【学生インタビュー】立教大学アイセック―企業と創造する海外インターンシップ事業

世界最大規模の学生団体 アイセック(AIESEC)。大学生なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

その日本支部であるアイセック・ジャパンは全国25の大学委員会で構成され、主に海外インターンシップ事業を運営しています。その海外インターンシップ事業に欠かせないのが「企業との協同」。

大学生の彼らが、一体どのようにして企業との協同を実現させているのか。そこに込められた活動に対する思いとは……?

今回、社会人教育振興財団ではアイセック・ジャパン 立教大学委員会(以下、立教大学アイセック)の委員長 轟敦(とどろき あつし)さんと外部関係統括 佐藤拳人(さとう けんと)さんにお話を伺いました。

アイセックが目指す“平和で人々の可能性が最大限発揮される社会の実現”のための取り組み

立教大学アイセック委員長 立教大学経済学部経済政策学科3年 轟敦(とどろきあつし)さん

――立教大学アイセックではどのような理念のもと活動されていますか?

  アイセックは“Peace & Fulfillment of Humankind’s Potential 平和で人々の可能性が最大限発揮される社会”をひとつの大きな理念として掲げています。

少し抽象的な理念なので、理念に対する個人の解釈はさまざま。僕自身の解釈もあれば、メンバーの解釈もあるでしょう。だからこそ、立教大学アイセックのメンバー一人ひとりが「こういった理想社会を実現したい」「こういった社会であってほしい」という思いのもと、自分に何ができるかを考えながら活動しています。

アイセック・ジャパンの委員会は国内25大学に存在していますが、ひとつの共通理念に繋がっているというのは、大きな魅力だと思いますね。

――立教大学アイセックではどのような活動を行なっているのでしょうか?

 立教大学アイセックでは、アイセックの主幹事業である「海外インターンシップ事業」をメインに行なっています。海外インターンシップ事業は、海外の学生が日本企業でインターンシップを行う「受け入れ事業」と、立教大学アイセックのメンバーや立教大学生が海外企業やNGOでインターンシップを行う「送り出し事業」の2つがあります。

また、今年から新たに「高校出張事業」にも取り組み始めました。この事業は、高校生に対して社会課題や自分自身のキャリアに興味関心を持ってもらうことを目的としたものです。「高校出張事業を実現させたい」との思いから委員長に立候補した経緯もあり、僕にとって思い入れの強い事業でもあります。

――アイセックといえば海外インターンシップ事業のイメージが強いですが、高校出張事業ではどのようなことを行なっていますか?

右)立教大学アイセック 外部関係統括 立教大学社会学部現代文化学科3年 佐藤拳人(さとうけんと)さん

 高校と協同し、授業の企画から運営までを行なっています。授業に教育の分野等で活躍している方を登壇者としてお呼びして、立教アイセックのメンバーがファシリテーターとしてつく形ですね。

佐藤 高校生のキャリア選択の幅を増やそうという目的なので、社会で活躍している登壇者の方が、自身のキャリア選択のときや高校生のときに何を思っていたか等を話してもらっています。そうすることで「こういう人生の歩み方もあるんだな」という気づきを与えるというか。

――これらの事業は「社会問題を解決できるリーダー」を育てる活動でもあるんですよね。

 そうですね。平和で人々の可能性が最大限発揮される社会を実現するために、社会問題を解決するというのはひとつの手段だと思っていて。今一番大きい障壁なのではないかとイメージしています。

たとえ世の中の全ての社会問題を解決したとしても、平和で人々の可能性が最大限発揮される社会になるかどうかというのはまだあやふやな部分があると思います。ただ、今目の前にある大きな課題はやはり社会問題だなと。だから今は社会問題に対してアプローチして、問題を解決できるリーダーに育てることが重要だと考えています。

日本と海外を繋ぐ海外インターンシップ事業

――立教大学アイセックの特徴を教えてください。

 立教大学アイセックでは人との繋がりを大切にしていて。研修生(海外インターンシップ生)との関わり方も、メンバー同士がしっかりと向き合っていて、海外インターンシップをより良い体験にしようという意識が強いように感じます。

佐藤 外部の方々ともいろいろ繋がらせていただいていて。大手企業様をはじめ、多くの企業様と協同しているのも強みのひとつですね。

――海外インターンシップと留学、どういった違いがありますか?

 大きな違いは、立教大学アイセックのメンバーが研修生のマネージャーにつき、サポートする点でしょうか。留学だと、コミュニケーションを取ることはできますが、自分を振り返ることは意識的にしない限りなかなかできません。

マネージャーは週に1回、研修生とのミーティングを設け、さらに毎月企業の方を含めた三者間で面談するため、自分の内生や次の改善等を見つけられるメリットがあります。

――マネージャーを務めるメンバーの成長機会でもありますね。

 そうですね。僕自身もマネージャーを経験しましたが、全く文化が違う人と関わる中で「こういう考え方もあるんだ」と知る機会になりましたし、逆に「国は違えど同じ共通点もある。国とか関係なく同じひとりの人間なんだな」と気づく場面もありました。もちろん、英語のコミュニケーションも向上しますね。人としての価値観にも影響されるような経験ができると思っています。

――これまで実施した海外インターンシッププログラムの中で良かったものは?

 受け入れ事業のインターンシッププログラムで、“観光で異文化理解を促すこと”をテーマに実施したものが、企業と研修生の双方にとって良いものになったのではないかと思っています。

具体的には、観光系の企業に海外の学生を受け入れていただき、冨士ノ湖や京丹後等の日本の観光地を訪れて記事にしたり、研修生の母国である中国のマーケティングを行うといった内容です。

研修内容は企業の方だけが考えるのではなく、僕たち自身も企画をします。このときは、日光に足を運んで戦争や慰安婦問題についても学んでいただきました。研修生の変化としては、日本の企業で働くことによって「自分も日本で働きたい」という思いが芽生えただけではなく、日本の歴史ある観光地に行ったことで、日本文化への興味や日本への好感度が高まったり……。

その研修生は女性の方だったのですが、慰安婦問題を学び、女性が虐げられている現状を知ることで「女性がキャリアを積むことが男性と比べて難しいとしても、私自身は強く生きたい」とおっしゃっていました。インターンシップを通じて、女性として強く生きること、そして自身のキャリア像への意識が芽生え、良い変化を与えられたのではないかと思っています。

企業としては「社内に新たな風を吹かしたい」と考えていたため、研修生を受け入れていただくことで、社内活性化に繋がったようです。

立教大学アイセックと企業との関わり

――海外インターンシップにおいては企業との関わりが大きなポイントですよね。

 そうですね。企業とのタッチポイントは、受け入れてもらうという点で受け入れ事業のほうが多いと思いますが、送り出し事業でも日本の企業様に協同いただくこともあります。

たとえば、海外インターンシップに向かう前段階でも、研修生に学びを与えたいといった場合には、企業の方にご協力いただいて一緒に企画を立てたり。

佐藤 送り出し事業において東南アジアの国の地方創生に取り組み、現地メディアで発信するというインターンシッププログラムを実施したときには「インターンシップ前に国内で接合する経験ができないか」ということで、徳島の伝統的な農業方法を体験し、言語化して発信する取り組みを企業様と行いました。そのような関わり方もあります。

――どのように企業を選定しているのですか?

佐藤 インターンシッププログラムのプロジェクトごとに「研修生にどういう価値を与えたいか」「そのためにはどのような機会が必要か」「それらが実現できるのはどんな企業か」等の要素を出した上で、企業を選定しアプローチをしています。

 その後は通常の営業と同じ流れで、アポイントを取って交渉してという感じです。企業の方は、なぜこの活動をやっているか等、サービスへの興味だけではなく(アプローチする)学生自身の熱意に応えてくれるように感じています。

佐藤 僕は結構それが楽しいですね。“なぜやっているか”を伝えることがすごく大事だと思っていて。サービスや海外インターンシッププログラムが完璧ではない中で、まずどこに共感してもらうかとなると、自分という存在だったりアイセックへの思いに対して共感していただく必要があるのかなと。

その中で、“受け入れる側”と“受け入れてもらう側”という関係性ではなく、海外インターンシッププログラムを一緒に作っていく、というところを特に大切にしています。取引先というよりは、お互いに協力し合うパートナーのような関係を常にイメージしてますね。

――立教大学アイセックとしてどのような企業と協同したいですか?

 企業様とWIN-WINな関係でありたいという思いはあります。

今後、日本では外国人雇用が増加すると思うんです。一説によると、外国人雇用にかかる社会的コストは約5兆円。それでも外国人雇用が必要な時代になるといわれています。

今後、人口が減少し外国人雇用の重要性が高まっていく中で、海外インターンシップがひとつの重要な役割を持つと思っていて。たとえば、本格的に外国人労働者を受け入れる前に、試験的に外国人を教育したり指導したりということが企業内に必要になってきますよね。

試験的にとはいえ、いったん雇用するとそれなりに費用もかかりますが、アイセックの海外インターンシップなら低いコストでご提供できます。だからこそ、将来的に外国人雇用が必要になることを考えた上で、一緒にインターンシッププログラムの内容を考えていければと思います。

もちろん、受け入れ事業だけが協同できる場面ではないと思っていて。受け入れ事業もそうですし、先程申し上げた送り出し事業の研修前後での企画といった形でも一緒に協同できると思っています。そういった意味でも、いろいろな企業様と協同できれば僕たちにとって有り難いことですね。

――企業にとってもメリットが大きいですね。費用はどのくらいかかるのでしょうか?

佐藤 契約していただいた後、研修生の紹介や仲介、ビザの発行、学校への申請等の手続きは、全て立教大学アイセックが代行するので、その費用としてひとりにつき5万円をいただいています。

6週間のインターンシップの場合は無報酬プランになりますが、6ヶ月間のインターンシップの場合は有給プランになるので、住居費や滞在補助費という形で研修生が日本で暮らすだけに十分な費用が必要になります。内容によって差はありますが、ひとりにつき月10~16万円程。プラス保険料が発生する場合もあります。

いずれにせよ、社員やアルバイトをひとり雇用すると考えると、断然安いですよね。アイセックのインターンシップサービスは、導入コストが他のサービスと比べて低いという点もメリットだと思います。

通常であれば、まず広告をのせることから費用が発生しますが、アイセックの場合そこでは一切費用をいただいていません。海外インターンシップを希望する学生がどのくらいいて、かつどのようなスキル持っているのかを企業側に提示して、学生と面談するまでに関しては全く費用かからないので。すごいサービスだなと思いますね(笑)。

立教大学アイセック 今後の展望と企業・学生へのメッセージ

――今後の展望を教えて下さい。

 大きく3つありまして。

ひとつは立教大学委員会として、もっといろいろな方にインターンシップを参加して欲しいと思っていて。アイセックのミッションでもありますが“何の変哲もない学生を、社会を変えるリーダーに育てる”という思いがあります。

立教大学アイセックのインターンシッププログラムに参加することで、何かしらの社会問題に興味を持ち、リーダーシップを身につけて将来的に世の中の課題を解決できるような人材に育って欲しいと思っています。そういった意味では、研修生自身が自己実現をすることも重要視しているところです。

世界を変えるような人というと、スティーブ・ジョブズのような「もとからスゴイ」という人が多いとは思うんですよ。ただそうではなくて、僕たちのような普通の人たちが世界を変える実力者やリーダーになるストーリーを提供したいなと思っています。

立教大学アイセックのインターンシップに参加して、勢力的に活動している人たちを見て、他の学生たちも「自分も何かできそう」「もっと自分も自己実現しよう」というように感じてくれると、もっと社会が良くなるのではないでしょうか。

そういった面でより多くの学生がインターンシップに参加して経験や体験を積んで欲しいので、僕たちもより活動していきたいと思っています。

もうひとつは、アイセック・ジャパンとして海外インターンシップ事業を運営していますが、課題や改善点はたくさんあると感じています。より良くするための内容改善であったり、国内25大学とさらに協力して、より良い価値を提供できるのではないかと。そのような面も考えていきたいですし、提言していきたいですね。

最後に個人の展望として、将来的に社会に貢献したいという思いが強いので、自分自身も何の変哲もない学生から世界を変えるリーダーにならなければと思っています。社会で活躍する人物になるために、自分自身でも新規事業を作ったり、課題にアプローチできるような人間になっていきたいです。

――企業へのメッセージをお願いします。

 今後未来的には、外国人雇用が当たり前になっていくと思いますし、社内に新しい風を吹かすという点でも、アイセックの海外インターンシップは非常に有効ではないでしょうか。

立教大学アイセックの理念に共感していただいたり、協力したいと思っていただけたなら、海外インターンシップだけでなくいろいろな形で協同できればと考えているので、まずはお話だけでも聞いていただけると嬉しいです。

――学生へのメッセージをお願いします。

 最近すごく重要だなと思うのが、自分で意思決定をすること。

自分もそうですが、周りをうかがって流されることは多いですよね。たとえば、自分はAという道を挑戦したいけれど、自信のなさや周りから反対されることで躊躇してしまうことも往々にあるのかなと。その中でも、自分で決断をすることが大切。Aに行くという決断もそうですし、諦めてBに行くというのもひとつの決断。それを“なんとなく”で決めないほうがいいのかなと思いますね。

僕が人生を語るのはおこがましいかもしれませんが、年齢を重ねるにつれて物事が早く感じるじゃないですか。それっていろいろなことに慣れてくるからだと思うんです。

だからこそ自分が決断しただとか、責任を持って意思決定するという経験を重ねれば重ねるほど、その時間は内容の濃いものになっていくと個人的には思っていて。ですから学生の皆さんには、何をするにしても「自分で決断する」という意識を持って欲しいと思いますし、僕自身も決断していきたいですね。まぁ……参考程度に(笑)。

次回、立教大学アイセックの“ホントのトコロ”をご紹介!

歴史あるアイセックの名に恥じない、確固たるマインドと行動力で活動を続けるお二人。

立教大学アイセックの論理的思考に基づいた運営はさることながら、関わる人々を思いやり、育む人間力の高さも彼らの大きな魅力でしょう。

次回は、今回ご紹介しきれなかった立教大学アイセックの入会秘話や合宿の様子、運営の苦労等をご紹介します。大学生らしい、お茶目な一面も……? お楽しみに!



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