初任給けっこう引かれてる問題。控除ってなんやねん! と激怒した新社会人へ

 へろー新社会人。クインテット管理部の木谷です。

 5月10日は弊社の給与支給日でした。4月入社の新社会人にとっては初任給ですね。ワクワクしながら口座を確認して、あれ、思ったより少ない……、というのはサラリーマンのイニシエーションなのでがっかりする必要はありません。キャンパーが野生の熊が漁ったリュックを取り戻したら、獲物を横取りされたと激怒した熊に執拗に追われるという話を聞いたことがありますが、社会保険料だとか税金だとかの控除はどうか許してほしい。我々もお役所にやらされているだけなのだから。やめて襲わないで。


 しかしもちろん額に汗して稼いだ自分のお金ですから、いったい何のために引かれているのかわからないことには納得できないという気持ちは当然でしょう。そこで今回は給与明細を基に、毎月のお給料から控除されるお金について説明していきます。だから怒りを鎮めてほしい。

・控除とは

 給与明細の書式は会社によって様々ですが、眺めるうちになんとなく、「支給」から「控除」を引いたものが振込額=手取りなんだなという理解に至るかと思います。うん、だいたいあってる。

 控除は「差し引く」という意味で、例えば税金の計算の際、税率をかける前に額面からいろいろ差し引くことができるのですが、それも控除といいますね。前にも書いた気がする。

年末調整の仕組みと意義

木谷 太郎
株式会社クインテット

 給与の控除は、社会保険料と税金に大別されます。

・健康保険

 社会保険料は、健康保険料と厚生年金保険料、そして雇用保険料に分けられます。

 健康保険に加入していれば、病院にかかっても保険診療の支払いは3割負担です。1万円の治療でも3千円ですね。イエーイ、7千円浮いたね。

 ちなみにクインテットの加入している関東IT健康保険組合だと、通勤手当込みで24万円くらいの額面の場合、本人負担で控除される健康保険料は10,200円です。あれ……。

 こう書いてしまうと病院なんかそうしょっちゅう行かないから元取れないよ! と思ってしまう気持ちもわかりますが、人間はいつまでも若く元気なわけではなく、さらに忘れてしまった過去に思いを馳せれば、皆さんが赤ん坊のころはすぐ熱出したりして病院のお世話になっていたはずなんです(と、情に訴える)。

 また、高額療養費制度というものがあって申請すれば一定額以上の医療費は戻ってくるし、出産手当金や出産一時金もあるし、病気で働けず収入がないときには傷病手当金もらえるし、日本の健康保険は結構手厚い。しかも会社が健康保険料を半額負担してくれているときたら、うん、払っても惜しくない気がしてきたね! 太平洋の向こうの共和党員から社会主義者呼ばわりされそうだ。

・厚生年金保険

 厚生年金は、いわゆる年金ですね。いつになったらもらえるか我々が引退する頃の制度は不透明ですが、イメージとしては定年退職後にもらうアレです。しかし65じゃもらえないだろうな。70まで働けとか政府もプレッシャーかけてきてますよね。くそっ、ヤン・ウェンリーも切れるぞ。

 書いてると暗い気持ちになるからこれくらいにしておきますが、厚生年金保険料も半分は会社負担です。なので国民年金よりましと考えるようにしている。

・雇用保険

 雇用保険料は引かれる額としては少ないのですが、いざというときには失業給付金がもらえるのでとっても大事ですね。また、育児休業給付金も雇用保険から出ます。なので喜んで払うといいと思うよ。

 銀河英雄伝説を読んで年金に憧れ、90年代のイギリス映画を見て失業手当に憧れた私ですが、どちらもまだ手にしていない。

・所得税

 所得にかかる税金です。以上。

 昔どこかに書いたけど、月々の所得税はざっくりなので年末調整で帳尻合わせまーす。まあ、ほとんどの人は戻りがあるので預けたつもりでいてください。利息? ないです(キッパリ)。

年末調整の仕組みと意義

木谷 太郎
株式会社クインテット

・住民税

 そんなの明細にないよとおっしゃる新卒の皆さんはまだ引かれていないだけで、やつらは後からこっそりやってきます。今年の所得に対して12月〆で計算し、翌年6月から納付が始まるので、プロ野球選手なんかが引退したり大幅減俸食らうと翌年の住民税で苦労するという……。

 累進課税の所得税とは違って住民税は10%固定。10%って聞くと高い気がするけど、いろいろ控除した後の10%だから、昔の十分の一税よりはましですよね(なげやり)。

 あ、そうそう。2年目のあなた。

 6月支給給与から住民税引かれるんでそこんとこヨロシク。


 さて、つらつらと書き連ねてみましたが、年金は不安だし、否応なく税金は取られるしで全然心晴れやかになりませんね……。

 だからこそ社会保険は最大限活用したほうがいいし、税金の使い道にも関心を持つべきだと思います。いろいろ差っ引かれるお金は社会のコストの負担分ですから、いよいよ皆さんが社会を背負う立場になったということです。

・おかねはだいじだよ~

 給与の控除を、こういうものだの一言で片づけるのは簡単ですが、そこから踏み込んで、大切なお金のことを学ぶこともできます。今の日本は国や会社に人生まかせて安心という時代ではありません。己の人生は自分で設計しなければならないし、それにはお金のプランニングが必須です。

 年金が不安になったなら資産形成を始めましょう。

 税金だって合法的に減らせます。

 例えば別のところにも書いたように、積み立てで資産を形成しつつ税メリットが大きいiDeCoという制度があります。株式投資を少額から始めるならNISAもいいでしょう。

会社員の資産形成と税対策

木谷 太郎
株式会社クインテット

 でもその前に。

 もろもろ控除された初任給の手取りから当面の必要経費や想定される出費分を差し引いて、残ったお金をやりくりして、今まで育ててくれた人に贈り物を買いましょう。

 その贈り物の額があなたの余裕資金です。次の月から貯めるもよし、投資(自己投資含む)するもよし。余裕資金を見極め、どのように使うか。あなたの未来はあなたの手にあるのです。


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