiktok.com/@kasumbadennis648

ただ、この世代もある程度実力があるのは確かで現に、今年1月に行われたu-18のアフリカ予選を勝ち抜いています。
https://www.wbsc.org/en/news/uganda-qualifies-for-xxi-wbsc-u-18-baseball-world-cup


大人世代
この世代は、我々が支援を行ってきた野球リーグ(UBASAによって運営)が活動する世代です。国内リーグは我々の支援などによって行われていたリーグで2017年に開始し多い時で10チームほどが参加しており、それぞれが各地域でリーグ戦を行いその勝者がチャンピオンシップを戦うといった形式で行われていました。
チームはガヤザ、アシナガ、ルウェロ、カキラ、キャンボゴ、シェアリング、AVRS、ルガジ、セントピーターズなどです。
しかし、コロナ禍によってリーグ戦が中断し、それ以降にUBASAの下で行われたことが確認できる試合は2021年のケニアとの試合と2021年と2022年のオールスター試合のみとなっています。
https://www.wbsc.org/en/news/uganda-sweeps-kenya-in-mt-elgon-baseball-championship

このことにはコロナ禍により、ただでさえ資金力のないUBASAの資金力が落ち込み移動費などの工面が難しくなったこと、コロナ禍の長い中断期間で各地の野球チームとの連携が弱くなったことが挙げられます。それに加えて今年行われたu-18やu-12の国際大会にかかる費用もありリーグの運営が難しくなっています。

そうした中で、現役の選手や審判などを中心に立ち上げられたのがBaseball Talent Africaです。

この組織は、UBASAが運営するリーグがあまり機能していない状況下で、新たにリーグを運営することを目的として立ち上げられ、現段階では2チームに分かれて試合をしており動画もyoutubeに上がっています。
https://www.youtube.com/@baseballtalentafrica

我々もこの新たなリーグとUBASAとの話し合いを続けていますが、この組織も立ち上がったばかりで継続できるかなど未知数な点が多いですので、我々としては今後どのような形であればウガンダの野球リーグを発展させることができるか模索していきたいと思っています。

今回はウガンダ球界の現在の様子について説明してきました。
まとめると、試合も継続して行われているリトルリーグ世代、ドジャースアカデミーの影響力の強いティーンエイジャー世代、リーグを巡って混乱している大人世代と言うことができると思います。
今後は個々の選手など具体的な情報も発信していきたいと思います。

改良途中ですがUGBASのウェブサイトです。
https://ugbasinfo.wixsite.com/ugbas

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