働き方改革について長々と語り学生に辟易された

 もう去年の暮れの話になっちゃいますが、今まで一度たりとも校友会費を払ったことのない母校の校友会イベント(先輩と語ろう)に参加してきました。新卒採用につながるかなーという気持ちで申し込んだところ学生側は3年生以外の参加者もそこそこいて、社会人側にも露骨にリクルートで来ている人は一見いなそう。キラキャリ女子サークルの勧誘を兼ねて参加したとかいってる人はいましたが……。こういう人リアルで初めて見ました。

 まあそんな感じなので、社会人同士で話が盛り上がったりもして、金はあるが時間がない的な話がよくある忙しい自慢の一環で出たわけです。そうしたら学生からすかさず質問が飛びました。「ワークライフバランスというか、皆さん長時間労働だったりするのでしょうか?」

 一同苦笑。かつ微妙な表情をしているのでオーケイここは私が引き取りましょう。

 というわけで、個人の話として以前より労働時間は減らせたこと、風潮として長時間労働に対して風当たりが強くなっていることを説明しましたが、そのときに口頭ではうまく伝えられなかったことや、補足したいところ、改めて調べた部分もあるので、以下に整理しておこうと思います。

長時間労働の是正

 過労死や裁量労働制の悪用に対する批判から、長時間労働を見直す流れは強まりつつある。長時間の残業が常態化していた職場では消灯時間が設けられ、そのしわ寄せで早朝の出社が増えたという。いわゆる「働き方改革関連法案」においては、実質無制限だった36協定の特別条項に上限を設定し、かつ年次有給休暇の取得を義務付けることとなった。

 ただ、新たに設けられた時間外労働時間の上限も、単月100時間未満、複数月平均80時間未満とけっこうな、いやかなりの長時間。過労死ラインが上限って、今も昔も生かさず殺さずが国是なのだろうか。

 なのでそこまでいかない時間外労働を減らせるかどうかは、結局は人手や仕事量などの外部要因と、自分自身の意識や働き方の工夫によるところが大きい。実際に私の労働時間が一時期より削減できたのは、

 ①仕事を引き取ってもらい

 ②人を雇ってもらい

 ③業務システムの仕様を変更してもらい

 ④無駄に考え過ぎず割り切ることを覚えた から。


 どう見ても他力です。本当にありがとうございました。

働き方改革

 いわゆる「働き方改革」は、ただ単に労働時間を減らそうというものではない。少子化により労働人口の減少が確実視される中で、多様な働き方を可能とし働き手を確保すること、ひとりひとりの生産性を上げること等を目的としている。長時間労働の是正はその手段のひとつに過ぎない。

 だからこれから社会人になるみんなに勘違いしてほしくないのは、長時間労働を減らそうという働き方改革のかけ声は、じゃあその分生産量を減らしましょう、とはならないということ。

 会社や社会が、長時間労働はいけません、残業せずに帰りましょう! と優しくいってくれるからといって、8時間でできる仕事を1日の目標に設定している限りきみの生産性は何ら向上しない。評価もされない。限られた時間でより大きな成果や生産を得ることに目標を設定する。そのための長時間労働の是正であると心得よ。

雇用の調整弁としての残業

 まあそうはいってもなかなか時間外労働が減らないのは日本の会社の構造の問題もある。正社員を切るのは難しいから非正規雇用が雇用の調整弁となる、という論を目にしたことはあるだろう。

 実は同じことが残業にもいえる。忙しいときと暇なときとで差があるけれど、忙しいときに合わせて人を入れると暇なときの固定費が無駄だな……。正社員はいざというときに切りづらいからあまり抱えたくないな……。

 ピコーン(電球)

 雇用は最小限にして、足りない分は残業で回そう!

 かくして残業ありきの体制が出来上がる。無理のない範囲で、ちゃんと残業代も出れば問題ないのだが、残業を前提としているくせにはじめから残業代払う気がない会社もあるのが大問題で、裁量労働制の悪用はよく聞く話だ。もちろん研究や開発など、考える仕事は時間に切りがないので、適用職種でちゃんと裁量があるなら裁量労働制の方が働きやすいだろう。

 ただ、新卒でいきなり裁量労働制を当てはめる会社は実態をよく調べた方がいい

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用

 裁量労働制や、働き方改革関連法案に含まれる「高度プロフェッショナル制度」は、本来職務やポジションが明確なジョブ型雇用の制度であって、日本で一般的なメンバーシップ型雇用(異動・終身雇用を前提とした総合職)に当てはめるからいろいろと無理が出てくるのだと思う。

 このメンバーシップ型雇用も長時間労働や生産性の低さの原因のひとつではないかといわれているのだが、ジョブ型雇用に移行したら移行したで、いわゆる新卒カードが無効化されるのでおそらく若年層の失業率が跳ね上がることになる。実務経験を積むための薄給インターンからのステップアップが必須となり、それも搾取と非難されるかもしれない。

 働き方改革関連法案を見るに、政府がジョブ型雇用へのシフトないし導入を志向しているのは間違いない。だから新卒一括採用がいつまでも続くとは限らない。職種によっては新卒という枠がなくなることは十分にあり得るのだ。

え、結局何がいいたいの……?

 整理しておこうと書きましたが、ここまで読み返してみるとイマイチまとまっていない。きっと当日の話もグダグダだったのでしょう(絶望)。おじさんは、まだ社会に出ていない後輩に次のようなことをいいたかったのです。

 ・ワークライフバランスといっても自分でその気になってやらないと難しいよ

 ・長時間労働は是正される方向にあるけど、生産性を上げないと意味ないよ

 ・新卒でいきなり裁量労働制は要注意

 ・ジョブ型雇用では学生のうちからキャリア形成が必要 → 新卒枠の縮小も

 ・ジョブ型雇用で長時間労働と生産性が改善される? 

 ・いずれにせよ知識労働の価値は費やした時間ではない、何をアウトプットするか

 ・ワークライフバランスといっても(以下ループ


 いやあ、その場の思い付きを即興で伝えるって難しいですね。質問に対してかなり脱線して申し訳ない。

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