就活筆記試験の代表的なものはSPI、玉手箱、TG-WEBで、参考書やeラーニングなど多くの対策教材が出ています。
しかし、最近になって能力を問う試験は多様になってきています。また、企業オリジナルの筆記試験も増えていると聞きます。能力検査では言語や非言語の能力がベースですが、それだけでなく、英語力や論理展開力を問う試験も増えています。
また、性格検査も種類が増えていて、ストレス耐性や将来のポテンシャルを測定するテストなど多様な種類の適正検査が使われています。
今回は、SPIや玉手箱、TG-Web以外の総合適性検査についてご紹介します。
就活生要チェックの総合適性検査 4選
これまで主流とされてきた適性検査以外で、個人的に最近よく目にする機会が増えたと感じているのが下記の適性検査です。
■CUBIC(キュービック)
CUBIC(キュービック)はジィ・ディー・エル(GDL社)が提供する適性検査です。
以前はペーパーテストが主流でしたが、Web版が開発されました。
能力検査は「言語」「数理」「論理」「図形」「英語」と用意されていて、どれを実施するかは企業が選択します。出題範囲が広いのが特徴です。
レベルは「論理」「図形」では、高校で習う範囲が出題されるようです。性格検査も30分バージョンと時間制限なしのものがあります。
■DPI(ディーピーアイ)
DPI(ディーピーアイ)は、ダイヤモンド社が提供する職場適応性テストです。
公式サイトによると、適性職務を明確に判定すると記載されています。「職場適応性テスト」「ストレス耐性テスト」「知的能力診断テスト」「総合能力診断テスト」「営業・販売職適性テスト」「情報技術者適性診断テスト」と、多様な適性テストが準備されています。
■V-CAT(ブイ・キャット)
V-CAT(ブイ・キャット)は、日本能率協会マネジメントセンターが提供する適性検査で、個人の持ち味とメンタルヘルスを把握する検査です。
この検査の特徴は、性格検査で作業検査法と呼ばれる一定の作業を一定の条件のもとで実施させる方法で、実施態度や遂行結果から対象者のパーソナリティを測定すると言われています。
検査時間は50分。面接や能力検査では捉えにくい潜在的な特性を把握するとあります。有名な内田クレペリン精神検査がこの作業検査法の代表的な検査です。
■TAL(タル)
先にご紹介した3種類の適正検査は、一般的によく見る総合適性検査ですが、私が知っているユニークな検査に、人総研が提供するTAL(タル)があります。
多くの企業や公共団体が利用していると聞いています。Webで受ける20分の検査です。
「テスト1」と「テスト2」があり、「テスト1」は36問の選択形式問題を15分間、「テスト2」は図形を配置する特徴的な問題を5分間で解く検査です。
「テスト1」と「テスト2」について、もう少し詳しく説明すると、「テスト1」ではわざと問題の意図を読み取れなくした質問が全部で36問でてきます。それぞれの質問には7つの選択肢があり1~2個の解答を選んで、進んでいく検査です。
「テスト2」は図形添付で“入社後の活躍している私”や“自分の将来や自分の仕事”という題目で、20個ほどの図形(〇や△や□等、いろいろな図形)から10~15個を選んで、画面の台紙の枠内に置いていく形です。
脳科学+図形式検査が、受検者本来の「人間力」を測定するとされています。平均14%出現する「不適正者」を見つけ出し、採用による経営リスクを軽減するとあります。よく読むと怖い検査でもあります。
企業が就職試験で適性検査を行う理由
これまで見てきたように、就職筆記試験はみなさんがよくご存知のSPIだけでなく、企業によっていろいろなタイプの試験が実施されています。
総合適性検査は多様化しているとはいえ、なぜ企業はこの適性検査を利用するのか、企業が適性検査を使う理由をもう一度整理しておきます。
① 多くの応募者を絞り込むため
採用人数に対して企業の採用担当者が選考にかける時間と労力が限られているため、一定の量にまで選考する人数を絞り込むのに公平な性格検査が適しているという理由です。
②採用基準を統一できる
「意欲」「主体性」「自立性」や「能力」を評価する際にそれぞれの採用担当者で異なる基準を、ある一定の数値・ポイントで評価することができるためです。
面接選考には人事部の採用担当者以外に業務を担当する部長や役員が関わってくるため、面接選考の前の段階で、その会社の基準に合う学生を一定の評価で、絞り込んでおくことが重要となります。
③ 不公平な評価の排除
面接試験によっては、面接官の過度に主観的な評価が反映されるケースがあります。そのような不公平につながる評価を事前の適性検査でスクリーニングしておくことで排除できます。
④ 思い込み採用の排除
企業の採用試験(特に面接)においては、表面的な要素や言葉の使い方、声のトーン等で、感覚的な思い込み評価につながる危険があります。また、面接官は多くの学生を終日、何人も面接するため、前者との(無意識な)比較で、高評価をするケースも現れるでしょう。総合適性検査は、こうした定性的な判断間違いを排除することが可能です。
総合適性検査は対策できるか?
以上のように、適性検査は人材の能力と性格を数値で評価することができるため、自社の求める人材に合う学生を採用することができるツールとして利用頻度は今後も高まり続けると予想されます。
みなさんにとって、筆記試験対策は避けて通れないことはありませんが、対策学習をやらないで就活に臨むにはリスクが大きいと考えます。
性格検査は対策ができないと言われているので、対策は能力検査の中の非言語(数的処理と数的推理)だと考えます。
なぜなら点数の差が決定的に大きいからです。
企業は能力検査で「主体性」も見ている
採用試験では主体性を発揮できる学生かどうかを見られるので、実は筆記試験の対策もそのひとつと言えます。
自分の課題に気づき計画的・継続的に取り組んで、結果を出すという主体性が発揮できることを筆記試験対策でも実践して欲しいと思います。
筆記試験対策が自分にとって必要だと気づいたら、目標を立て計画的・継続的に最後まで取り組んで結果を出すというプロセスをぜひ達成してください。
対策の秘訣はコツコツと積み上げること
対策学習は例えて言えば、らせん階段をコツコツ上がるようなイメージでしょうか。
上から見れば同じところをただ回っているだけですが、横から見たら1歩ずつ高いところに向かって登っています。これは努力を続ければ、高いところに進み、高いところに進めば、視点が高くなり視野が広がるということだと思います。
対策学習に集中して取り組むことで、いろいろなことが見えてくることにもつながるのではないでしょうか。
「対策学習をやったってどうせ無駄だ」とか「効果が出るかどうかわからない」という理由で何もしないのと、目標を立てその時間だけは対策学習に取り組むというのでは次の行動は変わると考えます。この積み重ねを繰り返す学生と、やったほうがいいと思うだけで行動に移せないで過ごした学生では立ち居振る舞い、言動、思考、面構えに差が出るのは当然と言えます。
苦しいことや大変だけどやらなければいけないことに対して、まずは取り組んで何がしかの結果を前に進んでくれることを心から期待しています。
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