立教大学アイセック委員長インタビュー【前編】何の変哲もない僕を変えた原体験

“運営の世代交代”は、学生団体に必ず訪れるもの――。
アイセック・ジャパン立教大学委員会(以下、立教大学アイセック)もその例外ではなく、昨年11月。選挙の末、2019年度の委員長として渡邊直也さん(わたなべ なおや)さんが新たに選出されました。自身の理念に高い熱量を持つ彼は、アイセックの活動や海外インターンによって変えられたひとり。

渡邊 直也

『何の変哲もない学生だった僕を変えた原体験を、たくさんの人に伝えたい』

今回は、そんな渡邊さんの強い思いを春から大学生になる新入生に伝えるべく、前編後編の2回にわたってお届けします。

魅力ある先輩に惹かれて入った立教大学アイセック

――アイセックとはどのようにして出会ったのですか?

僕がアイセックを知ったのは、ちょうど大学受験が終わった高校3年生の3月。実はそれまで、アイセックのことは全く知りませんでした。

入試が終わり、大学に入ったらどうしようかと考え始め、ネットで学生団体やサークルを調べていたときに、たまたまアイセック・ジャパンの代表がインタビューされている記事を目にして。その記事を読んだとき、目指しているものの大きさや活動への本気度が伝わってきて、すごくかっこいいなというか……こんな団体があるんだと驚きました。

アイセックについて調べてみると、立教大学にもあることがわかり、そこから立教大学アイセックのTwitterやHPを見て興味を持ったのが最初のきっかけですね。

――もともと国際交流や海外に興味があったのですか?

いえ、僕は特に国際系がいいという感じではなくて。海外経験も小さい頃に1度グアム旅行したことがあるだけでした。海外には興味がありましたけど、特別強い思いがあったわけではありません。

それよりも、いろいろな活動をしている人や団体に魅力と刺激を感じていましたね。それこそ“海外インターンシップ”なんて初めて聞きましたし。

――アイセックのどこに惹かれたのですか?

アイセックの先輩やそこで活動しているメンバーが魅力的だったというのが一番の決め手でした。新歓説明会でのプレゼンがすごくかっこよくて。「僕たちはこういうことを目指していて、だからこういうことをやっているんだ!」というのが明確で、心打たれたんです。

その後に、立教大学アイセックの元代表だった方とお話しまして。その方はすごく優秀で、企業から内定をもらっていたにも関わらず、全て蹴って海外インターンに行ったり、起業を考えていたり……。最終的にはYouTuberになるという破天荒ぶりで。「何だこの人!?」みたいな(笑)。

でも、自分のやりたいことをしている生き方がかっこいいと思いましたし、こういう生き方もあるんだなと衝撃を受けました。ほとんどの大学生が卒業後、就職するじゃないですか。僕も就職するのが当たり前だと思っていたんですけど、その先輩は“就職するために”といった考えではなくて。「就職って一手段でしかないんだ」と、その場で価値観が変わったんです。そのような、価値観を変える出会いってすごく貴重ですよね。

新歓の入って間もない段階で、そんな出会いに恵まれたことは僕にとってかなり大きかった。アイセックは日本25大学にあり約1,600名が所属していて、世界では126の国と地域で展開している。いろいろな可能性がある団体だと思いましたし、自分もこの環境に身を置きたいというのが一番の強い思いでした。

落ちこぼれからの大逆転―中学~大学受験、最初の原体験

――入学時からかなり意欲が高かったようですが、やはり中学・高校時代から主体的だったのですか?

それが、全くそんなことはなくて。僕は静岡の沼津出身で、田舎の公立小学校、公立中学、公立高校出身の、平凡な学生でした。

通っていた中学校は、授業を受けていたら爆竹の音が聞こえたり、バイクに乗っている学生がいたりと今思えば荒れていた学校でした。

僕も周りに流されて、中学ではあまり勉強をしなくなり、テストでは一桁の点数を取るようになっていたんですよ。まさに“落ちこぼれ”で、中学3年生に上がるまで部活と遊ぶだけの生活を続けた結果、公立高校にすら行けないレベルに。今から頑張って勉強しても工業系の高校に入れるかどうかといわれていました。

そんな中学3年生のときの担任が、かなり熱い人で。僕たちと正面から向き合ってくれて、その影響を受け僕も勉強してみようという気になりました。

自分自身、初めて本気で勉強してみると、意外にも成績が上がる。勉強したらした分だけ成績が上がる感覚や、やればできるんだなっていう感覚がすごく楽しくなって、公立高校を受験。無事合格したんです。といっても、それほど頭のいい高校ではないんですけど……。それが「努力すれば何でもできるんじゃないか」という自分の価値観が生まれた一番最初のきっかけでした。

高校時代は、テスト勉強はしっかりしていたので成績はいい方でした。ただ、高校自体の偏差値が50もないくらいの公立高校だったので、日東駒専に行ったらすごいというレベル。あたり前ですけどMARCH合格者はひとりもいなくて。そもそも、一般受験する人がほぼいないので。

――そんな中、MARCHを受験したのですね。

僕が受験に本気で取り組み始めたのが高校2年生の冬で、模試ではずっと偏差値30台でした。なんとなく、そのまま推薦で進学できればいいかくらいに考えていましたが、ひょんなことから本気で勉強して早稲田大学を目指すようになったんです。

そのきっかけはというと、地元で最もレベルの低い高校に通っていた1個上の先輩が、早稲田大学に受かったという話を耳にしたこと。その高校は、3年間で聖徳太子くらいまでしか勉強しないといわれているくらいだし、大学進学自体がありえない! というようなレベルだったので信じられなくて。

その先輩に、なぜ早稲田大学を受験したのか聞いてみると、底辺の高校に進学した時点で「もう人生だめだろうな」と諦めかけていたものの、通ってみたら意外と面白い考え方や才能を持った同級生がいたらしくて。でも、進路のことになるとみんな消極的で「可能性が潰されている」と、今の教育体制にもどかしさを感じたそうです。そのうちに「教育を変えたい」という思いが芽生えて、いい大学のいい教育学部に入って教育を変えようと、早稲田大学の教育学部を目指すことに。そして1年間、死ぬ気で勉強した結果、見事合格したというのです。

その姿にすごく影響を受け、先輩が僕のロールモデルになりました。頭のいい高校に頭のいい友達はいたけれど、先輩のように自分のやりたいことをベースに考えている人はいなかった。「将来したいことがあるから今、これをするんだ」という生き方に憧れて、僕もこういう生き方をしたいと強く思い、早稲田大学の受験を決めました。

ただ、正直「先輩がイケるなら、俺も早稲田イケんじゃね?」っていう盲目的な考えもありましたね(笑)。

――なぜ立教大学を選んだのですか?

夏休みに大学のパンフレットをいろいろ見ていた中に、立教大学もあって。たまたま立教大学 経営学部のリーダーシップ教育 BLP(Business Leadership Program)が目に留まりました。

座学だけの授業はどの大学にもありますが、それだけだとつまらないという思いがあったので、1年次から産学連携で企業と共同してビジネスプランを提案したり、少人数のグループワークでリーダーシップについて考えるBLPのカリキュラムに魅力的を感じたんです。

しかも「今の時代に必要な力」だと大々的に打ち出していたんですよね。そのとき、僕自身やりたいことから大学や学部を見つけたいという思いとは裏腹に、やりたいことが見つかっていなくて……。

でも、やりたいことはなかなか見つかるものじゃない、大学に入学して好きなことやいろいろなことに挑戦する経験を通して初めて見つかるものだろうと考え、多くの挑戦ができる環境の大学に行こうと決めました。かつ、社会で活躍できるようなスキルを身につけなければと思っていたので、リーダーシップ教育に強く惹かれ、立教大学の経営学部を目指すようになっていましたね。

最終的に、立教大学の他に早稲田大学、法政大学、青山学院大学等の経営学部や社会学部を中心に受けました。受験の終盤、早稲田大学の入試を残し、それ以外の大学は全て合格。

立教大学の経営学部に行きたいと強く思いながらも、周りの人は早稲田大学を応援してくれていたため、モヤモヤした気持ちのまま早稲田大学の入試日を迎えました。一科目の英語の試験中、本当はどちらの大学に行きたいか自問自答した結果、「早稲田より立教に行きたい」「やりたいことをやろう。立教に行こう!」と、その場で心が決まりました。結局、試験を受けているのがつらくなって、英語の試験が終わると同時に途中で帰ることに。学校の先生には内緒にしてたんですけどね(笑)。それくらい立教大学の経営学部に行きたかったということです。

――実際に入学してみて感じたことは?

僕は大学に対して高い期待値を持っていたんですよ。東京の大学生ってみんな「俺これやりたいからこれやってるんだ!」と強い思いを持っていると思っていましたし、それこそ立教大学はリーダーシップ教育があるくらいですから、すごいヤツがいるんだろうなと想像していました。

でも実際に入学してみたら、意外とみんな遊んでばっかいるんじゃないかって思っちゃったんです。みんな全然考えていなくて「何のために大学通ってるんだろう?」みたいな。僕、入学したばかりのときは変にとがっていたので……(笑)。周りの同級生が遊んでいる中、ひとりで受験勉強をするにはとがった思いがないとできなかったんでしょうね。だからこそ、入学当初は「学びたい」という思いが強かったように思います。

期待に満ちた1年次の立教大学ライフ&アイセックの活動

――とがった状態でアイセックに入会したわけですが、1年次はどのような活動をしていましたか?

1年生のときは海外インターンシップの受け入れ事業を担当しました。といっても、実はアイセックの活動を活発的にやっていたわけではなくて。入学直後はBLPの授業が結構忙しくて、7月までそっちに夢中になっていたんです。でも、アイセックの合宿等には参加していましたね。

――それは意外です!アイセックを辞めようとは思わなかったのですか?

アイセックの1年次の活動は、先輩に教えてもらうことや簡単なことが多いので、アイセックの魅力を知らないまま辞めてしまう人もいます。そんな中、僕が辞めずに残っていたのは先輩の存在が大きかったから。

6月頃、アイセック・ジャパンの合宿に参加して、当時のアイセック・ジャパンのトップの方と話す機会がありました。僕は熱いタイプだったので「これがやりたくてアイセックに入って、こうしたいんですよ!」みたいにめっちゃ語っていたんですけど、その人は「アイセックのビジョンに共感するだけじゃ組織は変えられないよね」と煽ってきて。

その言葉に「確かに……」と共感するだけで、視座の高さの違いを実感させられました。その合宿には、いろいろな大学委員会の委員長やアイセック・ジャパン事務局のツートップ、つまり1,600名を束ねる人たちが集まっていたので、僕の中の天井は上がりまくり、価値観も変わりまくりという経験を得た合宿でしたね。

立教大学アイセックはすごく繋がりの強い委員会で、3~5年前の元委員長が遊びにきてくださり、直接話せる機会も多くて。アイセックの経験を通してどのようなことを考え何をしていたのか、それを活かして今、何をしているのか等を魅力ある先輩方から聞くことが楽しみでした。

そんなふうに、1年生の前期まではBLPの授業をやりつつアイセックの活動にも関わっていたのですが、大学生になって初めての夏休み、僕は海外インターンシップに参加したんです。

ラオスでの海外インターンは価値観を変える経験の連続

――なぜ海外インターンに参加しようと思ったのですか?

「何かに挑戦したい」という思いがすごく強かったのが1年生のときだったんですよ。大学を選んだ理由でもあったように“やりたいこと”を見つけたくて、興味のあること全てに挑戦しようというマインドでした。

海外インターンに参加を決めたのは、アイセックの活動を通じて海外に行ってみたいという思いが強くなっていたからと、海外インターンを経験していなければインターンの価値を理解できないと思ったから。

アイセックは“社会課題解決”といった大きいことを目指している団体ですが、その頃の僕は「社会課題解決って訳わかんなくね?」「なんで社会課題?」と思っていて、実はあまり共感できていなかったんです。社会課題はもちろん解決すべきだけれど、僕自身にはそれほど強い思いはなく、どちらかというと“自分の成長”を重視していたんですよ。だから、とりあえず海外インターンに行ってみれば、何かわかることがあるんじゃないかと思っていました。

加えて、経営学部での学びを活かしてみたいという思いや、学んだことを逆に経営学へと繋げたいという思いもありましたね。そのため、海外インターンは営業等のビジネス系の内容のものを選びました。

――海外インターンはどのようなプログラムでしたか?

僕が海外インターンの地に選んだのはラオス。6週間のプログラムです。社長は日本人でラオスの法人に対して日本製品を売る、“何でも屋”のような企業でした。従業員も10名ほどで、その多くがタイ人とラオス人です。

社長から与えられた僕の任務は、日本のトイレットペーパーを現地の法人に売ること。初日に任務を告げられ、「わかりました」と席に座ったものの、何をすればいいのかわからない……。とりあえずパソコンをいじって、そのまま1日が終わっちゃったんですよね。

「これはやばい、このまま6週間何もせず終わってしまう」「自分で何かしないと、来た意味がない」と危機感を感じて、次の日はとりあえず会社近くのコンビニやスーパーに行って、現地のトイレットペーパーの製品をたくさん見てみることに。すると「日本製品は高いけれど質がいい」とか「意外とラオス製品よりもベトナムやタイ製品が多い」という具合に、特徴が分かってきたんです。

商品の特徴や現地のホテル等を調べていくうちに、高級ホテルに営業に行けばいいんじゃないかと自分の中で分かってきて、自主的にアポを取り、営業に行く……というのをひたすら繰り返しました。社長からは飲みの席で「50件中5件くらい契約取ってこい!」といわれて「わかりました、やってきます!」みたいなノリで。高い目標から始まったインターンでした。

――海外インターンを通してどのようなことを学びましたか?

海外インターンの経験を通して、働くということは、自分で考えて動かなければならないと強く感じましたね。数ヶ月前までは高校生で教えてもらうのが当然だっただけに、社会はそれほど甘くないんだなと学んだわけです。

実際、PDCAを回す経験が最もいい経験だったと思っています。最初の3週間で、目標の営業件数は達成したものの、1件も契約が取れなかったんです。なぜだろうと考えていく中で、決済権のない人に営業をしていることに気づきました。今となってはありえないことだとわかりますけど(笑)。

それからは、マーケティングディレクターやオーナーといった決済権がある人にアポ取りするようになりました。社長からのアドバイスと経験を通して気づくことがたくさんありましたね。

また、成果を出すためには顧客の声を聞いてニーズを把握することの重要性も学びました。すごくニッチな話ですが、ラオスのトイレは排水管が細いんですよ。そもそも、ラオス人は手動ウォシュレットが中心なのでトイレットペーパーを使うことが少ないんです。しかし、ホテルの場合は海外旅行客が泊まりトイレットペーパーを使うので、細い排水管に詰まってしまいます。

しかし、日本のトイレットペーパーは溶けやすいので詰まりにくい。他のトイレットペーパーより割高でも、詰まった排水管の修理費を考えればお得だというメリットが、ヒアリングの中でわかったりして。そうやって商品の売り方を工夫した結果、最終的に目標を達成することができました。

――海外インターンならではの経験もありましたか?

そうですね。ラオスでは「異文化理解」も大きな体験でした。ラオス人は比較的時間にルーズで、約束の時間に遅れてくることもあたり前。アポの時間に営業先を訪ねると「ボスはさっきジムに行ったよ」みたいな(笑)。しかも1回だけではなくて6~7回くらいあって、たまたま忘れたわけではなく、すごくゆっくり生きているんですよね。

そんなラオス人にイライラした時期もあり、社長に相談すると「ラオス人はそういうもの。仕事もバイト感覚ですぐ来なくなることもあるし、かわいい子どものようなところがある。そこに働きかけて工夫していかないと。あくまでこちらが来ているんだから」と教えられました。

ただイライラするのではなくて、その背景や文化、価値観を理解することが大切なんだなと。この異文化理解体験は、現地で働かなければできなかったことなので、海外インターンならではの学びだと思います。

また、大きな裁量が与えられることも、海外インターンの魅力ですし価値ある部分です。僕自身、これまで国内インターンやアルバイトの経験がろくにないにも関わらず、いきなり企業で働かせてもらえた上、ターゲットの決定や資料作成、マーケティング、営業等、プロジェクトマネージャーのような立ち位置で全てを任せてもらえました。国内インターンではそこまでの経験はできませんよね。

トイレットペーパーの営業以外にも、ラオスの田舎の小学校や農家でボランティア活動的なこともやらせていただきました。日本から来る学生団体の授業ツアーを手配して、そのアシスタントとして転々としたり……。

現地の人々と交流する中で、ラオスはアジアで一番の貧困国といわれているにも関わらず、意外と幸せを感じていることを知りました。むしろ帰国直後、朝の満員電車に乗ったときに、日本人の目のほうが死んでいると感じて……。日本人はめちゃくちゃ恵まれているのに、もっと自分のやりたいことを持って生きて、もっとワクワクしていいんじゃないかと強く思いました。これらの経験が僕のビジョンが生まれた原体験でもあります。

――海外インターン後、マインドはどのように変わりましたか?

僕はアイセックのことが大好きだったし、立教大学アイセックでの経験や先輩とのコミュニケーションで考え方やマインドをすごく変えられてきたと思う一方で、まだまだ良くしていけると思っていました。海外インターンを信じて、自分が変わる経験をしたからこそ、もっと変えていきたいというマインドになって。

社会に対しても、もっと人々が自分自身の軸や強い思いを持ち、自分の人生を生きていけるような社会を作りたいと、漠然とですが強く思うようになりました。今の課題を解決するためにはどうすればいいかを、アイセックの先輩に詰められながら考えた結果、社会課題を解決する必要があると思うようになり、そこからアイセックの活動への向き合い方も変わったように感じますね。

後編につづく)



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